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#1 レツオウガ起動
Chapter01 邂逅 01-09
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噴出元は中庭にある物置、打ち出しコンクリートの素っ気ない屋根の真ん中。
白から赤、赤から緑と、目まぐるしく変わり続ける光柱。一秒ごとにじわじわと直径を広げていくその様は、さながら虹色の万華鏡だ。
一メートル。三メートル。五メートル。物置そのものを飲み込みながらもなお拡大する光の柱は、やがて根本にいた誰かの姿を照らし出す。
物置の影から現れた誰かは、やはり辰巳達と同様に薄墨のフィルターがかかっていない。
距離が遠い上、光柱の逆光が強いせいでよく分からないが、線の細さから女性らしいことは見て取れた。それも若い。
ひょっとすると二人と同じ学生なのかもしれないが、なぜか彼女は制服ではなくジャージを着ていた。
小豆色で、胸元のファスナーが上がり切らないジャージを。
「……え、えっ!?」
思わず窓枠に張り付き、中庭を注視する風葉。
その視線を感じたのか、彼女もまた南校舎を見上げる。
目が、合った。
今朝方、洗面所で別れた時のままの格好をしている友人と。
「いず、み」
呆然とつぶやく風葉。
それが聞こえたのか、聞こえなかったのか。光柱の前に立つ泉は、風葉を見つめながらにたりと笑う。
いつもからは到底考えられない、粘着くような愉悦がそこにあった。
「う、そ。あれは――」
反射的に後ずさる風葉。
そんな風葉と入れ替わるように、辰巳は中庭の泉を見下ろす。
「友達かい?」
「そう、なん、だけど」
確かに、泉のはずなのに。
泉では、ない。絶対に違う。
根拠はない、けれども間違いなく断定できる違和感に、頭を抱える風葉。
その混乱を、当の泉が悪意とともに助長させる。
「さぁて、小手調べといってみましょうか?」
相変わらずタールのような笑みを浮かべながら、泉は不意に指を鳴らした。
ぱきり。
不自然なくらいに響き渡るその音は、彼女の背後で立ち上る光柱に波紋を生む。
波紋は波となり、するすると光柱を登って行き、風葉達がいる窓の正面で停止する。
「こ、今度はなに?」
身構える風葉の眼前で、波は風船のように膨れ上がり、窓に触れる。
そして、そのまますり抜けた。
音を立てず、何も壊さず、さながら幽霊のように。
「な、何で!? 窓開いてないのに!?」
「そりゃ幻燈結界が動いてるからな。それよりも、もっと下がってくれ」
白から赤、赤から緑と、目まぐるしく変わり続ける光柱。一秒ごとにじわじわと直径を広げていくその様は、さながら虹色の万華鏡だ。
一メートル。三メートル。五メートル。物置そのものを飲み込みながらもなお拡大する光の柱は、やがて根本にいた誰かの姿を照らし出す。
物置の影から現れた誰かは、やはり辰巳達と同様に薄墨のフィルターがかかっていない。
距離が遠い上、光柱の逆光が強いせいでよく分からないが、線の細さから女性らしいことは見て取れた。それも若い。
ひょっとすると二人と同じ学生なのかもしれないが、なぜか彼女は制服ではなくジャージを着ていた。
小豆色で、胸元のファスナーが上がり切らないジャージを。
「……え、えっ!?」
思わず窓枠に張り付き、中庭を注視する風葉。
その視線を感じたのか、彼女もまた南校舎を見上げる。
目が、合った。
今朝方、洗面所で別れた時のままの格好をしている友人と。
「いず、み」
呆然とつぶやく風葉。
それが聞こえたのか、聞こえなかったのか。光柱の前に立つ泉は、風葉を見つめながらにたりと笑う。
いつもからは到底考えられない、粘着くような愉悦がそこにあった。
「う、そ。あれは――」
反射的に後ずさる風葉。
そんな風葉と入れ替わるように、辰巳は中庭の泉を見下ろす。
「友達かい?」
「そう、なん、だけど」
確かに、泉のはずなのに。
泉では、ない。絶対に違う。
根拠はない、けれども間違いなく断定できる違和感に、頭を抱える風葉。
その混乱を、当の泉が悪意とともに助長させる。
「さぁて、小手調べといってみましょうか?」
相変わらずタールのような笑みを浮かべながら、泉は不意に指を鳴らした。
ぱきり。
不自然なくらいに響き渡るその音は、彼女の背後で立ち上る光柱に波紋を生む。
波紋は波となり、するすると光柱を登って行き、風葉達がいる窓の正面で停止する。
「こ、今度はなに?」
身構える風葉の眼前で、波は風船のように膨れ上がり、窓に触れる。
そして、そのまますり抜けた。
音を立てず、何も壊さず、さながら幽霊のように。
「な、何で!? 窓開いてないのに!?」
「そりゃ幻燈結界が動いてるからな。それよりも、もっと下がってくれ」
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