天然ノンケと同棲しています。

Hiiho

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誰かのもの

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「ううう・・・だりぃ、さみぃ、体が痛てぇ・・・」

 二日前から風邪をひいている涼太が、いつにも増して青白い顔で解熱剤を飲んでいる。

「熱あんだろ?無理すんなよ」

「無理してねぇ、たかが風邪くらいで仕事休めねえし、ぜってー合コンに行く!」

 社会人になって初めての合コンに気合い入りすぎて風邪ひくとか、子供の知恵熱じゃねぇんだから・・・

「はあ。バカは風邪ひかねえって、嘘だな、アレ」

「うるせえ、オレがバカじゃない証拠だ!これは」

 熱を測ろうと額に手を伸ばすと、涼太がビクッとあからさまに構える。その様子にイラッとした俺は、たまらなく涼太を困らせたくなってくる。

「なんでびびってんの?」

 距離を詰めて、壁際に涼太を追い込む。

「っびびってねえ。いきなりでビックリしただけだ!因みに、薬が超絶効いてて熱はねえ!」

「へぇ~、じゃあ、確かめてやるよ」

 涼太のシャツのボタンをひとつ外し、首元に手を差し込む。
 
「うっ、マジ、ねえ、からっ」

 弱い首に触れられて、涼太が小さく身じろぎする。

「女より感度良くてどーすんの?抱くより抱かれる方が合ってんじゃねぇ?」

「感じてねえ!」

「熱はそんなに高くないみたいだな。ついでに、ほんとに感じてねえのか確かめてやるよ」

「いらねえっ、あ、やっ、め・・・」

 涼太の首に唇を埋め、跡が残るように吸い付く。

「あ・・・てめえ、何すんだよ!」

「虫除けだよ。見えるとこにつけてないから安心しろよ」

 涼太の乱れた襟元を正すと、跡は隠れて見えなくなった。

「青、ほんと最近お前おかしいぞ。オレのが先に彼女できたら悔しいんだろーけど、もういい大人なんだから、こーゆー意地悪もうやめろよ、そして心から応援しろ、オレの脱DTを!」

 は?俺の言動と行動をそう解釈してんの?こいつ。
 それで混乱してたって事?
 好きだとは言えないけど、ここまで気づかないってどーなんだよ・・・

 ほんと報われねえな。
 こいつ、天然過ぎんだろ・・・俺の気持ちの真逆どころか、斜め上行っちゃってるよ・・・

「はあ~・・・、じゃあ、仕事終わったら来いよ、先始めてると思うから」

 呆れ気味の俺の言葉に、返事はせず片手を上げて涼太が部屋を出る。

 ・・・はあああ~・・・

 あ、そういや、俺、明日誕生日じゃん。
 涼太の誕生日は引越しの真っ最中だったし、なんも祝えなかったな・・・
 まあ、この歳になって誕生日もクソもねえか。




 20時
 未成年が俺と涼太と宮野の三人だけで、他は成人してるということもあり、多数の意見で合コンの場所は駅中のバルという事になっていた。

 俺を含めて男が4人、女が5人。まだ来ていない涼太を合わせると、メンバーは10人。

「もう1人は30分遅れで来るんで始めちゃいましょっか、じゃあかんぱーい」

 幹事の宮野の掛け声で、自己紹介が始まる。
 メイクで盛ってはいるが、涼太よりかわいい女はやっぱいねえな・・・

 自己紹介が終わり、フリートークになる。

「ねね、青くんてちょーカッコイイね、大人っぽいし、全然年下に見えなーい♡」

「そーすか?全然ふつーすよ」

 ふっ、さすが俺。先輩達には悪いけど女達の熱い視線を感じるぜ。

 宮野もそこそこイケているせいか、女達の話題の中心になっている。

「あ、来た来た。おーい、涼ちゃんこっちー!」
 
 涼太が来たことにいち早く気づく宮野。くそ、なんでてめーが先に声掛けんだよ。

「すいません、遅れて。悪いな、青、のぞむ」

 涼太の登場に、一瞬その場が時間を止める。
 他のどの女よりも白くて美しい涼太の顔に、俺と宮野以外の全員が、目を奪われていた。

「涼ちゃん、今日もやっぱりキレイだねー」

 宮野の一言で時間が動き出し、女達が「きゃー!やばーい!かわいい~!キレイすぎる~!」とはしゃぎ出した。

「涼ちゃん涼ちゃん、ここ座って」

「宮野くんずるーい!私も涼ちゃんの隣がいい~!」

「へへへ~」
 
「へへへ~」じゃねえよ!みーやーのー!なんで合コンなのに、てめーの隣に座らせんだよ!

 俺は、溜飲をぐっと飲み込み、場の雰囲気を乱さないように涼太を遠巻きに見ることしかできずにいた。



 しばらくして男女が打ち解け話が盛り上がったところで、すぐ近くのカラオケで二次会をしようということになり、ゾロゾロと移動する。

 カラオケの受付を済ませ指定された部屋に向かう途中で、俺は、朝、涼太が解熱剤を飲んでいたことを思い出し、ふと後ろを歩いているはずの涼太を振り返る。

 あれ、いねえ。
 トイレでも行ったのか?

 気にはなったが、女達に手を引かれ、振り切ることもできず、とりあえず部屋に入る。

具合、悪くなってねえといいけど・・・



 ーー数分前
 ーーバルを出た涼太は、熱がぶり返して目眩を感じながらも、なんとか歩いていた。

やべえ、ちょっとキツイかも・・・

「っとと、涼ちゃん、だいじょぶ?」

 ーー横に歩いていた涼太がグラッと倒れそうになるのを、咄嗟に支えるのぞむ。

「酒も飲んでねーのに酔っ払っちゃったの?」

 ーー支えた体が妙に熱いのに気付き、のぞむはカラオケに入ったところで、涼太をラウンジのソファに座らせた。

「涼ちゃん、熱あんじゃん」

 ーー熱のせいで汗ばんだ額を、カウンターから持ってきたおしぼりで拭いてやると、「ん・・・」と涼太が吐息をもらす。

「やべえ、涼ちゃん、それ反則だろ」

 ーー涼太から漏れる熱い息遣いに煽られたのぞむは、涼太のシャツのボタンに手をかけた。

「汗、拭くだけだからちょっと我慢してね」

 ーー上から二つ外したところで、涼太の白い首筋にキスマークがあることに気付く。

「・・・なーんだ、純粋そうに見えてお手付き済みか、つまんねぇ、どこの女だよ、こんなキレイな顔相手にしてんのは」

 ーーしかし、彼女がいたら、合コンなんて来るだろうか?本命がいるのに、遊ぶような、器用そうな男には見えない。

 ーーそう思ったのぞむは、ひとつの答えに辿り着く。

「男・・・か?」

 ーー涼太ならあり得ると思った。なぜなら、今まで色んな女と付き合って来たが、初めて見た瞬間に鳥肌が立つほど美しいと思ったのは、涼太が初めてだった。もちろん、男に興味がある訳では無い。

「相手は男?それならそれで好都合だよ。俺にもチャンスはあるって事だよね?」

 ーー熱で意識が朦朧としている涼太に、のぞむの声は届いていない。

「悪いけど、俺、涼ちゃんの事、欲しくなっちゃったわ」

ーーそう言って、涼太の首に顔を埋め、男に付けられたであろうキスマークの真横に、自分の跡をふたつ残す。
 
 ーー吸い上げる度に、涼太の熱い息に混じって微かな声が漏れた。

「やべえ、こんな場所なのに、止まんなくなりそう」

 ーーのぞむは、涼太のはだけた首元に手を伸ばしていた。

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