神影鎧装レツオウガ【小編リマスター版】 #1

横島孝太郎

文字の大きさ
41 / 162
#1 レツオウガ起動

Chapter01 邂逅 05-06

しおりを挟む
『Roger Kunai Etherealize』
 幾度目かになる跳躍の最中、辰巳は生成したクナイをキクロプスへ向けて連続投擲。上空から飛来する霊力の刃に、しかしキクロプスは回避の構えを取る事すらしない。
「WOOOOOOOOッ!」
「SHAAAAAッ!」
 事実クナイは体表に全て弾き返され、あるいは牙の弾幕を浴びせられて撃墜される。
 だがそれでいい。辰巳が狙ったのはクナイによるダメージではなく、牙の射線が逸れる一瞬だったのだから。
「セット! ジャンプ! 並びにパイル!」
『Roger Rebounder PileBunker Etherealize』
 着地もそこそこにリバウンダーを再生成した辰巳は、噴出口を地面と水平に向けて点火。スケーターのような姿勢でバランスをとるオウガは、爆発的な突撃で間合いを詰めつつ、キクロプスへ向けて右膝を振りかぶる。跳び膝蹴りである。
 それもただの膝蹴りではない。膝頭にあるEマテリアルが輝きを発し、螺旋状の円錐を形成したのだ。これこそ至近戦用の術式、パイルバンカーである。
「WOOOOOOッ!?」
 驚愕を叫びこそすれ、キクロプスは一歩たりとも動く気配を見せない。
 正確には、動けないのだ。足を動かす霊力を、牙の弾丸と体表の硬化に回した為に。
 予想通りの霊力調達方法に、辰巳は大した感慨も見せず、代わりに裂帛の気合を吐き出す。
ィッ!」
 かくして放たれるのは、オウガの重量に突撃の速度を上乗せし、更にパイルバンカーを伴った必殺の膝蹴り。
 単純な打撃だけでは済まないこの一撃は、無防備なキクロプスの胴体をやすやすと穿ち、杭による追撃で大穴を開ける、はずだった。
「何ッ!?」
 確かに膝蹴りは命中し、爆音が轟き、霊力の杭が大穴を穿った。
 だが、それはキクロプスにではない。右腕の竜にでもない。
「GI、GI……」
 突如としてオウガとキクロプスの間に割り込んだ、巨大な骸骨に穿たれたのだ。
 まるで、キクロプスを庇うかのように。
 卵の殻のようにやすやすと砕け散り、霊力の残滓となって吹き散っていく骸骨の欠片。その光を辰巳は目で追う。
「あれは、まさか」
「実験棟の骨格標本……こんな立派になって……」
「いや違うから。正気に戻るんだ霧宮さん」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

処理中です...