【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話

須宮りんこ

文字の大きさ
42 / 70
8章

8-2


「うまくいってないんですね。先輩が言いたくなさそうなので、あまり詳しくは聞きませんけど」

 はあ、と肩を落とし、北村がボヤる。

 自分を振った相手の失恋話だ。ざまあみろと思わないのかな。そう思ったが、逆に吹っ切れているからこそ、こういった態度になれるのかもしれない。

「ごめん。心配してくれたのに」

「誰でも心配すると思いますよ。椿先輩のその痩せこけた顔を見たら」

「そんなにオレひどい顔してんの?」

「してますね」

 北村は間髪入れずに断言した。

 新学期に入り、好きな人――青に彼女ができたこと。それが悔しくて悲しくて、本人に八つ当たりしてしまったこと。

 さすがにそれらを一から十まで説明するのはしんどいし、自分の説明能力的に難しいと思った。でも北村は自身の時間とクーポンとポイントを使ってまで、励まそうとしてくれたのだ。何も説明しないわけにはいかないよな。

「まあいろいろあって……今は自己嫌悪モードに入ってるっていうかさ」

 かなり端折りながら自身の現状を説明しようとすると、北村の後ろで出入口の自動ドアが開いた。

 外から男女のカップルが店内に入ってくる。叶太たちと同じ学校の制服だったので、自然と目がいってしまった。二人の顔を見た瞬間、叶太の頭からサーッと血の気が引いた。

「私はマンゴーシェイクにするけど、青くんはどうする?」

 レジの最後尾に並んだ高校生カップル。それは間違いなく、青と詩乃だった。

 詩乃が青の名前を出したことで気になったのか、北村が後ろを向いて店内に目を向けた。

「あ、五十嵐だ」

 北村の声に、先に反応したのは青だ。詩乃と店内に入ってきた直後は無表情だった男の顔。それがこちらに向けられた瞬間、目の下がピクリと反応した。

 青の隣にいる詩乃が、叶太たちを見る。北村に「だれ?」という目をしつつ、クラスメイトである叶太を見つけたと同時に、愛嬌のある笑顔がぱっと咲いた。

「え~偶然だね~」

 手をひらひらさせながら、叶太たちのテーブル席に近づいてくる。もう片方の手は青の手と繋がれている。目に入った瞬間、刺すような痛みが胸を襲った。

「あ、君は二年なんだ。もしかして青くんのお友達?」

 北村のネクタイの色を見た詩乃が、口元に人差し指を置く。

「はい。同クラの北村です」

 律儀に自己紹介する北村に、詩乃は「もしかして体育委員の?」と目を大きくさせる。

「そうです。町田先輩も去年体育委員でしたよね」

「そうそう。でも私全然役に立たなくて~。去年の体育祭のときは余計なこと言ってごめんね?」

「そんなことないですよ。むしろ助かりました。女子がいてくれないと、どうしても男目線の案しか出てこないので」

 北村と詩乃には体育委員という共通点があるらしく、叶太と青を置いて早速交流が始まっている。

 かく言う自分たちは先週の木曜日、学校の階段で叶太が一方的に青を責め立てた以来の対面だ。気まずくて、お互い目を逸らし合うことしかできなかった。

 体育委員の話はキリのいいところで終わったらしい。詩乃が「そうだ」と顔の前で両手をパチンと鳴らした。

「私たちこれからドリンク買うんだけど、もしよかったら一緒に座ってもいい?」

 そう言って詩乃が指差したのは叶太と北村が座っている四人席だ。現在くっついているテーブルを離せば二人席がもう一つできるが、詩乃はあえて「一緒に」と言った。席を離して座るのではなく、四人席のまま相席するつもりらしい。

感想 21

あなたにおすすめの小説

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

胎児の頃から執着されていたらしい

夜鳥すぱり
BL
好きでも嫌いでもない幼馴染みの鉄堅(てっけん)は、葉月(はづき)と結婚してツガイになりたいらしい。しかし、どうしても鉄堅のねばつくような想いを受け入れられない葉月は、しつこく求愛してくる鉄堅から逃げる事にした。オメガバース執着です。 ◆完結済みです。いつもながら読んで下さった皆様に感謝です。 ◆表紙絵を、花々緒さんが描いて下さいました(*^^*)。葉月を常に守りたい一途な鉄堅と、ひたすら逃げたい意地っぱりな葉月。

殿堂入りした愛なのに

たっぷりチョコ
BL
全寮の中高一貫校に通う、鈴村駆(すずむらかける) 今日からはれて高等部に進学する。 入学式最中、眠い目をこすりながら壇上に上がる特待生を見るなり衝撃が走る。 一生想い続ける。自分に誓った小学校の頃の初恋が今、目の前にーーー。 両片思いの一途すぎる話。BLです。

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?! ■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。