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旦那たちの愛を見届けろ/11
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小学校教諭と国家公務員に愛を告げられた、非凡であるが故にはみ出した性格の蓮。バイセクシャルの複数婚――プライベートも時代の最先端をいっている。マスコミを賑わし、ファンたちに新しい一面を見せ、センセーショナルを巻き起こしているアーティスト。鋭利なスミレ色の瞳は窓の外に向けられたまま、偉そうに言い放った。
「いい。してやる」
一人ずつ。プロポーズをして、婿にきた男。月命の頬を、甘美な果実でもつかみ取るように引き寄せ、鋭利なスミレ色の瞳とヴァイオレットのそれは閉じられて、ベビーピンクの口紅をした唇に、蓮の綺麗なそれはそっと押し当てられた。
――順番通りのキス。
鋭利なスミレ色の瞳が再びまぶたから姿を現し、伸びきる歌声のように余韻を残しながら、頬に添えていた手のひらと一緒にゆっくりと離れてゆく。
唇の感触がなくなると、長い眠りから覚めたように、月姫は銀の長い前髪を、ムーンストーンの指輪をした指先ですくい取り、名残惜しそうに唇で、針のようなサラサラな感触を楽しむと、するするとこぼれ落ちていった。
月命を間に挟んだまま、蓮は今度反対側の腕をそうっと伸ばす。二人の間に座っている姫をお互いに愛する、ライバルではなく、性的に愛している貴増参王子の腕も同時に伸びてきて、姫の背中でちょうど交差した。
百九十七センチ越えの長身で、立ち上がることもなく、お互いの顔は簡単に近づき、蓮と貴増参はもうひとつの腕で、月命ごと相手を抱きしめて、とろけるように瞳は閉じられ、少し柔らかいふたつの唇は触れ合った。
――魅惑的で禁断なキス。
三人、もう一組いる。蓮の右腕は背中で上半分の円を描いで引き戻され、それと互い違いに左腕は下から月命の頬へもう一度触れた。綺麗な化粧をした男の顔を、もう一人の男がいる反対側へと押し向ける。
月命は結婚指輪をする手で、同じ契約の証の指輪をした蓮のそれをそっと包み込みながら、俺さま王子の力によって、反対側へと振り返った。
「貴増参王子、僕も君を愛しています」
貴増参の大きくて綺麗な手が、月命のマゼンダ色の髪のそばへと伸ばされた。
「チャイナのお姫さまに、僕の愛を捧げちゃいましょう」
真ん中にいる姫は、王子二人の手をそれぞれの手でつかむ。愛の重複の中で、瞳を閉じ、蓮の温もりが残ったままの月命の唇に、貴増参の温もりも重ねられたのだった。
――姫と王子のキス。
夫三人の背後で、妻はさっきから見ていた――
いや、蓮のヒット曲――R&Bのグルーブ感に乗りながら、深緑のベルベットブーツは葵色の絨毯の上で、右に左にステップを刻んでいた。
「あぁっ!」
イケメン三人の整った横顔が近づいては、唇に触れてゆく。
暖炉の炎に照らし出された三人の影は、部屋の壁で狂ったように踊る。原始的な儀式を行うためのトランス状態を連想させ、ひどく幻想的でセクシュアルだった。
紫の月明かりが夫たちのほのかな影を、もうひとつ別に床へと落とす。その前で、妻は一人踊る、R&B。
「ラブロマンス映画も真っ青なキスを三人でして……。このまま服を脱ぎそうな勢いで……」
歌い出しに入り、バックステップを踏む。右に、一、二、三、四……。
「この三人ので? どうやってするんだろう?」
左に、一、二、三、四……。
「よし、考えてみよう!」
曲の中盤に入り、右回りの大きな円を描く。一、二、三、四……。
「そうだなぁ~?」
バイセクシャルなだけであって、腐女子ではない妻は、頑張ってかけ算をしてみた。受けが月命。攻めが蓮と貴増参。
「月さんのアレを、蓮と貴増参さんが両方から口にする……!」
月命のが女性的であるばかりに、意味不明な妻のつぶやきだった。エロ妄想中の妻は、ソファーを勝手にベッドに変え、ムンクの叫びのように顔を歪ませる。
――妻の頭の中では、紫の月影が差し込む、夫三人のベッドで白いチャイナドレスは持ち主を失って、ベッドから今床にするすると落ちたところだった。
レースの下着からはみ出した、色気も跪く曲線美を持つ足が、シーツの上で悩ましげに動くたび、シワが幾重にもできてゆく。
颯茄は両手で顔を覆って、大声を上げた。
「あぁ~! それは、月さんが悶え死ぬので、やめてください~!」
思い出したように、R&Bのステップを踏む。一、二、三、四……。そうして、また落ちてゆく、夫3Pというエクスタシーの海底へ向かって。
妻の頭の中では、月命がピンヒールで、蓮と貴増参を踏みつけるSM。
「攻めと受けが逆になって……二人のを月さんが包み込む……。貴増参さんのを……あぁ~、もう絶対に相性良すぎるな。蓮の? あぁ~、こっちもある意味やっぱり相性いい。でも、どのみち、月さんは悶え死に――の運命なんだな」
曲も妻の妄想もサビに入り、両腕を上げ、右に左に揺らす。だがしかし、妻はとうとう浸りというまぶたに瞳を隠してしまった。
あっという間に目が回り、バランスを崩して、またパンツ丸出しにして、絨毯の上に尻餅をついた。
「いや~! 月さんのあの喘ぎ声が~! セクシーすぎる~~!」
だが妄想もダンスも止まることもなく、一、二、三、四、一、二、三、四……。頭をシェイクし続ける颯茄。
すぐ暴走する妻と違って、落ち着きがある夫三人。絨毯の上で、大木が強風に揺れるように踊り狂っている颯茄に、すぐに気がついた。
「いい。してやる」
一人ずつ。プロポーズをして、婿にきた男。月命の頬を、甘美な果実でもつかみ取るように引き寄せ、鋭利なスミレ色の瞳とヴァイオレットのそれは閉じられて、ベビーピンクの口紅をした唇に、蓮の綺麗なそれはそっと押し当てられた。
――順番通りのキス。
鋭利なスミレ色の瞳が再びまぶたから姿を現し、伸びきる歌声のように余韻を残しながら、頬に添えていた手のひらと一緒にゆっくりと離れてゆく。
唇の感触がなくなると、長い眠りから覚めたように、月姫は銀の長い前髪を、ムーンストーンの指輪をした指先ですくい取り、名残惜しそうに唇で、針のようなサラサラな感触を楽しむと、するするとこぼれ落ちていった。
月命を間に挟んだまま、蓮は今度反対側の腕をそうっと伸ばす。二人の間に座っている姫をお互いに愛する、ライバルではなく、性的に愛している貴増参王子の腕も同時に伸びてきて、姫の背中でちょうど交差した。
百九十七センチ越えの長身で、立ち上がることもなく、お互いの顔は簡単に近づき、蓮と貴増参はもうひとつの腕で、月命ごと相手を抱きしめて、とろけるように瞳は閉じられ、少し柔らかいふたつの唇は触れ合った。
――魅惑的で禁断なキス。
三人、もう一組いる。蓮の右腕は背中で上半分の円を描いで引き戻され、それと互い違いに左腕は下から月命の頬へもう一度触れた。綺麗な化粧をした男の顔を、もう一人の男がいる反対側へと押し向ける。
月命は結婚指輪をする手で、同じ契約の証の指輪をした蓮のそれをそっと包み込みながら、俺さま王子の力によって、反対側へと振り返った。
「貴増参王子、僕も君を愛しています」
貴増参の大きくて綺麗な手が、月命のマゼンダ色の髪のそばへと伸ばされた。
「チャイナのお姫さまに、僕の愛を捧げちゃいましょう」
真ん中にいる姫は、王子二人の手をそれぞれの手でつかむ。愛の重複の中で、瞳を閉じ、蓮の温もりが残ったままの月命の唇に、貴増参の温もりも重ねられたのだった。
――姫と王子のキス。
夫三人の背後で、妻はさっきから見ていた――
いや、蓮のヒット曲――R&Bのグルーブ感に乗りながら、深緑のベルベットブーツは葵色の絨毯の上で、右に左にステップを刻んでいた。
「あぁっ!」
イケメン三人の整った横顔が近づいては、唇に触れてゆく。
暖炉の炎に照らし出された三人の影は、部屋の壁で狂ったように踊る。原始的な儀式を行うためのトランス状態を連想させ、ひどく幻想的でセクシュアルだった。
紫の月明かりが夫たちのほのかな影を、もうひとつ別に床へと落とす。その前で、妻は一人踊る、R&B。
「ラブロマンス映画も真っ青なキスを三人でして……。このまま服を脱ぎそうな勢いで……」
歌い出しに入り、バックステップを踏む。右に、一、二、三、四……。
「この三人ので? どうやってするんだろう?」
左に、一、二、三、四……。
「よし、考えてみよう!」
曲の中盤に入り、右回りの大きな円を描く。一、二、三、四……。
「そうだなぁ~?」
バイセクシャルなだけであって、腐女子ではない妻は、頑張ってかけ算をしてみた。受けが月命。攻めが蓮と貴増参。
「月さんのアレを、蓮と貴増参さんが両方から口にする……!」
月命のが女性的であるばかりに、意味不明な妻のつぶやきだった。エロ妄想中の妻は、ソファーを勝手にベッドに変え、ムンクの叫びのように顔を歪ませる。
――妻の頭の中では、紫の月影が差し込む、夫三人のベッドで白いチャイナドレスは持ち主を失って、ベッドから今床にするすると落ちたところだった。
レースの下着からはみ出した、色気も跪く曲線美を持つ足が、シーツの上で悩ましげに動くたび、シワが幾重にもできてゆく。
颯茄は両手で顔を覆って、大声を上げた。
「あぁ~! それは、月さんが悶え死ぬので、やめてください~!」
思い出したように、R&Bのステップを踏む。一、二、三、四……。そうして、また落ちてゆく、夫3Pというエクスタシーの海底へ向かって。
妻の頭の中では、月命がピンヒールで、蓮と貴増参を踏みつけるSM。
「攻めと受けが逆になって……二人のを月さんが包み込む……。貴増参さんのを……あぁ~、もう絶対に相性良すぎるな。蓮の? あぁ~、こっちもある意味やっぱり相性いい。でも、どのみち、月さんは悶え死に――の運命なんだな」
曲も妻の妄想もサビに入り、両腕を上げ、右に左に揺らす。だがしかし、妻はとうとう浸りというまぶたに瞳を隠してしまった。
あっという間に目が回り、バランスを崩して、またパンツ丸出しにして、絨毯の上に尻餅をついた。
「いや~! 月さんのあの喘ぎ声が~! セクシーすぎる~~!」
だが妄想もダンスも止まることもなく、一、二、三、四、一、二、三、四……。頭をシェイクし続ける颯茄。
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