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#1 レツオウガ起動
Chapter02 凪守 03-06
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『Roger Impale Buster Ready』
電子音声がシステムの起動を告げ、全身の青いラインが再び脈動。Eマテリアルを介して集中する霊力を絞り込むように、辰巳は鋼の拳を握る。
弾頭となる青い光が、鉄拳を包む。更に左肩部装甲がスライド展開し、噴出する霊力光がマフラーのようにたなびく。
「GI、IIIIIッ!」
それを阻止せんと剣を振り下ろす竜牙兵。だが、まさにその斬撃の隙を突き、辰巳がカウンターの正拳を放った。
「疾__シ__#ッ!」
交錯する辰巳の拳と竜牙兵の刃。
軍配が上がったのは、やはり辰巳の方であった。
ほんの僅かに辰巳の装甲を削った後、だらりと垂れ下がる竜牙兵の両刃剣。
対する辰巳の鉄拳は、竜牙兵の胸部から背中へ向けて、半ば突き刺さっていた。
「GI、GI」
声なき声で呻く竜牙兵。既に致命傷なのだろう。だが、辰巳は手を緩めない。
手向けの一撃を、裂帛の気合いと共に叫ぶ。
「インペイルッ! バスタァァァァァァッ!」
直後、辰巳の拳を基点とした青い光が、竜牙兵の内側から炸裂した。
――辰巳が持つもう一つの大技、インペイル・バスター。基本的にはヴォルテック・バスターと同じく大量の霊力を撃ち出す術式だが、根本的に違う部分が二つある。
一つは、左肩部から展開されるマフラー状のラピッドブースターを用いて瞬間加速する事。
もう一つは、霊力コネクターという左腕本来の性質を利用し、接触した対象の固有霊力へ一時的に接続する事だ。
無理矢理なものであるため、接続は数秒間しか持たない。だが、炸裂術式を込めた霊力をねじ込むには、それで事足りる。
そうしてこの一撃を叩き込まれた対象は、全身の霊力経路をズタズタに引き裂かれた挙げ句、内側から爆散する事になるのだ。
ちなみに同様の一撃がスペクターへ叩き込まれた時に泉が無事だったのは、霊力センサーで位置を確認した上で、爆発が泉に向かぬよう指向性を制御していたためだ。
ともあれ、戦いは終わった。念入りにレーダーで調べても、今度こそ反応は無い。
小さく息をつく辰巳は、消えていく青い光の残滓を眺めながら、左腕のコンピュータに告げる。
「鎧装、解除」
青色の霊力光をなびかせながら、元のトレーニングウェアへと戻る辰巳。
同時に役目を終えた幻燈結界が解除され、世界が色と喧噪を取り戻す。
「……」
何となく手でひさしを作りつつ、辰巳は極彩色の世界を見回す。
曇天気味の空はそれでも青くて、忙しく行き交う自動車は赤白青その他色んな色。
耳には鳥の声やら騒ぐ子供の声やらが飛び込んできて、どこもかしこも忙しい。
そんな中に、血生臭い臭気を漂わせている自分が居る。
いつも思う。果たしてそれは、許される事なのかと。
「……いいさ。帰ろう」
首を振って妄想を追い出し、辰巳は踵を返す。
下らない感傷に浸る前に、やらなければならない事があるのだ。
「何で昔の人って言い回しがいちいち難解なんだろなぁ……」
竜牙兵よりもよっぽど手強い古文の宿題を思い返しながら、辰巳は頭をかいた。
電子音声がシステムの起動を告げ、全身の青いラインが再び脈動。Eマテリアルを介して集中する霊力を絞り込むように、辰巳は鋼の拳を握る。
弾頭となる青い光が、鉄拳を包む。更に左肩部装甲がスライド展開し、噴出する霊力光がマフラーのようにたなびく。
「GI、IIIIIッ!」
それを阻止せんと剣を振り下ろす竜牙兵。だが、まさにその斬撃の隙を突き、辰巳がカウンターの正拳を放った。
「疾__シ__#ッ!」
交錯する辰巳の拳と竜牙兵の刃。
軍配が上がったのは、やはり辰巳の方であった。
ほんの僅かに辰巳の装甲を削った後、だらりと垂れ下がる竜牙兵の両刃剣。
対する辰巳の鉄拳は、竜牙兵の胸部から背中へ向けて、半ば突き刺さっていた。
「GI、GI」
声なき声で呻く竜牙兵。既に致命傷なのだろう。だが、辰巳は手を緩めない。
手向けの一撃を、裂帛の気合いと共に叫ぶ。
「インペイルッ! バスタァァァァァァッ!」
直後、辰巳の拳を基点とした青い光が、竜牙兵の内側から炸裂した。
――辰巳が持つもう一つの大技、インペイル・バスター。基本的にはヴォルテック・バスターと同じく大量の霊力を撃ち出す術式だが、根本的に違う部分が二つある。
一つは、左肩部から展開されるマフラー状のラピッドブースターを用いて瞬間加速する事。
もう一つは、霊力コネクターという左腕本来の性質を利用し、接触した対象の固有霊力へ一時的に接続する事だ。
無理矢理なものであるため、接続は数秒間しか持たない。だが、炸裂術式を込めた霊力をねじ込むには、それで事足りる。
そうしてこの一撃を叩き込まれた対象は、全身の霊力経路をズタズタに引き裂かれた挙げ句、内側から爆散する事になるのだ。
ちなみに同様の一撃がスペクターへ叩き込まれた時に泉が無事だったのは、霊力センサーで位置を確認した上で、爆発が泉に向かぬよう指向性を制御していたためだ。
ともあれ、戦いは終わった。念入りにレーダーで調べても、今度こそ反応は無い。
小さく息をつく辰巳は、消えていく青い光の残滓を眺めながら、左腕のコンピュータに告げる。
「鎧装、解除」
青色の霊力光をなびかせながら、元のトレーニングウェアへと戻る辰巳。
同時に役目を終えた幻燈結界が解除され、世界が色と喧噪を取り戻す。
「……」
何となく手でひさしを作りつつ、辰巳は極彩色の世界を見回す。
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いつも思う。果たしてそれは、許される事なのかと。
「……いいさ。帰ろう」
首を振って妄想を追い出し、辰巳は踵を返す。
下らない感傷に浸る前に、やらなければならない事があるのだ。
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