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#1 レツオウガ起動
Chapter02 凪守 04-01
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翠明寮は大きく分けて三つの区画で構成されている。男子寮、女子寮、管理棟だ。
男女の寮は管理棟を挟み、南北に二棟ずつ建っている。縦列に並ぶ三階建て鉄筋コンクリートの中には、狭苦しい部屋が蜂の巣のようにぎっしりと並んでいるのだ。
ちなみに男女どの棟にも玄関は無い。一応一階廊下の突き当たりに出入口はあるが、そちらは非常口だ。
玄関は非常口の反対側、渡り廊下を渡った管理棟にある。浴場、食堂、事務室といった施設を一纏めにしてあるこの管理棟は、両隣にある四つの寮と渡り廊下で繋がっているのだ。
そして玄関は事務室の真正面にあり、当直の先生は窓越しに男女両生徒の出入りをチェックできるわけだ。
さて。そんな翠明寮の玄関を潜った矢先、辰巳は風葉に出くわした。
「やっほう」
事務室が見える窓の脇で、しゅぱっ、と小気味よく片手を上げる風葉。淡い水色のワンピースに、柔らかい黒髪が良く映えている。今日もグレイプニル・レプリカで髪を束ねているのだろう。
しかし、なぜまた風葉はこんなところに居るのだろうか。
「やぁ。宿直の先生を待ってるのか?」
窓越しの室内には誰も居ないのでそう考えた辰巳だったが、風葉は首を振る。
「はずれ。私が待ってたのは、五辻くんだよ」
「……俺?」
「うん」
「なんでまた? 耳が八つに増えたのか? それとも髭が生えたのか?」
「違うってば。まぁ、髭が生えたらそれはそれで一大事だけどさ」
言いつつ、風葉はもう片方の手に提げていた荷物を持ち上げる。
「よければ、一緒に宿題やらない?」
筆箱、ノート、古文の教科書。目下辰巳の頭を悩ませている宿題、その一式であった。
苦手な教科を教えて貰えるのなら、断る理由はまったく無い。
「……まぁ、良いけども。なんでまた?」
「だって、五辻くんにはお世話になりっぱなしじゃない? 何かちょっとでもお返ししないと、何かこう、もやもやしてさ」
「そうか? こっちとしては仕事の一環にたまたま知り合いが巻き込まれた、ってだけなんだが」
「だとしても、私の気がすまないんだよ」
「……義理堅いねぇ、霧宮さんは」
意外と、という一言を飲み込みつつ、辰巳は取りあえず男子寮へと向かう。
「食堂で待ってるからねー」
背中から聞こえる風葉の声に手を振り返しながら、辰巳はその場を後にした。
男女の寮は管理棟を挟み、南北に二棟ずつ建っている。縦列に並ぶ三階建て鉄筋コンクリートの中には、狭苦しい部屋が蜂の巣のようにぎっしりと並んでいるのだ。
ちなみに男女どの棟にも玄関は無い。一応一階廊下の突き当たりに出入口はあるが、そちらは非常口だ。
玄関は非常口の反対側、渡り廊下を渡った管理棟にある。浴場、食堂、事務室といった施設を一纏めにしてあるこの管理棟は、両隣にある四つの寮と渡り廊下で繋がっているのだ。
そして玄関は事務室の真正面にあり、当直の先生は窓越しに男女両生徒の出入りをチェックできるわけだ。
さて。そんな翠明寮の玄関を潜った矢先、辰巳は風葉に出くわした。
「やっほう」
事務室が見える窓の脇で、しゅぱっ、と小気味よく片手を上げる風葉。淡い水色のワンピースに、柔らかい黒髪が良く映えている。今日もグレイプニル・レプリカで髪を束ねているのだろう。
しかし、なぜまた風葉はこんなところに居るのだろうか。
「やぁ。宿直の先生を待ってるのか?」
窓越しの室内には誰も居ないのでそう考えた辰巳だったが、風葉は首を振る。
「はずれ。私が待ってたのは、五辻くんだよ」
「……俺?」
「うん」
「なんでまた? 耳が八つに増えたのか? それとも髭が生えたのか?」
「違うってば。まぁ、髭が生えたらそれはそれで一大事だけどさ」
言いつつ、風葉はもう片方の手に提げていた荷物を持ち上げる。
「よければ、一緒に宿題やらない?」
筆箱、ノート、古文の教科書。目下辰巳の頭を悩ませている宿題、その一式であった。
苦手な教科を教えて貰えるのなら、断る理由はまったく無い。
「……まぁ、良いけども。なんでまた?」
「だって、五辻くんにはお世話になりっぱなしじゃない? 何かちょっとでもお返ししないと、何かこう、もやもやしてさ」
「そうか? こっちとしては仕事の一環にたまたま知り合いが巻き込まれた、ってだけなんだが」
「だとしても、私の気がすまないんだよ」
「……義理堅いねぇ、霧宮さんは」
意外と、という一言を飲み込みつつ、辰巳は取りあえず男子寮へと向かう。
「食堂で待ってるからねー」
背中から聞こえる風葉の声に手を振り返しながら、辰巳はその場を後にした。
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