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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 11-04
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「……いたっ!」
程なく、風葉は捉えた。
Rフィールドの中心地点。元凶であるオーディンが、霊力装甲を破壊されたオウガに向けて、グングニルを振り上げている光景を。
「ちょっ――」
心臓が、熱く燃える。昂ぶる霊力が、フルスロットル以上の回転でRフィールドを斬り裂き、食い破る。
「――ちょっと待ったああああああああっ!!」
そうして、風葉はRフィールド内部へ吶喊する。
凶暴な牙を剥き出しに獲物へ飛びかかるその様は、まさに狼そのものであった。
◆ ◆ ◆
轟。
唐突に、獣の咆哮がつんざいた。外部から隔絶されているはずの、Rフィールドの只中に。
「な」
同時に絶句し、上を見る辰巳とギノア。
そうして両者は、一瞬霊力の制御すら忘れた。
さもあらん。何せ、上空のRフィールドがガラスか何かのようにひび割れ、砕けていたのだから。
クモの巣状に走る亀裂は、一体いつの間に刻まれたのだろうか。断層はおおむね半径五十メートルくらいの範囲で収まっているが、南側に走る一本だけがやたら長い。地面の端に届きそうなくらいだ。
「な、んだ。なんだアレは?」
ギノアはうろたえ、長い亀裂へ釘付けになっている。まぁ無理もない。絶対に破壊されないとサトウから聞かされていたRフィールドが、こうもたやすく突破されたとあっては。
同様に辰巳も驚いてはいたが、すぐに気を取り直す。アレは恐らく凪守が、Rフィールドを消滅させるために送り込んだ擬似コアユニット、レックウだ。
オウガの頭部と自分のバイザー、両方とも壊されたのでズーム確認は出来ないが、それでも二輪のシルエットは遠目に見えた。間違いない。
車体にまたがる小柄な人影――恐らく冥は、一直線に落下しながら獣の咆哮をRフィールド内に響かせている。
……実のところ、それはスカートがめくれ上がっているが故の絶叫であった。
確かにレックウにもオウガのコクピット同様、風圧等から搭乗者を保護する重力、および慣性制御術式はある。今もきちんと機能している。
が、それでも完全に打ち消せるわけではない。
加えてレックウへの搭乗は、辰巳のような戦闘服の着用を前提としている。袖口やスカートのような、ヒラヒラした服装での運転は想定外なのだ。
故に、中々あられもない姿になっているわけで。
なまじハンドルから手が離せないため、絶叫するしか無かったのだ。
程なく、風葉は捉えた。
Rフィールドの中心地点。元凶であるオーディンが、霊力装甲を破壊されたオウガに向けて、グングニルを振り上げている光景を。
「ちょっ――」
心臓が、熱く燃える。昂ぶる霊力が、フルスロットル以上の回転でRフィールドを斬り裂き、食い破る。
「――ちょっと待ったああああああああっ!!」
そうして、風葉はRフィールド内部へ吶喊する。
凶暴な牙を剥き出しに獲物へ飛びかかるその様は、まさに狼そのものであった。
◆ ◆ ◆
轟。
唐突に、獣の咆哮がつんざいた。外部から隔絶されているはずの、Rフィールドの只中に。
「な」
同時に絶句し、上を見る辰巳とギノア。
そうして両者は、一瞬霊力の制御すら忘れた。
さもあらん。何せ、上空のRフィールドがガラスか何かのようにひび割れ、砕けていたのだから。
クモの巣状に走る亀裂は、一体いつの間に刻まれたのだろうか。断層はおおむね半径五十メートルくらいの範囲で収まっているが、南側に走る一本だけがやたら長い。地面の端に届きそうなくらいだ。
「な、んだ。なんだアレは?」
ギノアはうろたえ、長い亀裂へ釘付けになっている。まぁ無理もない。絶対に破壊されないとサトウから聞かされていたRフィールドが、こうもたやすく突破されたとあっては。
同様に辰巳も驚いてはいたが、すぐに気を取り直す。アレは恐らく凪守が、Rフィールドを消滅させるために送り込んだ擬似コアユニット、レックウだ。
オウガの頭部と自分のバイザー、両方とも壊されたのでズーム確認は出来ないが、それでも二輪のシルエットは遠目に見えた。間違いない。
車体にまたがる小柄な人影――恐らく冥は、一直線に落下しながら獣の咆哮をRフィールド内に響かせている。
……実のところ、それはスカートがめくれ上がっているが故の絶叫であった。
確かにレックウにもオウガのコクピット同様、風圧等から搭乗者を保護する重力、および慣性制御術式はある。今もきちんと機能している。
が、それでも完全に打ち消せるわけではない。
加えてレックウへの搭乗は、辰巳のような戦闘服の着用を前提としている。袖口やスカートのような、ヒラヒラした服装での運転は想定外なのだ。
故に、中々あられもない姿になっているわけで。
なまじハンドルから手が離せないため、絶叫するしか無かったのだ。
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