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海外展開行動計画2025

来たる超高齢化社会により、さまざまな分野で国内市場が縮小している中、日本企業にとって、海外展開の必要性は一層増しています。


総務省では、2025年までに海外展開に重点を置く為「総務省海外展開行動計画2025」を作成しました。こちらは、国際的な状況や環境の変化を考慮しながら、具体的な分野に焦点を当てて取り組む為の計画が立てられています。



■「海外展開行動計画2025」のポイント

【1】海外展開を取り巻く情勢の変化

◇新型ウイルス感染症のパンデミックによる社会経済活動の停滞により、デジタル化に期待が高まり、経済復興を促進するためにデジタル技術を基盤として活用することが求められています。

◇サプライチェーンのリスクやサイバーセキュリティの懸念が現れ、自由で開かれたインド太平洋（FOIP）の実現に向けて、国際連携を強化する必要があります。

◇SDGsの達成に向けて、デジタル技術を活用して気候変動に対応する必要があります。


【2】基本理念及び「10の重点分野」の特定

◇2025年に向けて海外展開に関する取組を特に強化すべき10の重点分野を特定しました。


 《10の重点分野》
①Open RANを中心とした5G/ローカル5G等のブロードバンド整備
②光海底ケーブル
③データセンター／インフラシェアリング
④ICTソリューション
（医療、農業、準天頂衛星、スマートシティ等）
⑤地上デジタル放送
⑥放送コンテンツ
⑦サイバーセキュリティ
⑧郵便
⑨消防・防災
⑩制度等含むソフトインフラ
（行政相談、統計制度等）



10の重点分野に関しては、各国・地域の特性に応じて展開することとしています。


【具体的な展開例】

①5Gに関して
英国との間では、日英デジタルグループの枠組みを活用し、Beyond 5Gをはじめとする先端技術の研究開発や標準化活動にかかる協力を推進する方向です。

②海底ケーブルに関して
日本では、国際通信の約99％を海底ケーブルに依存しています。国境を越えたデータ流通量が増加する中で、海底ケーブルの重要性は一層高まっています。
更に、国内の海底ケーブルは主に太平洋側に敷設され、日本海側が未整備です。このように特定地域に集中している為、大規模災害が首都圏で発生した場合、全国規模で通信環境に多大な影響が生じる可能性があり、早急に整備が必要です。

③データセンターについて
データセンターはデータを蓄積、処理する機能を果たしているもので、インターネットサービスの基盤となっています。
こちらのデータセンターも約6割が首都圏に集中している為、海底ケーブル同様災害時の通信障害などの懸念から立地の分散化が進められています。


④ICTソリューション
最近よく聞く「ICTソリューション」という言葉ですが、これは「情報通信技術を使って個人・企業の課題や問題を解決する」ことを意味します。汎用ICTとしてスマートフォンやインターネットが挙げられます。

NTT Comはミャンマーでの携帯電話通信事業に参入し、2020年6月時点で2,740万の契約者数を抱える、ミャンマー最大のMNO（キャリア）を運営しています。
更に、メコン経済圏全域において、タイ・ベトナムを含むアジアの多国籍企業などを対象に、 ICT ソリューションサービスを提供しています。
また、KDDIグループでは104都市に245拠点を起き、世界に現地法人を展開しています。
今後も日本企業の海外展開が期待されます。


⑤地上デジタル放送に関して
2006年にブラジルで「地デジ日本方式」が採用されたのをきっかけとして、各国に働きかけ、今では「地デジ日本方式」が20か国で採用されています。今後は日本方式を採用とした国のアナログ放送から地上デジタル放送への着実な移行を進めるため、支援・フォローを行い、日本方式を採用してくれた国に対して、日本企業の地デジ送信機・関連システムなどの製品の導入へ働きかけを実施する方向です。


⑥放送コンテンツに関して
積極的に海外展開に取り組む放送事業者や制作会社と連携し、日本の魅力を発信するコンテンツが海外で効果的に受け入れられるよう、オンライン共通基盤の整備やグローバルな視点を持ったコンテンツ人材の育成などの取り組みを検討しています。こうした取り組みを通じて、2025年までに2020年と比べて日本の放送コンテンツの海外売上高を1.5倍に増加させることを目指しています。

特に期待したいのが、日本アニメ放送コンテンツです。海外輸出額の大部分を「アニメ」が占めており、その割合も年々増加傾向にあります。 輸出先は「アジア」や「北米」が中心でしたが、近年は「全世界」へ順調に伸びています。


⑦サイバーセキュリティ
スマートフォン、インターネットの普及により、個人や企業を問わず、ハッキングによるコンピュータへの侵入や情報の盗難、データの改ざんといった被害に遭う危険性が高まってきています。また、最近では、企業や組織が保有しているプライバシー情報などのデータが外部へ漏えいしてしまうというトラブルも数多く発生しています。企業や組織として、データの管理方法などのルールを策定し、その遵守を徹底しなければなりません。

日本のサイバーセキュリティ対策は、海外製品や海外由来の情報に大きく依存していて、国内のサイバー攻撃情報の収集・分析等が十分にできていません。また、海外事業者の製品を使用することで、国内のデータが海外事業者に流れ、日本のセキュリティ関連の情報が海外で分析されている状態なのです。その上、分析の結果を知るためには、ウイルスなどの脅威情報を海外事業者から購入する状況が継続しているという負のスパイラルに陥っています。

総務省では、情報通信技術を専門とする国内唯一の公的研究機関として、サイバーセキュリティに関する国内トップレベルの研究開発を実施している国立研究開発法人情報通信研究機構（NICT）と連携し、「CYNEX（サイネックス）」の構築を2021年（令和3年）から進めています。


⑧郵便分野について
日本では、ロシア郵便の国際交換局向けの区分機の製造を受注しています。また、シベリア鉄道を利用した日本から欧州宛ての船便郵便物の輸送や、日露間の国際郵便を活用した越境eコマース、さらにはロシアの郵便局での日本商品の販売など、さまざまな協力が行われています。

同様に、ベトナムでも日本の郵便ノウハウが導入されており、日本企業が区分機の受注を行っています。さらに、ベトナムの郵便局の金融サービスを電子化する支援も行い、年金支給などに電子マネーカードが活用されています。
郵便分野では、今後もより一層の海外展開が期待されています。


⑨消防・防災
各国に日本の消防用機器等の品質、規格・認証制度を紹介し、日本規格の浸透に向けて取り組み始めています。
特に、日本の消防用機器等に関する規格・認証制度に高い関心を示しているベトナムとは、「日本国総務省とベトナム社会主義共和国公安省との消防分野における協力覚書」を締結しました。
引き続き、ベトナムをはじめ幅広く東南アジア諸国等に対し働き掛けていくことで、日本の規格に適合する消防用機器等の海外展開を推進していきます。


⑩ソフトインフラとは
新たなフロンティア分野として、医療、農業・食品、廃棄物処理、教育、防災などの分野が注目されています。
このような大型の施設整備を必ずしも伴わず、日本で培われた制度や仕組みを途上国に輸出することを「ソフトインフラ」と呼称しています。

ソフトインフラ分野を拡大するにあたっては、途上国における政府の強い規制の存在や、規制の運用の不明確さ、現地パートナー探しの困難さなど、大きな問題があります。
これらの問題は民間企業だけでは解決が容易ではない課題であり、政府と民間企業が連携をすることにより、この問題が解決に向かっていくと想定されています。



【3】海外展開手法のブラッシュアップ

︎︎︎︎︎︎☑︎各国との政策対話を活用した積極的なトップセールス
︎︎︎︎︎︎☑︎協力覚書を活用した案件の盛り込み
︎︎︎︎︎︎☑︎要人来日時の働きかけ
︎︎︎︎︎︎☑︎海外展開支援予算施策の強化
︎︎︎︎︎︎☑︎官民ファンドJICTの活用・連携の強化
︎︎︎︎︎︎☑︎デジタル海外展開プラットフォームの機能強化
☑︎国際機関への積極的な関与とマルチ関係・国際会議の活用


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ここ10年ほどの急速なグローバル化の進展に併せて、日本企業もさまざまな手法で海外展開や海外事業の拡大を目指していますが、欧米企業や中国・韓国企業などとの競争も激化しており、順調に拡大できている企業ばかりではありません。政府と一体となってこれらを進めて行くことが重要になって行くことでしょう。


また、「アニメ」や「ゲーム」「漫画」などの日本のコンテンツの海外市場規模は4兆6882億円と言われています。TOHO animation（東方アニメーション）の2023年3～8月の海外売り上げが前年同期比85.8％増の約50.4億円を記録しました。パンデミックにおける巣ごもり需要でブーストがかかり成長を後押しした模様です。

映画分野でも記憶に新しい『THE FIRST SLAM DUNK』が中国で131億円超えの興収を記録しています。



しかし、そこにはアニメを支えるクリエーター問題あります。
一昔前は低賃金労働の代名詞だったアニメーターを中心とするアニメスタッフですが、ここ最近の賃金は上昇傾向にあり、深夜労働や過度な残業を禁止するスタジオは着実に増えているのですが、アニメ制作本数に対して、スタッフの絶対数が足りず、限られた人材を取り合う状態となってしまっています。
今後はスタッフの育成環境を整え、優れたスキルを継承出来るような仕組みを作っていかなければならないでしょう。


日本のアニメは、「クールジャパン」の代表的なコンテンツです。魅力的なキャラクターとストーリー、美しい映像、独特の世界観などが、海外の人々に絶賛され、世界中からのニーズがあり、盛り上がりを見せている今こそが、最大のチャンスであり、突破口だと考えます。

アニメの原作となるラノベクリエーターの皆さんの活躍にも期待しています。