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その名はスズカゼ
5.ギガントアーム・スズカゼ――発進します!
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「オイオイ何でそんな面倒な事を……てか、俺しか動かせないの!? なんでそんな仕様に!?」
忙しく表情が変わる一郎とは対照的に、ミスカは淡々と事実を述べる。
「さあな。その辺は製作者に聞くしかないが、どうあれ僕達としては都合が良かった」
「僕『達』? それ、俺もって事?」
「そうだ」
ミスカは改めてジットを、アクンドラ陣営の者達を見やる。
まず、第一に。理由は分からないが、ティルジット・ディナード四世を筆頭とするウォルタールの一団は、ギガントアーム・スズカゼ――もとい、ランバを制御する方法を探していた。そしてつい昨日、曲がりなりにもそれが手に入った。
では、第二に。次はどうするか? 決まっている。制御を確実にする方法だ。
必然、焦点が向けられるのは正規パイロット登録された異世界人、加藤一郎の立ち位置である。
一郎の思いがけないギガントアーム適正の高さは、先日確かに実証された。一郎自身の善性も、ミスカは良く知っている。適切に事情を説明すれば、少なくとも地球へ帰るまではどうにか戦ってくれるだろう。
だがギガントアーム・ランバの力を切望していたアクンドラ人達から見れば、どうか。彼等に必要なのはエルガディア魔導国の暴挙を止め、世界を元に戻すまでが目的の筈だ。そうしなければアクンドラの国体が持たない。
而して、今。その要となるギガントアーム・ランバはどうなっている?
「何? 俺が乗ってるのが、そんなにマズいワケ?」
「ああ、色々とな」
地球人、加藤一郎。彼がアクンドラ共和国の、ひいてはイーヴ・ラウスの為に戦う動機を、ミスカは見つけられない。増してや彼は、意図せず異世界へ放り出された被害者とあっては。
「だから、保険をかけさせて貰った」
現状のギガントアーム・ランバ、もといスズカゼは、ミスカによるシステム上の追加を施されている。ミスカの追加認証が無ければ、戦闘形態への可変が出来ないのだ。
「何の為に?」
「僕がスズカゼの操縦に参加する為だ」
「どうしてそんな事を?」
「答える前に、まず聞きたい」
「なんだよ持って回るな」
「またトーリス・ウォルトフが現れた時。あるいは彼以外の新たな敵が現れた時。同じように戦える覚悟が、キミにあるか?」
「それは、」
一郎は言葉に詰まった。無理もない。空手の心得があったとしても。ギガントアーム操縦適正があったとしても。
加藤一郎は、つい昨日まで地球で暮らす一般人だったのだ。
「先の戦闘は確かに見事だった。正直言うとスズカゼが動く直前まで、あのまま捕虜になる事も視野に入れていた」
「おっと。なんだかんだでそこまでは行かなかったとおもいますよー」
やんわりとしたジットの釘。ミスカは彼の目を一瞥する。
「だとしてもだ。あの時のキミの活躍には、大いに助けられた。ありがとう」
「お、おお。どういたしまし、て?」
「しかしだ。先の戦闘の際、キミは無我夢中だったな」
「え。いや、そりゃそうでしょ。初めての操縦だったし」
「地球の常識に照らし合わせれば、確かにそうだろう。だがスズカゼの行動ログを漁った所、面白いデータが見つかった」
「どんな」
「戦意高揚系魔法をパイロットへ行使した記録だ」
「戦意……やる気が満々になるって事?」
「そうだ。心当たりは?」
言われて、一郎は改めて拳を握る。
それが、スズカゼの鉄拳であると仮定して。
もう一度、立てるのか?
空手の試合とは何もかもが違う、戦場と言う場所に。
【――分かった。信じるよ、一郎】
一瞬。
脳裏。
昔。
遠い。
繧ケ繝?ぅ繧「。
思い出しかけたなにかを、一郎は自覚する前に忘れた。
「あるようだな」
我に返る一郎。ミスカ。こちらを見ている。何故?
「え。なに、何が?」
「戦意高揚魔法の痕跡」
「あ、ああ。それか」
気付けば、頬を何かがつたっている。
拭う。
汗だ。
理由は分からない。
ただ、奇妙な納得だけがあった。
「……そうだな。言われてみれば、初めての鉄火場であんだけ動けたのは。確かに不思議だ」
「だろうな」
ギガントアーム・スズカゼ。一口で言えばある種の遠隔操作兵器。
それがあった所で地球、それも平和な日本で長く暮らしていた一般人が、戦場の空気に耐えられる筈もない。一郎の顔色を、ミスカはそう読み取った。
「だから。僕が引き金を担当する。加藤、キミにはギガントアーム・スズカゼの操縦に専念して欲しい」
「待て! ふざけた事をぬかすな若造!」
と、声を荒げたのはマッツだ。
「ワシらが、アクンドラが、そんな事を許すと思っとるのか!?」
「おや」
対するミスカは、誰よりも意外そうな顔をした。
ウォルタールのメカニックであるマッツ・アリンは、昨日だけでもギガントアーム・スズカゼの性能を相当に調べ上げた筈だ。間違いなく、この場の誰よりも精通している。
そんな彼がエルガディア人ミスカの搭乗に反対するのは目に見えていた。いくら敵の敵と言える立場だろうと、そう簡単に信用されまい、と。
そしてこうした話は、会議が始まる前にジットへ通されているものとも思っていた。
行動を共にした時間は短いが、それでもティルジット・ディナード四世が聡明な人物である事は明白。スズカゼのシステムの細工も分かっている以上、ミスカがそれを交渉材料として出して来るのは明らか。
よって向こうはそれを認める代わり、ミスカ再生時に身体へ仕込んだ魔法――例えば精神破壊などの存在を明かす。アクンドラはいつでもミスカを始末できるという訳だ。だが本当に実行しまえば、スズカゼを起動する事は出来なくなる。とりあえずの拮抗状態が完成と言う訳だ。
が、しかし。
「……」
改めて、ミスカは見回す。程度の差こそあれ室内の者達は、誰もが微妙な顔でミスカを見ていた。例外は二人。何も分かっていない加藤一郎と、全てがわかっているティルジット・ディナード四世。
ジットは、微笑した。
「ない、のか?」
「えっ何? お茶? フォーセルもおかわりするんだったか?」
「違う、そんなんじゃない」
のんきに二杯目をいただく一郎を横目に、ミスカは思考を巡らす。
先程通信する前、ミスカは確かに自分の身体を調べた。異常はどこにも見当たらなかったが、それはあくまでプレートによる簡易スキャンだから引っかからなかったのだ、とばかり思っていた。
身体の深部に何かが、爆弾のようなものが隠されている。そうでもなければエルガディア人にウォルタール内での自由行動なぞ、認められる筈がない。
そう、ミスカは踏んでいたのだが。
「こうして同じ卓について改めて分かりましたぜ。若、このエルガディア野郎にギガントアーム制御を任せるのは、危険すぎやす」
「俺も一応やるんだけど」
「オメエさんは……いいんだよ、まあ、なんか」
苦虫を嚙み潰したような顔をするマッツだが、やはりジットの微笑は崩れない。
「ええ、分かりますよ。マッツ整備主任の懸念も、フォーセルさんの驚きも、どちらもね」
「……そこまで見透かしているなら。当然僕が納得する回答も用意されているのかな」
「勿論。端的に言えば、加藤さんに原因があります」
「えっ」
唐突に水を向けられた一郎のみならず、室内の誰もが少なからず驚いた。
ミスカは、しかし合点がいった。
「そうか、加藤一郎は地球人……!」
「そういう事です」
「いやどういう事ですか」
「フォーセルさんが言った通りですよ。加藤さんは地球人です。そしてアナタは先の戦闘を、戦意高揚魔法による補助を受けて切り抜けました」
「らしいね。それが?」
「戦意高揚、に限った話ではないのですけどね。魔法による精神誘導を長期間行った場合、対象の身体や心に悪影響が及ぶ事があるのです」
「あー。薬も使い過ぎると毒になる、みたいな感じ?」
「みたいな感じです」
「しかし、若! だからと言って!」
食い下がるマッツに、ジットは事実を返す。
「我々は……いや。イーヴ・ラウスに生きる全ての者は、知らないのです。地球人に対し精神誘導系の魔法を長期間行使した場合、どんな影響があるのかをね。それともエルガディア・グループにはそうしたデータがあるんでしょうか」
「まさか。確かに地球人の社員も存在するが、彼らは一人一人が貴重な協力者であり、戦力だ。そんな実験動物のような扱いなぞ、出来る筈もない」
「なんかめちゃくちゃ不穏な事言ってないかいキミら」
「気にするな。しかも加藤一郎はギガントアーム・スズカゼのメインパイロットと来ている。エルガディア魔導国との戦いがどう動くかは未知数、戦闘がどれだけの期間になるかも分からぬ以上、僕の側にまで余計な枷をかける事がそもそも下策……と」
「そう言う事です」
ミスカは、顎に手を当てる。改めて分析する。
今まで前提としていた懸念事項、それらは的外れだった。
これはつまり、その気になればギガントアーム・スズカゼを使ってウォルタールを破壊する事さえ可能であるという事だ。
無論、ミスカも一郎もそんな事をしない人柄なのは、ジット自身分かっている筈。
しかし。他の乗組員達にはどうやらそうした情報は伝わっていないらしい。マッツの態度からそれが分かる。
だが、何故そんな状況になっている? 話せない理由があるのか?
「……いや、そうか」
一つ、仮定が生まれる。
ティルジット・ディナード四世は、話せなかったのではない。話さなかったのだ。乗組員達へミスカの情報、特に人柄や目的を意図的に。そう考えれば色々と辻褄が合う。
なれば必然、疑問点が新たに生まれる。何故ティルジット・ディナード四世はそんな事をした? 部下への情報共有と言う大前提を、何故自分から捨てたのだ?
それについてもミスカは仮定を立てている。しかし、もしこの仮定が当たっていたとすれば。
「そう遠くないうちに――!」
「なに、どうしたの」
立ち上がりかけるミスカと、それを横目にカップを傾ける一郎。
衝撃は、そのタイミングで襲い来た。
一郎は、それでお茶をこぼした。
「あっつ! こぼした! ごめんなさいってか何だ今の!」
「どうやら攻撃を受けているようですねえ。遮蔽魔法は完全だと思っていたのですが」
「わ、若! どうなさるつもりなんで!?」
狼狽えるマッツとは真逆、奇妙に落ち着いた表情で、ジットは答えた。
「その説明をこの場で行う予定だったのですが……繰り上げて、実行に移すしかなさそうです」
肩をすくめるティルジット・ディナード四世。ミスカ・フォーセルは、彼を改めて見据える。
もし本当に、ミスカの仮定通りだったのだとしたら。
ジットが戦っていたのは、エルガディア魔導国だけではない。
ウォルタールの乗組員達に対してもだ。
◆ ◆ ◆
その、十分後。
加藤一郎は、ウォルタールのコンテナ上部に立っていた。
風はない。現在ウォルタールは停車し、高い木々の影に車体を隠している。
しばし、その木々を一郎は見据える。常陽樹だろうか。一見すると杉に似ているが、葉の色が青みがかっている。加えて背が高い。巨大車両ウォルタールが十分に隠れられる程だ。
しかしてギガントアームよりは流石に低い。見やれば立ち並ぶ青葉の向こう、ライフルを構えじりじりと警戒前進するグラウカの上半身が見えた。
ふと、一郎は口にする。
「なんか、不思議だな」
「何がだ」
答えたのは傍らに立つミスカ・フォーセル。なし崩し的に出撃許可を得た二人は、スズカゼの発進を待っているのである。
「そりゃあ、色々さ。例えば昨日まであんだけ氷だらけだったのが、今日は鬱蒼とした森の中だし」
「それだけウォルタールの足が速いという事だ」
あの場から早く離れたかったのもあるだろうがな、という続きをミスカは飲み込んだ。
「なんか、遂に俺自身がVRになったし」
掌を合わせる一郎。意識を向け、魔力を操作。すると左右の掌は、互いをすり抜けてX字のようになった。
「ほら、ほら! 凄い! 凄くない!?」
「凄くない。その程度は魔法使いにとって初歩の一つだ」
「えぇー」
「最も、魔法を使えるようになって二日目でそれが出来るのは、大したものではあるがな」
「何だよヤッパリ凄いんじゃん」
にやにやする一郎とは逆に、ミスカはひとつ息をつく。
今の言動と状態から分かる通り、今の一郎は物理肉体ではない。ミスカと同じく、魔力で作られた身体に精神を移している状態だ。スズカゼ初起動時にジットの杖先でぶら下がっていたのと理屈は同じである。
ただし、今回は状況が違う。意識の抜けた一郎の身体は今、ウォルタールの一室で安全に保護されているのだ。
「にしてもあんなでっかい試験管みたいのに入るなんて、SF映画でしか見た事なかったなあ」
一郎の言うでかい試験管とはウォルタール内にある施設の一つ、遠隔操作室に備えられた分体保管装置の事である。精神を分離する魔法を使う場合、本来ならこうした施設を用いて無防備の身体を保護するのが一般的なのだ。
「つい昨日映画もかくやの大立ち回りをした男が、それを言うかね」
「だって昨日は無我夢中だったし。それに」
その時、ごうん、と。
一郎達の背後で、重い金属音が響いた。
振り向けば、音立てて展開するウォルタールの後部コンテナ天面。現れるのは、先程ミスカが通った通路、ではない。巨大な魔方陣である。
電子回路のように複雑な文様を描く魔方陣は、瞬く間にウォルタールのコンテナよりも大きく展開。然る後四倍ほどの大きさで安定すると、文様は突然消える。それに入れ替わって現れたのは、金属の壁で囲まれた四角く巨大な空間――ギガントアーム格納庫であった。
昨日、魔法について教わった一郎には分かる。これは魔法による空間接続。格納庫の射出口とウォルタールのコンテナ天面が繋がっているのだ。自室の冷気と同じように。
「それに、どうしたんですか?」
一郎への問いかけ。声の主の姿は見えない。そもそも脳内に直接聞こえて来ている。精神分体に備わった機能の一つ、思念通信だ。そしてその通信相手は今、格納庫内に居る。もっと詳しい言い方をするならば、スズカゼのコクピット内部にいるのだ。それも一郎やミスカとは違う、まったくの生身で。
「あぁー。いや、何というか。一夜漬けするなんて学生時代以来だったからなあ」
「成程。加藤さんは一夜漬けするタイプなんですね」
「その言いぶりだと、キミはそういうのとは縁遠い感じなのかな。えーと、ディナード、さん?」
「あはは! 止めて下さいよ加藤さん。今まで通りジットで良いですよ」
「そ、そうかい? じゃあ俺の事も名前で呼んでくれないかな」
「なんだ加藤、今更そんな所にこだわるのか」
「いや、こだわるってえか、普通に分からなかったんだよ」
「ひょっとしてジットを苗字だと思ってたんですか?」
「そう、その通り」
「ふむん。その辺は地球のヒトの感覚かもですね」
そう言ってころころ笑うのは、スズカゼのコクピットに座る少年。即ちティルジット・ディナード四世その人である。
確かにスズカゼにも有人操縦用のコクピットはある。だが精神融合による遠隔操縦、あるいは人工知能による自動制御がギガントアーム操縦の主流となりつつある現代において、有人操縦を行う必要性は低い。
先の戦闘が良い例だろう。あのグラウカ部隊は指揮官のトーリス機以外、全て無人だった。だというのに、何故ジットはわざわざリスクを冒そうとするのか?
「……しかし。本当に良いのですね? ディナード大尉」
「大尉。うふふ、くすぐったいなあ。お飾りの肩書がこんなに役に立つ日が来るなんてねえ」
一郎と違っておいそれと友好になれないミスカの呼び方に、ジットはまた笑みを深める。
然る後、真顔に戻る。
「……ええ、勿論。それが僕自身、提示した条件ですからね」
ティルジット・ディナード四世が提示した条件。
それは、加藤一郎及びミスカ・フォーセルの二名をウォルタールの臨時乗組員として迎え入れたいと言う事だった。無論、ギガントアーム・スズカゼを用いる戦闘要員として。
当然反対意見は出た。マッツだけではない。それまで沈黙していた従者のアルグやシューカ、更にはミスカさえもが異を唱えた。
『スズカゼを操縦する間、無防備となる僕と加藤の安全を誰が保証するんだ』
至極真っ当なミスカの疑念に対し、ジットは得意げに言ったものだ。
『無論、僕が保障します』
『具体的な方法は?』
『ギガントアーム・スズカゼが出撃している間、僕が生身でコクピットに搭乗します。互いを人質とする事で安全が保障される訳ですね』
絶句する皆を置き去りに、ジットは笑みを浮かべたものだ。そうこうする合間にも、断続的な爆音はじわじわ大きくなって来ている。グラウカの砲撃が正確になりつつあるのだ。
一郎は、たまらず問うた。
『な、なあ。色々とヤバいんじゃないのか?』
『まだ大丈夫ですよ。頃合いを見て、出力を上げた遮蔽魔法を張り直します。それで当面の危機は防げるでしょう』
『だが、それは当面の話だ。いつまでもこうしている訳にはいかない』
一郎を除き、この場の誰もが覚える懸念を、ミスカは代弁する。
だがジットの提案を除けられる者は、結局誰もいなかったのだ。
そして、今。
「良いですか? 現状はどうにか姿を隠せていますが、発進時には遮蔽魔法を解除しなければなりません。よってウォルタールの遮蔽再展開が終わるまで、こちらで攻撃を引き付ける必要があります」
「分かってるって。要するに攻め続ければ良いんでしょ」
軽口をたたく一郎。先の戦闘と同じく、戦意高揚魔法の影響下にある証拠だ。メインパイロットには必ず行使されるよう、スズカゼのシステムが設定しているのだ。
やる気になっているのはありがたいが、長期的に見ると良い傾向ではない。戦意高揚に限らず、精神に作用する魔法とは結局のところノイズだからだ。例えどれだけ意気軒昂だろうと、ノイズが入った精神では肝心なところで判断を誤る可能性がある。
言わば軽く酩酊しているようなものだ。初出撃の兵士によく使われるものとはいえ、あまり好ましい状態ではない。
「それを補助するのもまた僕の業務、か」
「どうかしたのかフォーセル」
「独り言だ、気にするな。こちらはいつでも行けるぞ、大尉」
「了解です! それではギガントアーム・スズカゼ――発進します!」
かくてジットの号令のもと、カタパルトから射出された一振りの巨大刀が、蒼空を切り裂いた。
忙しく表情が変わる一郎とは対照的に、ミスカは淡々と事実を述べる。
「さあな。その辺は製作者に聞くしかないが、どうあれ僕達としては都合が良かった」
「僕『達』? それ、俺もって事?」
「そうだ」
ミスカは改めてジットを、アクンドラ陣営の者達を見やる。
まず、第一に。理由は分からないが、ティルジット・ディナード四世を筆頭とするウォルタールの一団は、ギガントアーム・スズカゼ――もとい、ランバを制御する方法を探していた。そしてつい昨日、曲がりなりにもそれが手に入った。
では、第二に。次はどうするか? 決まっている。制御を確実にする方法だ。
必然、焦点が向けられるのは正規パイロット登録された異世界人、加藤一郎の立ち位置である。
一郎の思いがけないギガントアーム適正の高さは、先日確かに実証された。一郎自身の善性も、ミスカは良く知っている。適切に事情を説明すれば、少なくとも地球へ帰るまではどうにか戦ってくれるだろう。
だがギガントアーム・ランバの力を切望していたアクンドラ人達から見れば、どうか。彼等に必要なのはエルガディア魔導国の暴挙を止め、世界を元に戻すまでが目的の筈だ。そうしなければアクンドラの国体が持たない。
而して、今。その要となるギガントアーム・ランバはどうなっている?
「何? 俺が乗ってるのが、そんなにマズいワケ?」
「ああ、色々とな」
地球人、加藤一郎。彼がアクンドラ共和国の、ひいてはイーヴ・ラウスの為に戦う動機を、ミスカは見つけられない。増してや彼は、意図せず異世界へ放り出された被害者とあっては。
「だから、保険をかけさせて貰った」
現状のギガントアーム・ランバ、もといスズカゼは、ミスカによるシステム上の追加を施されている。ミスカの追加認証が無ければ、戦闘形態への可変が出来ないのだ。
「何の為に?」
「僕がスズカゼの操縦に参加する為だ」
「どうしてそんな事を?」
「答える前に、まず聞きたい」
「なんだよ持って回るな」
「またトーリス・ウォルトフが現れた時。あるいは彼以外の新たな敵が現れた時。同じように戦える覚悟が、キミにあるか?」
「それは、」
一郎は言葉に詰まった。無理もない。空手の心得があったとしても。ギガントアーム操縦適正があったとしても。
加藤一郎は、つい昨日まで地球で暮らす一般人だったのだ。
「先の戦闘は確かに見事だった。正直言うとスズカゼが動く直前まで、あのまま捕虜になる事も視野に入れていた」
「おっと。なんだかんだでそこまでは行かなかったとおもいますよー」
やんわりとしたジットの釘。ミスカは彼の目を一瞥する。
「だとしてもだ。あの時のキミの活躍には、大いに助けられた。ありがとう」
「お、おお。どういたしまし、て?」
「しかしだ。先の戦闘の際、キミは無我夢中だったな」
「え。いや、そりゃそうでしょ。初めての操縦だったし」
「地球の常識に照らし合わせれば、確かにそうだろう。だがスズカゼの行動ログを漁った所、面白いデータが見つかった」
「どんな」
「戦意高揚系魔法をパイロットへ行使した記録だ」
「戦意……やる気が満々になるって事?」
「そうだ。心当たりは?」
言われて、一郎は改めて拳を握る。
それが、スズカゼの鉄拳であると仮定して。
もう一度、立てるのか?
空手の試合とは何もかもが違う、戦場と言う場所に。
【――分かった。信じるよ、一郎】
一瞬。
脳裏。
昔。
遠い。
繧ケ繝?ぅ繧「。
思い出しかけたなにかを、一郎は自覚する前に忘れた。
「あるようだな」
我に返る一郎。ミスカ。こちらを見ている。何故?
「え。なに、何が?」
「戦意高揚魔法の痕跡」
「あ、ああ。それか」
気付けば、頬を何かがつたっている。
拭う。
汗だ。
理由は分からない。
ただ、奇妙な納得だけがあった。
「……そうだな。言われてみれば、初めての鉄火場であんだけ動けたのは。確かに不思議だ」
「だろうな」
ギガントアーム・スズカゼ。一口で言えばある種の遠隔操作兵器。
それがあった所で地球、それも平和な日本で長く暮らしていた一般人が、戦場の空気に耐えられる筈もない。一郎の顔色を、ミスカはそう読み取った。
「だから。僕が引き金を担当する。加藤、キミにはギガントアーム・スズカゼの操縦に専念して欲しい」
「待て! ふざけた事をぬかすな若造!」
と、声を荒げたのはマッツだ。
「ワシらが、アクンドラが、そんな事を許すと思っとるのか!?」
「おや」
対するミスカは、誰よりも意外そうな顔をした。
ウォルタールのメカニックであるマッツ・アリンは、昨日だけでもギガントアーム・スズカゼの性能を相当に調べ上げた筈だ。間違いなく、この場の誰よりも精通している。
そんな彼がエルガディア人ミスカの搭乗に反対するのは目に見えていた。いくら敵の敵と言える立場だろうと、そう簡単に信用されまい、と。
そしてこうした話は、会議が始まる前にジットへ通されているものとも思っていた。
行動を共にした時間は短いが、それでもティルジット・ディナード四世が聡明な人物である事は明白。スズカゼのシステムの細工も分かっている以上、ミスカがそれを交渉材料として出して来るのは明らか。
よって向こうはそれを認める代わり、ミスカ再生時に身体へ仕込んだ魔法――例えば精神破壊などの存在を明かす。アクンドラはいつでもミスカを始末できるという訳だ。だが本当に実行しまえば、スズカゼを起動する事は出来なくなる。とりあえずの拮抗状態が完成と言う訳だ。
が、しかし。
「……」
改めて、ミスカは見回す。程度の差こそあれ室内の者達は、誰もが微妙な顔でミスカを見ていた。例外は二人。何も分かっていない加藤一郎と、全てがわかっているティルジット・ディナード四世。
ジットは、微笑した。
「ない、のか?」
「えっ何? お茶? フォーセルもおかわりするんだったか?」
「違う、そんなんじゃない」
のんきに二杯目をいただく一郎を横目に、ミスカは思考を巡らす。
先程通信する前、ミスカは確かに自分の身体を調べた。異常はどこにも見当たらなかったが、それはあくまでプレートによる簡易スキャンだから引っかからなかったのだ、とばかり思っていた。
身体の深部に何かが、爆弾のようなものが隠されている。そうでもなければエルガディア人にウォルタール内での自由行動なぞ、認められる筈がない。
そう、ミスカは踏んでいたのだが。
「こうして同じ卓について改めて分かりましたぜ。若、このエルガディア野郎にギガントアーム制御を任せるのは、危険すぎやす」
「俺も一応やるんだけど」
「オメエさんは……いいんだよ、まあ、なんか」
苦虫を嚙み潰したような顔をするマッツだが、やはりジットの微笑は崩れない。
「ええ、分かりますよ。マッツ整備主任の懸念も、フォーセルさんの驚きも、どちらもね」
「……そこまで見透かしているなら。当然僕が納得する回答も用意されているのかな」
「勿論。端的に言えば、加藤さんに原因があります」
「えっ」
唐突に水を向けられた一郎のみならず、室内の誰もが少なからず驚いた。
ミスカは、しかし合点がいった。
「そうか、加藤一郎は地球人……!」
「そういう事です」
「いやどういう事ですか」
「フォーセルさんが言った通りですよ。加藤さんは地球人です。そしてアナタは先の戦闘を、戦意高揚魔法による補助を受けて切り抜けました」
「らしいね。それが?」
「戦意高揚、に限った話ではないのですけどね。魔法による精神誘導を長期間行った場合、対象の身体や心に悪影響が及ぶ事があるのです」
「あー。薬も使い過ぎると毒になる、みたいな感じ?」
「みたいな感じです」
「しかし、若! だからと言って!」
食い下がるマッツに、ジットは事実を返す。
「我々は……いや。イーヴ・ラウスに生きる全ての者は、知らないのです。地球人に対し精神誘導系の魔法を長期間行使した場合、どんな影響があるのかをね。それともエルガディア・グループにはそうしたデータがあるんでしょうか」
「まさか。確かに地球人の社員も存在するが、彼らは一人一人が貴重な協力者であり、戦力だ。そんな実験動物のような扱いなぞ、出来る筈もない」
「なんかめちゃくちゃ不穏な事言ってないかいキミら」
「気にするな。しかも加藤一郎はギガントアーム・スズカゼのメインパイロットと来ている。エルガディア魔導国との戦いがどう動くかは未知数、戦闘がどれだけの期間になるかも分からぬ以上、僕の側にまで余計な枷をかける事がそもそも下策……と」
「そう言う事です」
ミスカは、顎に手を当てる。改めて分析する。
今まで前提としていた懸念事項、それらは的外れだった。
これはつまり、その気になればギガントアーム・スズカゼを使ってウォルタールを破壊する事さえ可能であるという事だ。
無論、ミスカも一郎もそんな事をしない人柄なのは、ジット自身分かっている筈。
しかし。他の乗組員達にはどうやらそうした情報は伝わっていないらしい。マッツの態度からそれが分かる。
だが、何故そんな状況になっている? 話せない理由があるのか?
「……いや、そうか」
一つ、仮定が生まれる。
ティルジット・ディナード四世は、話せなかったのではない。話さなかったのだ。乗組員達へミスカの情報、特に人柄や目的を意図的に。そう考えれば色々と辻褄が合う。
なれば必然、疑問点が新たに生まれる。何故ティルジット・ディナード四世はそんな事をした? 部下への情報共有と言う大前提を、何故自分から捨てたのだ?
それについてもミスカは仮定を立てている。しかし、もしこの仮定が当たっていたとすれば。
「そう遠くないうちに――!」
「なに、どうしたの」
立ち上がりかけるミスカと、それを横目にカップを傾ける一郎。
衝撃は、そのタイミングで襲い来た。
一郎は、それでお茶をこぼした。
「あっつ! こぼした! ごめんなさいってか何だ今の!」
「どうやら攻撃を受けているようですねえ。遮蔽魔法は完全だと思っていたのですが」
「わ、若! どうなさるつもりなんで!?」
狼狽えるマッツとは真逆、奇妙に落ち着いた表情で、ジットは答えた。
「その説明をこの場で行う予定だったのですが……繰り上げて、実行に移すしかなさそうです」
肩をすくめるティルジット・ディナード四世。ミスカ・フォーセルは、彼を改めて見据える。
もし本当に、ミスカの仮定通りだったのだとしたら。
ジットが戦っていたのは、エルガディア魔導国だけではない。
ウォルタールの乗組員達に対してもだ。
◆ ◆ ◆
その、十分後。
加藤一郎は、ウォルタールのコンテナ上部に立っていた。
風はない。現在ウォルタールは停車し、高い木々の影に車体を隠している。
しばし、その木々を一郎は見据える。常陽樹だろうか。一見すると杉に似ているが、葉の色が青みがかっている。加えて背が高い。巨大車両ウォルタールが十分に隠れられる程だ。
しかしてギガントアームよりは流石に低い。見やれば立ち並ぶ青葉の向こう、ライフルを構えじりじりと警戒前進するグラウカの上半身が見えた。
ふと、一郎は口にする。
「なんか、不思議だな」
「何がだ」
答えたのは傍らに立つミスカ・フォーセル。なし崩し的に出撃許可を得た二人は、スズカゼの発進を待っているのである。
「そりゃあ、色々さ。例えば昨日まであんだけ氷だらけだったのが、今日は鬱蒼とした森の中だし」
「それだけウォルタールの足が速いという事だ」
あの場から早く離れたかったのもあるだろうがな、という続きをミスカは飲み込んだ。
「なんか、遂に俺自身がVRになったし」
掌を合わせる一郎。意識を向け、魔力を操作。すると左右の掌は、互いをすり抜けてX字のようになった。
「ほら、ほら! 凄い! 凄くない!?」
「凄くない。その程度は魔法使いにとって初歩の一つだ」
「えぇー」
「最も、魔法を使えるようになって二日目でそれが出来るのは、大したものではあるがな」
「何だよヤッパリ凄いんじゃん」
にやにやする一郎とは逆に、ミスカはひとつ息をつく。
今の言動と状態から分かる通り、今の一郎は物理肉体ではない。ミスカと同じく、魔力で作られた身体に精神を移している状態だ。スズカゼ初起動時にジットの杖先でぶら下がっていたのと理屈は同じである。
ただし、今回は状況が違う。意識の抜けた一郎の身体は今、ウォルタールの一室で安全に保護されているのだ。
「にしてもあんなでっかい試験管みたいのに入るなんて、SF映画でしか見た事なかったなあ」
一郎の言うでかい試験管とはウォルタール内にある施設の一つ、遠隔操作室に備えられた分体保管装置の事である。精神を分離する魔法を使う場合、本来ならこうした施設を用いて無防備の身体を保護するのが一般的なのだ。
「つい昨日映画もかくやの大立ち回りをした男が、それを言うかね」
「だって昨日は無我夢中だったし。それに」
その時、ごうん、と。
一郎達の背後で、重い金属音が響いた。
振り向けば、音立てて展開するウォルタールの後部コンテナ天面。現れるのは、先程ミスカが通った通路、ではない。巨大な魔方陣である。
電子回路のように複雑な文様を描く魔方陣は、瞬く間にウォルタールのコンテナよりも大きく展開。然る後四倍ほどの大きさで安定すると、文様は突然消える。それに入れ替わって現れたのは、金属の壁で囲まれた四角く巨大な空間――ギガントアーム格納庫であった。
昨日、魔法について教わった一郎には分かる。これは魔法による空間接続。格納庫の射出口とウォルタールのコンテナ天面が繋がっているのだ。自室の冷気と同じように。
「それに、どうしたんですか?」
一郎への問いかけ。声の主の姿は見えない。そもそも脳内に直接聞こえて来ている。精神分体に備わった機能の一つ、思念通信だ。そしてその通信相手は今、格納庫内に居る。もっと詳しい言い方をするならば、スズカゼのコクピット内部にいるのだ。それも一郎やミスカとは違う、まったくの生身で。
「あぁー。いや、何というか。一夜漬けするなんて学生時代以来だったからなあ」
「成程。加藤さんは一夜漬けするタイプなんですね」
「その言いぶりだと、キミはそういうのとは縁遠い感じなのかな。えーと、ディナード、さん?」
「あはは! 止めて下さいよ加藤さん。今まで通りジットで良いですよ」
「そ、そうかい? じゃあ俺の事も名前で呼んでくれないかな」
「なんだ加藤、今更そんな所にこだわるのか」
「いや、こだわるってえか、普通に分からなかったんだよ」
「ひょっとしてジットを苗字だと思ってたんですか?」
「そう、その通り」
「ふむん。その辺は地球のヒトの感覚かもですね」
そう言ってころころ笑うのは、スズカゼのコクピットに座る少年。即ちティルジット・ディナード四世その人である。
確かにスズカゼにも有人操縦用のコクピットはある。だが精神融合による遠隔操縦、あるいは人工知能による自動制御がギガントアーム操縦の主流となりつつある現代において、有人操縦を行う必要性は低い。
先の戦闘が良い例だろう。あのグラウカ部隊は指揮官のトーリス機以外、全て無人だった。だというのに、何故ジットはわざわざリスクを冒そうとするのか?
「……しかし。本当に良いのですね? ディナード大尉」
「大尉。うふふ、くすぐったいなあ。お飾りの肩書がこんなに役に立つ日が来るなんてねえ」
一郎と違っておいそれと友好になれないミスカの呼び方に、ジットはまた笑みを深める。
然る後、真顔に戻る。
「……ええ、勿論。それが僕自身、提示した条件ですからね」
ティルジット・ディナード四世が提示した条件。
それは、加藤一郎及びミスカ・フォーセルの二名をウォルタールの臨時乗組員として迎え入れたいと言う事だった。無論、ギガントアーム・スズカゼを用いる戦闘要員として。
当然反対意見は出た。マッツだけではない。それまで沈黙していた従者のアルグやシューカ、更にはミスカさえもが異を唱えた。
『スズカゼを操縦する間、無防備となる僕と加藤の安全を誰が保証するんだ』
至極真っ当なミスカの疑念に対し、ジットは得意げに言ったものだ。
『無論、僕が保障します』
『具体的な方法は?』
『ギガントアーム・スズカゼが出撃している間、僕が生身でコクピットに搭乗します。互いを人質とする事で安全が保障される訳ですね』
絶句する皆を置き去りに、ジットは笑みを浮かべたものだ。そうこうする合間にも、断続的な爆音はじわじわ大きくなって来ている。グラウカの砲撃が正確になりつつあるのだ。
一郎は、たまらず問うた。
『な、なあ。色々とヤバいんじゃないのか?』
『まだ大丈夫ですよ。頃合いを見て、出力を上げた遮蔽魔法を張り直します。それで当面の危機は防げるでしょう』
『だが、それは当面の話だ。いつまでもこうしている訳にはいかない』
一郎を除き、この場の誰もが覚える懸念を、ミスカは代弁する。
だがジットの提案を除けられる者は、結局誰もいなかったのだ。
そして、今。
「良いですか? 現状はどうにか姿を隠せていますが、発進時には遮蔽魔法を解除しなければなりません。よってウォルタールの遮蔽再展開が終わるまで、こちらで攻撃を引き付ける必要があります」
「分かってるって。要するに攻め続ければ良いんでしょ」
軽口をたたく一郎。先の戦闘と同じく、戦意高揚魔法の影響下にある証拠だ。メインパイロットには必ず行使されるよう、スズカゼのシステムが設定しているのだ。
やる気になっているのはありがたいが、長期的に見ると良い傾向ではない。戦意高揚に限らず、精神に作用する魔法とは結局のところノイズだからだ。例えどれだけ意気軒昂だろうと、ノイズが入った精神では肝心なところで判断を誤る可能性がある。
言わば軽く酩酊しているようなものだ。初出撃の兵士によく使われるものとはいえ、あまり好ましい状態ではない。
「それを補助するのもまた僕の業務、か」
「どうかしたのかフォーセル」
「独り言だ、気にするな。こちらはいつでも行けるぞ、大尉」
「了解です! それではギガントアーム・スズカゼ――発進します!」
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