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#1 レツオウガ起動
Chapter01 邂逅 01-10
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言いつつ、風葉をかばうように前へ出る辰巳。その横顔は、近付くだけで肌を切りそうな鋭さをたたえている。
まるで、別人だ。
「う、ん」
聞きたいことはまだまだ山盛りだが、思わず後ろに下がる風葉。
そうする合間にも伸び続けていた光の塊は、既に天井を突くまでに膨れ上がっていた。辛うじて廊下の向こう側が透けて見えるが、通れそうな隙間はどこにもない。もはや壁だ。
そんな虹色の壁の向こうから、異形が姿を現した。
びぢゃり、と水音に似た異音が響く。三本ヅメの生えている緑色の右足が、廊下へと踏み出したのだ。
次に出たのは、ひょろりと前方に突き出た細長い緑色の顔。口は大きく裂けており、赤い眼が無機質に二人を捉えている。
どう見ても人間ではない。トカゲ、としか言いようのない異形の頭を晒す怪物どもは、虹色の向こう側から当たり前のように歩いて来る。
一匹。二匹。三匹。四匹。横に並びながらじりじりと近付いて来るトカゲ人間達は、全員が鎧と剣で武装している。
そして、明らかにこちらを狙っている。
「は、は」
たまらず、風葉は乾いた笑いをこぼした。
無理もあるまい。モノクロに塗り込められた日常の中を、極彩色の非常識が、敵意というオマケ付きで歩いて来るとあれば。
思わず頭を押さえ、下を向いてしまう風葉。
その萎縮を、先頭のトカゲ人間は見逃さない。
「GRAAAAAAAッ!」
「ひぁあう!?」
世に存在するどんな人語とも違う咆哮に、身を竦ませてしまう風葉。そうして足が止まった隙を突き、トカゲ人間は突貫する。
振り上げられる長剣。虹色を反射して怪しく輝くその刃は、明らかに風葉を狙っている。
「ち、ぃ」
そんな風葉を庇う辰巳は、刃を迎え撃つように左手を振り上げた。
直後、大上段から振り下ろされる長剣。
辰巳の左掌を目がけるトカゲ人間の刃は、斬、という肉を裂く音を、立てなかった。
代わりに響き渡ったのは、がぎり、という鉄と鉄の咬み合う音だ。
「GA!?」
明らかにおかしな音と手応えに、すぐさまバックステップで間合いを取るトカゲ人間。仲間達も同様に足を止めた。
そして今度は辰巳へ注意を向けながら、トカゲ人間は仲間と共に自分の剣を検分する。
ほんの少しだが、刀身の先が欠けていた。辰巳の左手とぶつかった箇所だ。
対する辰巳も、顔をしかめながら左掌を見下ろす。
「い、五辻くん!? 大丈夫なの!?」
おずおずと近づいた風葉は、肩越しに辰巳の手を覗きこみ、絶句した。
まるで、別人だ。
「う、ん」
聞きたいことはまだまだ山盛りだが、思わず後ろに下がる風葉。
そうする合間にも伸び続けていた光の塊は、既に天井を突くまでに膨れ上がっていた。辛うじて廊下の向こう側が透けて見えるが、通れそうな隙間はどこにもない。もはや壁だ。
そんな虹色の壁の向こうから、異形が姿を現した。
びぢゃり、と水音に似た異音が響く。三本ヅメの生えている緑色の右足が、廊下へと踏み出したのだ。
次に出たのは、ひょろりと前方に突き出た細長い緑色の顔。口は大きく裂けており、赤い眼が無機質に二人を捉えている。
どう見ても人間ではない。トカゲ、としか言いようのない異形の頭を晒す怪物どもは、虹色の向こう側から当たり前のように歩いて来る。
一匹。二匹。三匹。四匹。横に並びながらじりじりと近付いて来るトカゲ人間達は、全員が鎧と剣で武装している。
そして、明らかにこちらを狙っている。
「は、は」
たまらず、風葉は乾いた笑いをこぼした。
無理もあるまい。モノクロに塗り込められた日常の中を、極彩色の非常識が、敵意というオマケ付きで歩いて来るとあれば。
思わず頭を押さえ、下を向いてしまう風葉。
その萎縮を、先頭のトカゲ人間は見逃さない。
「GRAAAAAAAッ!」
「ひぁあう!?」
世に存在するどんな人語とも違う咆哮に、身を竦ませてしまう風葉。そうして足が止まった隙を突き、トカゲ人間は突貫する。
振り上げられる長剣。虹色を反射して怪しく輝くその刃は、明らかに風葉を狙っている。
「ち、ぃ」
そんな風葉を庇う辰巳は、刃を迎え撃つように左手を振り上げた。
直後、大上段から振り下ろされる長剣。
辰巳の左掌を目がけるトカゲ人間の刃は、斬、という肉を裂く音を、立てなかった。
代わりに響き渡ったのは、がぎり、という鉄と鉄の咬み合う音だ。
「GA!?」
明らかにおかしな音と手応えに、すぐさまバックステップで間合いを取るトカゲ人間。仲間達も同様に足を止めた。
そして今度は辰巳へ注意を向けながら、トカゲ人間は仲間と共に自分の剣を検分する。
ほんの少しだが、刀身の先が欠けていた。辰巳の左手とぶつかった箇所だ。
対する辰巳も、顔をしかめながら左掌を見下ろす。
「い、五辻くん!? 大丈夫なの!?」
おずおずと近づいた風葉は、肩越しに辰巳の手を覗きこみ、絶句した。
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