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#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 12-02
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「――、まぁだまだっ!」
驚愕を押し殺し、更なる連続突きを放つギノア。マントから噴出する霊力で浮遊しながら、凄まじい速度の刺突を放つ。放つ。放ち続ける。
だがレツオウガはその全てを裏拳で、あるいは手刀で、素早く的確に打ち払う。まるで泉を人質にしていた時の二の舞だ。激しい連撃を浴びせられながら、実質ギノアが押されている。
しかも、あの時とは違って泉は居ない。辰巳に手加減をする理由は、まるでないのだ。
「す、ぅ」
レツオウガの両目越しに、辰巳はオーディンの呼吸を読む。刺突の嵐をかき分けながら、半歩、また半歩と間合いを詰める。
詰めながら、踏み込むべき最良のタイミングを模索する。
程なく、それは見えた。
「――!」
振り上げられるグングニル。上段、大振りを放つ予備動作。
間合い自体はやや遠いが、懐はガラ空きだ。
無論、オウガだったなら諦めたろう。鉄拳が届く前にグングニルが落ちて来る距離だ。
だが今のレツオウガは、常にリバウンダー並の跳躍を繰り出せるポテンシャルがある。
その隙、貰った――そう辰巳に判断させる事自体が、既にギノアの目論見であった。
「疾ッ!」
踏み込んで来るレツオウガ。読み通りである。
にぃ、と口の端を吊り上げながら、ギノアは大上段に構えたグングニルの穂先から霊力を噴出。
同時にマントからの霊力噴出をカットし、その分も全て穂先に回す。
かくて完成したのは、迅速なレツオウガの踏み込みを更に上回る、電光石火の一撃であった。
風葉が落ちてくる直前、辰巳がパイルを叩き込もうとした起死回生の一撃を、学習したのだ。
「貰いましたよォォッ!」
コクピットごと正中線を両断せんとする斬撃。コンマ数秒の差ではあるが、それでも速度は確実に向こうが上。
刹那の狭間にそんな刃の軌跡を垣間見た辰巳は、へぇ、と感心する。
「流石は戦神、か」
対するレツオウガは回避行動を取らない。踏み込みを崩す事すらしない。
ただ、強く。
左の拳を握り、突き出す。同時に、レツオウガの全身を包む霊力装甲がにわかに輝いた。
直後、二つの大質量が真正面から激突する。つんざく爆音にRフィールドが揺れ、煙のごとく乱舞する霊力の残光が、二機の神影鎧装を覆い尽くす。
「ぬ、ぁ、あ!?」
その煙を突き破り、一機の鎧装が上空へと飛び出す。
純白の甲冑に身を包むその姿は、紛れもなくギノアのオーディン・シャドーであった。
驚愕を押し殺し、更なる連続突きを放つギノア。マントから噴出する霊力で浮遊しながら、凄まじい速度の刺突を放つ。放つ。放ち続ける。
だがレツオウガはその全てを裏拳で、あるいは手刀で、素早く的確に打ち払う。まるで泉を人質にしていた時の二の舞だ。激しい連撃を浴びせられながら、実質ギノアが押されている。
しかも、あの時とは違って泉は居ない。辰巳に手加減をする理由は、まるでないのだ。
「す、ぅ」
レツオウガの両目越しに、辰巳はオーディンの呼吸を読む。刺突の嵐をかき分けながら、半歩、また半歩と間合いを詰める。
詰めながら、踏み込むべき最良のタイミングを模索する。
程なく、それは見えた。
「――!」
振り上げられるグングニル。上段、大振りを放つ予備動作。
間合い自体はやや遠いが、懐はガラ空きだ。
無論、オウガだったなら諦めたろう。鉄拳が届く前にグングニルが落ちて来る距離だ。
だが今のレツオウガは、常にリバウンダー並の跳躍を繰り出せるポテンシャルがある。
その隙、貰った――そう辰巳に判断させる事自体が、既にギノアの目論見であった。
「疾ッ!」
踏み込んで来るレツオウガ。読み通りである。
にぃ、と口の端を吊り上げながら、ギノアは大上段に構えたグングニルの穂先から霊力を噴出。
同時にマントからの霊力噴出をカットし、その分も全て穂先に回す。
かくて完成したのは、迅速なレツオウガの踏み込みを更に上回る、電光石火の一撃であった。
風葉が落ちてくる直前、辰巳がパイルを叩き込もうとした起死回生の一撃を、学習したのだ。
「貰いましたよォォッ!」
コクピットごと正中線を両断せんとする斬撃。コンマ数秒の差ではあるが、それでも速度は確実に向こうが上。
刹那の狭間にそんな刃の軌跡を垣間見た辰巳は、へぇ、と感心する。
「流石は戦神、か」
対するレツオウガは回避行動を取らない。踏み込みを崩す事すらしない。
ただ、強く。
左の拳を握り、突き出す。同時に、レツオウガの全身を包む霊力装甲がにわかに輝いた。
直後、二つの大質量が真正面から激突する。つんざく爆音にRフィールドが揺れ、煙のごとく乱舞する霊力の残光が、二機の神影鎧装を覆い尽くす。
「ぬ、ぁ、あ!?」
その煙を突き破り、一機の鎧装が上空へと飛び出す。
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