泡沫

文字の大きさ
8 / 17

潤side

しおりを挟む
何気ない会話を俺は愛結とたくさんした。

「終わったらカラオケ行きたい!」

酔った玲奈ちゃんがそう言って
行くことになった。

まだ、愛結といれることを嬉しく思う。

営業が終わると彼女はまたそわそわし始める。

「あの、伝票…」

そう言ってまた財布を出そうとするから

「要らないよ?貰うつもりない」

と言って彼女の頭に手をのせる

「でも…」

と彼女は聞き分けがなくて。

「来てほしいわけじゃないから。」

そう俺は言った。

来てほしいわけじゃない。金なんていらない。

カラオケに移動しようとしたとき

俺の側で

「潤くん無理しなくても…」

と心配そうにいう。

「え?無理なんてしてないよ?」

俺が無理して行こうとしてると思って
気を遣ったんだろう。

俺は背の小さい愛結の耳までかがんで

「だって、俺が一緒にいたいから」

そう言った。

それは嘘でもなく、偽りもない気持ち。

カラオケについてからも
愛結と俺は沢山お互いのことを話した。

愛結には姉弟がいて2番目だと。

そして、俺の2つ下で。

小学生の時の話とか。

俺にも弟と兄貴がいるけど

それぞれ違う生活だし。

俺だけが兄弟の中で、ポンコツということも
話したんだ。

だけど、過去の恋愛話はやっぱり聞きたくなくて俺も、過去の話をするのはやめた。

そんなこと話てるうちに

彼女が話さなくなったので気になって
見てみるとこくりこくりと寝ていて
俺の肩にもたれかかった。

「あれ?愛結?」

玲奈ちゃんがそれに気がつき起こそうとしたから

「シーッ」

って指を立てて笑った。

「なんか潤も歌え」

そう亜季さんに言われて

仕方なく、歌う。

彼女が俺の肩にもたれかかり寝ていて

それだけでも、凄く幸せな気持ちになった。

なんか、止まった感情が

溢れだそうとしていた。

お開きになり、玲奈ちゃんが
彼女に声をかける。

「ごめん!あたし…」

と、目をパチパチさせてそして
玲奈ちゃんと亜季さんと翔と咲花ちゃんが
立っていることと自分が置かれてる状況にパニックになってるのが面白くて笑ってしまった。

「いや、大丈夫だよ!」

そう言って俺は彼女の鞄を持ち、手を繋いだ。

小さい手を折れてしまいそうなこの手を
折れないようにぎゅっと繋いだ。

タクシーをそれぞれ捕まえ

三方向にわかれて乗ろうとすると

亜季さんに耳打ちで

「潤、愛結に手出すなよ」

そう言われて

凄い勢いで睨み付けておいた。

言われなくてもわかってる。

タクシーに乗ると
繋がれた手を彼女もはぎゅっと強く握り
下を向いていた。

なんか…あったのかな?

携帯みてから元気がない。

聞いていいものだかわからなくて
そのままにした。

タクシーを降りて

「ありがとう。」

と、彼女は言った。

でもなんか気になったから

「なんか疲れちゃった?」

そう言って彼女を覗き込む。

「え?」

「なんか、元気ないから。じゃあ、ゆっくり寝るんだよ…?」

そう言って彼女の頭へと手をやる。

だけど、俺のスーツを彼女は引っ張ってきた。

「ん?どうした?」

俺がそう言うと

「…あたし歌聞いてない…玲奈がうまかったって…。」

といいながら顔を真っ赤にしていた。

俺の心臓はうるさいぐらいに早くなり

ぎゅーっと掴まれる。

あー…もう…無理。

「…っそんなこと言われたらさ…」

そう言いながら彼女を抱き締めていた。

細いその華奢な身体を俺はぎゅっと抱き締めた。

「潤くん…?」

そう言って、彼女は俺を見上げる。

「ごめん、離せなくて。」

きっと、もう離してといいたかったんだろうけど、無理だった。

俺の腰に手をまわしてぎゅっと彼女はしてから

「…っ一緒にいたい…。」

と、俺の胸のなかで言った。


思考が止まる。

今…なんて?

「え?」

思わず声がでてしまった。

「あっ…ごめん!なにいってんだろう。」

そう言って視線をずらして俺から離れた

「か…帰るね。」

「いや、待って。俺も一緒にいたい」

彼女の腕を掴んでそう言った。

いや、もう真っ赤になってるの自分でわかるぐらい恥ずかしくて。

「俺の家くる?」

なんて言葉も、自制が効かないぐらい
すらすらとでてきてしまっていた。

「…っうん…」

彼女はそう言った。

手を繋ぎ、自分の家まで歩く。

頭のなかはもうぐちゃぐちゃで

部屋きたねぇのにどうしようとか、

自分ち呼んでなにする?とか

理性保てねぇただのスケベじゃんとか

落ち着け、俺。

そんなことと格闘しながら歩いていた。

俺は、彼女に既にひかれてて


気持ちは…好きだと自覚した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

メリザンドの幸福

下菊みこと
恋愛
ドアマット系ヒロインが避難先で甘やかされるだけ。 メリザンドはとある公爵家に嫁入りする。そのメリザンドのあまりの様子に、悪女だとの噂を聞いて警戒していた使用人たちは大慌てでパン粥を作って食べさせる。なんか聞いてたのと違うと思っていたら、当主でありメリザンドの旦那である公爵から事の次第を聞いてちゃんと保護しないとと庇護欲剥き出しになる使用人たち。 メリザンドは公爵家で幸せになれるのか? 小説家になろう様でも投稿しています。 蛇足かもしれませんが追加シナリオ投稿しました。よろしければお付き合いください。

【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!

山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」 夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。

私だけが赤の他人

有沢真尋
恋愛
 私は母の不倫により、愛人との間に生まれた不義の子だ。  この家で、私だけが赤の他人。そんな私に、家族は優しくしてくれるけれど……。 (他サイトにも公開しています)

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?

志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。 父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。 多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。 オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。 それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。 この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!

【完結】どくはく

春風由実
恋愛
捨てたつもりが捨てられてしまった家族たちは語る。 あなたのためだったの。 そんなつもりはなかった。 だってみんながそう言うから。 言ってくれたら良かったのに。 話せば分かる。 あなたも覚えているでしょう? 好き勝手なことを言うのね。 それなら私も語るわ。 私も語っていいだろうか? 君が大好きだ。 ※2025.09.22完結 ※小説家になろうにも掲載中です。

神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました

青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。 それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。

処理中です...