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棘 2
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「あ・・・タケル・・・そんな入れたら・・・」
「だいじょうぶですって。それに、来週帰国するんですよ?これがこっちでの最後なんですから」
「・・・オレもう我慢できない。早く・・・」
「もう少し待ってください。ほんと涼太さん欲しがりますね」
「だって、こっち来てからは、たまにしか・・・なあ、タケル、もういいだろ?」
「んー。もういいかな」
コトッ
「ハイ。どうぞ、いっぱい食べてください」
「やった~!いただきます!」
タケルが焼いてくれた、チーズがたっぷりのったハンバーグがテーブルに置かれてオレはテンションが上がる。
「タケル、チーズ入れすぎだろ!うますぎんじゃん!」
「来週帰るんですから、食材残しといてもしょうがないじゃないですか」
このハンバーグ、日本にいた時によく行っていたハンバーグ専門店の物を、のぞむが上海に遊びに来た時に冷凍で持ってきてくれたもの。
「涼ちゃんにおみやげ」と言って持ってきてくれたのだが、オレがすぐに食べすぎてしまうということで管理はタケルが任されていた。
「涼太さんがヘコんだ時に食べさせたらいいって、のぞむさんから言われてるんで。でも、もうこれで最後ですよ」
「もうすぐ帰国すんだから、これ以上は振られねーだろ、オレ」
つくづく、女に縁が無かったとしか思えねぇな・・・。
「・・・青さん、どうしてますかね?」
久しぶりに聞く名前に、胸がチクッと痛む。
「さあ。青の事だから、モテないわけねーだろーし、彼女のひとりやふたりいるんじゃね?」
・・・彼氏かもしれないけど。
「涼太さん、もういいんですか?」
いいもなにも・・・オレ達は終わってからもう二年も経ってるんだ。
向こうからの連絡も無かったし、オレからもすることはなかった。
きっと青は新しいペットでも愛でて、オレの事なんかとっくに忘れてる。
「日本に戻ったら、俺にも望みはありますか?」
タケルの真剣な眼差しに、少しだけ気持ちが揺らいでしまう。
「男とは、もう無理だって言ってるじゃん」
上海に来て、女性との別れがあっても、オレは深く傷つくことは一度も無かった。
青と別れた時の様な、あの深くて痛くて苦しい思いはもう二度としたくない。
「そうですか。・・・まあ、帰国したら職場も別々になるしさみしいですけど、たまには俺と遊んでくださいね」
「もちろん!のぞむも一緒に飲みに行こーぜ!」
「のぞむさんも一緒にですか?はあ・・・。まあいいですけど」
帰国か・・・。本社勤務は嬉しいけど、日本に帰るのは、少し気が重かった。
日本には、青がいる。
上海には青との思い出なんかひとつも無い。
だけど、日本に帰れば嫌でも思い出してしまう気がした。
「二年で日本に帰れるとは思ってましたけど、せめて一ヶ月前くらいには辞令出してほしいですよね。一週間前って、急すぎますよね」
「そーだな。早目に荷物まとめとかなきゃな」
「せっかく覚えた英語と上海語、どっかで役に立つといいですけど」
オレはほとんど覚えてねえぞ。英語はなんとかわかるけど・・・。
「そーだな」
「・・・・・・」
タケルが無言でじーっとオレを見てくる。
「な、なんだよ」
「そーだな、って涼太さん、上海語なんかわかんないじゃないですか。英語だって簡単な会話しかできないでしょう。カッコつけちゃって」
「うるせぇ」
「強がっちゃう涼太さん、カワイイですけど、素直になった方がいい時もあるんですよ~」
「どういう意味だよ?」
「別に?言葉ヅラそのままの意味です」
一瞬ドキッとした。青の事を引き摺っている事を、タケルに見透かされている気がしたから。
だけど、二年。二年も経ってしまった。オレは、きっともう、振り返っちゃいけない。
自分に言い聞かせた。
「だいじょうぶですって。それに、来週帰国するんですよ?これがこっちでの最後なんですから」
「・・・オレもう我慢できない。早く・・・」
「もう少し待ってください。ほんと涼太さん欲しがりますね」
「だって、こっち来てからは、たまにしか・・・なあ、タケル、もういいだろ?」
「んー。もういいかな」
コトッ
「ハイ。どうぞ、いっぱい食べてください」
「やった~!いただきます!」
タケルが焼いてくれた、チーズがたっぷりのったハンバーグがテーブルに置かれてオレはテンションが上がる。
「タケル、チーズ入れすぎだろ!うますぎんじゃん!」
「来週帰るんですから、食材残しといてもしょうがないじゃないですか」
このハンバーグ、日本にいた時によく行っていたハンバーグ専門店の物を、のぞむが上海に遊びに来た時に冷凍で持ってきてくれたもの。
「涼ちゃんにおみやげ」と言って持ってきてくれたのだが、オレがすぐに食べすぎてしまうということで管理はタケルが任されていた。
「涼太さんがヘコんだ時に食べさせたらいいって、のぞむさんから言われてるんで。でも、もうこれで最後ですよ」
「もうすぐ帰国すんだから、これ以上は振られねーだろ、オレ」
つくづく、女に縁が無かったとしか思えねぇな・・・。
「・・・青さん、どうしてますかね?」
久しぶりに聞く名前に、胸がチクッと痛む。
「さあ。青の事だから、モテないわけねーだろーし、彼女のひとりやふたりいるんじゃね?」
・・・彼氏かもしれないけど。
「涼太さん、もういいんですか?」
いいもなにも・・・オレ達は終わってからもう二年も経ってるんだ。
向こうからの連絡も無かったし、オレからもすることはなかった。
きっと青は新しいペットでも愛でて、オレの事なんかとっくに忘れてる。
「日本に戻ったら、俺にも望みはありますか?」
タケルの真剣な眼差しに、少しだけ気持ちが揺らいでしまう。
「男とは、もう無理だって言ってるじゃん」
上海に来て、女性との別れがあっても、オレは深く傷つくことは一度も無かった。
青と別れた時の様な、あの深くて痛くて苦しい思いはもう二度としたくない。
「そうですか。・・・まあ、帰国したら職場も別々になるしさみしいですけど、たまには俺と遊んでくださいね」
「もちろん!のぞむも一緒に飲みに行こーぜ!」
「のぞむさんも一緒にですか?はあ・・・。まあいいですけど」
帰国か・・・。本社勤務は嬉しいけど、日本に帰るのは、少し気が重かった。
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上海には青との思い出なんかひとつも無い。
だけど、日本に帰れば嫌でも思い出してしまう気がした。
「二年で日本に帰れるとは思ってましたけど、せめて一ヶ月前くらいには辞令出してほしいですよね。一週間前って、急すぎますよね」
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「そーだな」
「・・・・・・」
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「別に?言葉ヅラそのままの意味です」
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だけど、二年。二年も経ってしまった。オレは、きっともう、振り返っちゃいけない。
自分に言い聞かせた。
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