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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 01-06
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声の質から鑑みるに、青年、だろうか。
服装はサトウと同じスーツにコート。身長はサトウよりも少し大きい。
だが最も目を引くのが、その顔に被っている仮面だろう。
何か魔術的な補助道具なのだろうか。目元と口元のみを僅かに露出させているその仮面は、黒と赤のツートンカラーに塗り分けられている。
仮面には何らかの魔術的な措置が施されているらしく、男の声は奇妙にくぐもっている。口元が出ているにも関わらず、だ。
更に口元や手など、僅かに露出している肌は浅黒く、この男の奇妙さに拍車をかけていた。
「ヘェ? つーことはオウガをブッ潰す段取りが出来たワケか。OKOK、んじゃスパッといこうか。座標は前と同じでいいんだろ? フォースアームシステム――」
言いつつ、右腕を掲げる仮面の男。その手首、辰巳のものと似た形状の多目的コンピュータが、霊力の光を灯しだした。
だがサトウはそれを諫める。
「今すぐじゃないですよグレン君、日本に居るフリードマン氏の分霊から合図があってからです」
「んだよトロくせェな。さっさと終わらせてひとっ風呂浴びてえのによ」
外見に似合わぬ、いかにもチンピラじみた仮面男の物言いに、ギノアは片眉をつり上げる。
「……相変わらずですね、レイドウくんは」
苦笑を浮かべるギノア。
この仮面の青年こそ、単身で高度な転移術式を駆動させる事が出来る希有な技能の持ち主、グレン・レイドウである。
性格的には多少難があるものの、その術式に関する技量、特に転移術式の正確さに関しては、ギノアも身を持って知っている。
更に如何なる探査術式を駆使しているのか、仮面の男――もとい、グレンは右腕のコンピュータを見下ろしながら、とんでもない事をつぶやく。
「やるならさっさとやっちまえよ。エッケザックス共が動き出してる」
グレンの言うエッケザックスとは、アイスランドに所属する魔術機関だ。日本で言う凪守に該当する組織である。
天来号から跳んだ雷蔵が、早速動き出したのだ。
「ほほう、凪守にも中々頭の回る方がいらっしゃるようですね。ですが、こちらの準備は既に終わっています」
言いつつ、サトウは持っていたトランクを開き、中の物を取り出す。
恭しく取り出されたのは、外側の大きなトランクには見合わない、小さな木箱だった。
五十センチ四方ほどの小さな黒い立方体には、簡素な装飾と四脚の足が施されており、どこか香炉のようにも見える。だが側面にも天板にも、香気を発する為の穴は開いていない。
そんな用途不明の箱を、ギノアは椅子から立ち上がって受け取る。その顔には、子供のような喜色が満面に浮かんでいた。
服装はサトウと同じスーツにコート。身長はサトウよりも少し大きい。
だが最も目を引くのが、その顔に被っている仮面だろう。
何か魔術的な補助道具なのだろうか。目元と口元のみを僅かに露出させているその仮面は、黒と赤のツートンカラーに塗り分けられている。
仮面には何らかの魔術的な措置が施されているらしく、男の声は奇妙にくぐもっている。口元が出ているにも関わらず、だ。
更に口元や手など、僅かに露出している肌は浅黒く、この男の奇妙さに拍車をかけていた。
「ヘェ? つーことはオウガをブッ潰す段取りが出来たワケか。OKOK、んじゃスパッといこうか。座標は前と同じでいいんだろ? フォースアームシステム――」
言いつつ、右腕を掲げる仮面の男。その手首、辰巳のものと似た形状の多目的コンピュータが、霊力の光を灯しだした。
だがサトウはそれを諫める。
「今すぐじゃないですよグレン君、日本に居るフリードマン氏の分霊から合図があってからです」
「んだよトロくせェな。さっさと終わらせてひとっ風呂浴びてえのによ」
外見に似合わぬ、いかにもチンピラじみた仮面男の物言いに、ギノアは片眉をつり上げる。
「……相変わらずですね、レイドウくんは」
苦笑を浮かべるギノア。
この仮面の青年こそ、単身で高度な転移術式を駆動させる事が出来る希有な技能の持ち主、グレン・レイドウである。
性格的には多少難があるものの、その術式に関する技量、特に転移術式の正確さに関しては、ギノアも身を持って知っている。
更に如何なる探査術式を駆使しているのか、仮面の男――もとい、グレンは右腕のコンピュータを見下ろしながら、とんでもない事をつぶやく。
「やるならさっさとやっちまえよ。エッケザックス共が動き出してる」
グレンの言うエッケザックスとは、アイスランドに所属する魔術機関だ。日本で言う凪守に該当する組織である。
天来号から跳んだ雷蔵が、早速動き出したのだ。
「ほほう、凪守にも中々頭の回る方がいらっしゃるようですね。ですが、こちらの準備は既に終わっています」
言いつつ、サトウは持っていたトランクを開き、中の物を取り出す。
恭しく取り出されたのは、外側の大きなトランクには見合わない、小さな木箱だった。
五十センチ四方ほどの小さな黒い立方体には、簡素な装飾と四脚の足が施されており、どこか香炉のようにも見える。だが側面にも天板にも、香気を発する為の穴は開いていない。
そんな用途不明の箱を、ギノアは椅子から立ち上がって受け取る。その顔には、子供のような喜色が満面に浮かんでいた。
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