141 / 162
#1 レツオウガ起動
Chapter03 魔狼 12-02
しおりを挟む
「――、まぁだまだっ!」
驚愕を押し殺し、更なる連続突きを放つギノア。マントから噴出する霊力で浮遊しながら、凄まじい速度の刺突を放つ。放つ。放ち続ける。
だがレツオウガはその全てを裏拳で、あるいは手刀で、素早く的確に打ち払う。まるで泉を人質にしていた時の二の舞だ。激しい連撃を浴びせられながら、実質ギノアが押されている。
しかも、あの時とは違って泉は居ない。辰巳に手加減をする理由は、まるでないのだ。
「す、ぅ」
レツオウガの両目越しに、辰巳はオーディンの呼吸を読む。刺突の嵐をかき分けながら、半歩、また半歩と間合いを詰める。
詰めながら、踏み込むべき最良のタイミングを模索する。
程なく、それは見えた。
「――!」
振り上げられるグングニル。上段、大振りを放つ予備動作。
間合い自体はやや遠いが、懐はガラ空きだ。
無論、オウガだったなら諦めたろう。鉄拳が届く前にグングニルが落ちて来る距離だ。
だが今のレツオウガは、常にリバウンダー並の跳躍を繰り出せるポテンシャルがある。
その隙、貰った――そう辰巳に判断させる事自体が、既にギノアの目論見であった。
「疾ッ!」
踏み込んで来るレツオウガ。読み通りである。
にぃ、と口の端を吊り上げながら、ギノアは大上段に構えたグングニルの穂先から霊力を噴出。
同時にマントからの霊力噴出をカットし、その分も全て穂先に回す。
かくて完成したのは、迅速なレツオウガの踏み込みを更に上回る、電光石火の一撃であった。
風葉が落ちてくる直前、辰巳がパイルを叩き込もうとした起死回生の一撃を、学習したのだ。
「貰いましたよォォッ!」
コクピットごと正中線を両断せんとする斬撃。コンマ数秒の差ではあるが、それでも速度は確実に向こうが上。
刹那の狭間にそんな刃の軌跡を垣間見た辰巳は、へぇ、と感心する。
「流石は戦神、か」
対するレツオウガは回避行動を取らない。踏み込みを崩す事すらしない。
ただ、強く。
左の拳を握り、突き出す。同時に、レツオウガの全身を包む霊力装甲がにわかに輝いた。
直後、二つの大質量が真正面から激突する。つんざく爆音にRフィールドが揺れ、煙のごとく乱舞する霊力の残光が、二機の神影鎧装を覆い尽くす。
「ぬ、ぁ、あ!?」
その煙を突き破り、一機の鎧装が上空へと飛び出す。
純白の甲冑に身を包むその姿は、紛れもなくギノアのオーディン・シャドーであった。
驚愕を押し殺し、更なる連続突きを放つギノア。マントから噴出する霊力で浮遊しながら、凄まじい速度の刺突を放つ。放つ。放ち続ける。
だがレツオウガはその全てを裏拳で、あるいは手刀で、素早く的確に打ち払う。まるで泉を人質にしていた時の二の舞だ。激しい連撃を浴びせられながら、実質ギノアが押されている。
しかも、あの時とは違って泉は居ない。辰巳に手加減をする理由は、まるでないのだ。
「す、ぅ」
レツオウガの両目越しに、辰巳はオーディンの呼吸を読む。刺突の嵐をかき分けながら、半歩、また半歩と間合いを詰める。
詰めながら、踏み込むべき最良のタイミングを模索する。
程なく、それは見えた。
「――!」
振り上げられるグングニル。上段、大振りを放つ予備動作。
間合い自体はやや遠いが、懐はガラ空きだ。
無論、オウガだったなら諦めたろう。鉄拳が届く前にグングニルが落ちて来る距離だ。
だが今のレツオウガは、常にリバウンダー並の跳躍を繰り出せるポテンシャルがある。
その隙、貰った――そう辰巳に判断させる事自体が、既にギノアの目論見であった。
「疾ッ!」
踏み込んで来るレツオウガ。読み通りである。
にぃ、と口の端を吊り上げながら、ギノアは大上段に構えたグングニルの穂先から霊力を噴出。
同時にマントからの霊力噴出をカットし、その分も全て穂先に回す。
かくて完成したのは、迅速なレツオウガの踏み込みを更に上回る、電光石火の一撃であった。
風葉が落ちてくる直前、辰巳がパイルを叩き込もうとした起死回生の一撃を、学習したのだ。
「貰いましたよォォッ!」
コクピットごと正中線を両断せんとする斬撃。コンマ数秒の差ではあるが、それでも速度は確実に向こうが上。
刹那の狭間にそんな刃の軌跡を垣間見た辰巳は、へぇ、と感心する。
「流石は戦神、か」
対するレツオウガは回避行動を取らない。踏み込みを崩す事すらしない。
ただ、強く。
左の拳を握り、突き出す。同時に、レツオウガの全身を包む霊力装甲がにわかに輝いた。
直後、二つの大質量が真正面から激突する。つんざく爆音にRフィールドが揺れ、煙のごとく乱舞する霊力の残光が、二機の神影鎧装を覆い尽くす。
「ぬ、ぁ、あ!?」
その煙を突き破り、一機の鎧装が上空へと飛び出す。
純白の甲冑に身を包むその姿は、紛れもなくギノアのオーディン・シャドーであった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
半道海豚
SF
本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。
Chivalry - 異国のサムライ達 -
稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)
ファンタジー
シヴァリー(Chivalry)、それは主に騎士道を指し、時に武士道としても使われる言葉である。騎士道と武士道、両者はどこか似ている。強い精神をその根底に感じる。だが、士道は魔法使いが支配する世界でも通用するのだろうか?
これは魔法というものが絶対的な価値を持つ理不尽な世界で、士道を歩んだ者達の物語であり、その中でもアランという男の生き様に主眼を置いた大器晩成なる物語である。(他サイトとの重複投稿です。また、画像は全て配布サイトの規約に従って使用しています)
僕らの10パーセントは無限大
華子
青春
10%の確率でしか未来を生きられない少女と
過去に辛い経験をしたことがある幼ななじみと
やたらとポジティブなホームレス
「あり得ない今を生きてるんだったら、あり得ない未来だってあるんじゃねえの?」
「そうやって、信じたいものを信じて生きる人生って、楽しいもんだよ」
もし、あたなら。
10パーセントの確率で訪れる幸せな未来と
90パーセントの確率で訪れる悲惨な未来。
そのどちらを信じますか。
***
心臓に病を患う和子(わこ)は、医者からアメリカでの手術を勧められるが、成功率10パーセントというあまりにも酷な現実に打ちひしがれ、渡米する勇気が出ずにいる。しかしこのまま日本にいても、死を待つだけ。
追い詰められた和子は、誰に何をされても気に食わない日々が続くが、そんな時出逢ったやたらとポジティブなホームレスに、段々と影響を受けていく。
幼ななじみの裕一にも支えられながら、彼女が前を向くまでの物語。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる