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目と鼻の先 2
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「お疲れ様です。本部から参りました、企画部の佐々木です」
デニムパンツをひたすら畳んでいるタケルに、雄大さんが声を掛ける。
「お疲れ様です。同じく企画部の小林です」
「あ・・・涼太さん・・・?涼太さん!」
雄大さんに続いて声を掛けると、オレだと気付いたタケルが突然ハグしてくる。
「ちょ!オイ!タケル、どーした?」
こんな風にハグしてくるなんて、今まで無かっただろ!どうしたタケル!
「すみません。なんか、最後別れた時の涼太さんの後ろ姿思い出しちゃって・・・つい昂っちゃいました」
タケルが慌てた様子でオレから離れる。
「涼太、後輩から愛されてんだね」
雄大さんがオレたちを見てニコッと笑う。
「あ・・・すみません。挨拶遅れました。社員の加藤です。よろしくお願いします」
「加藤くん、君が涼太と一緒に上海行ってた子かぁ。なるほど」
「オレが一番信頼してる後輩です」
「涼太のお気に入り、なんだ?・・・へぇ~」
「まあ、そうなるんですかね」
?なんだ?雄大さんの言葉に含みがあるのは気の所為かな・・・?
「加藤くんはオシャレだね。ちゃんと似合ってるもの分かってるみたいだ。今の感じでいいと思うよ」
「ありがとうございます」
「じゃあ次はバックヤード行こっか。店長にも挨拶しないとね」
タケルと別れ、バックヤードへ入る。
「小林くん!待ってた~!」
「わ!なっ・・・」
バックヤードのドアを開けた瞬間、あさみさんがオレに飛びかかってくる。
「なんだ、この店は。涼太に抱きついてもいいシステム?」
「違いますよ!」
どんな店だよ!
「佐々木、小林くんに馴れ馴れしくするんじゃないわよ」
「なに?あさみと涼太、付き合ってんの?」
「そんな訳ないでしょう。小林くんはねぇ、ちゃーんと溺愛してくれる相手がいるのよ!NTR属性じゃないの!だから気安く触ったりしたら許さないわよ!」
なに?どういう意味?相変わらずあさみさんの言ってる事、理解不能なんですけど。
「お前、触ってんじゃん」
「私はいいの!」
「良くないですよ。離れてください」
「もう!冷たいんだから!まあいいわ。これからまた二人の絡みが見れるんだもの!萌えるわ~」
・・・全力で遠慮したいけどな、オレは。
「あさみは同期だから挨拶はいいや。めんどくさいし。店長のとこ行こう」
「はい」
店長室へ入ると、店長からも熱い抱擁を受け、他のスタッフへの挨拶と指導も一通り終えて店を出た。
「俺も涼太にハグしたかったな~いいな~」
帰社途中の車内で雄大さんが茶化す。
「普通はしないでしょ。あの店の人達がちょっとオカシイだけですよ」
「涼太の顔、どストライクなんだけどな、俺」
え!?やめてくれ。もうほんとそーゆーのいらねぇ。
「雄大さん、彼女いないんすか?」
いてくれ。頼む。
「んー。今はいない。片思い中」
なんでいねーんだよ!いろよ!いい歳なんだから!
・・・なんか嫌なフラグたってねーか、コレ。これ以上聞くのはよそう。
その後、お互い沈黙を通し本社へ戻った。
「おお、おかえり。二人ともご苦労さん。これ明日の資料」
デスクにつくとすかさず部長が寄ってきて、クリアファイルに入った書類が雄大さんとオレのデスクに置かれる。
書類に目を通すと『イケメンスタッフ紹介企画』と書かれた文字。
なんだコレ。
「女性誌で、イケメンスタッフ特集やるらしいから取材と撮影な。佐々木と小林で受けといたからヨロシク」
は?なに勝手に・・・
「明日も涼太と二人で仕事か。楽しみだな~」
隣で雄大さんがニヤニヤしている・・・!
ヤバイ。これはまた青を怒らせる展開になるかもしれない・・・!
まだ何も知らないこの時のオレは、雄大さんが盛大に立てたフラグに、ただただ不安しか感じていなかった。
デニムパンツをひたすら畳んでいるタケルに、雄大さんが声を掛ける。
「お疲れ様です。同じく企画部の小林です」
「あ・・・涼太さん・・・?涼太さん!」
雄大さんに続いて声を掛けると、オレだと気付いたタケルが突然ハグしてくる。
「ちょ!オイ!タケル、どーした?」
こんな風にハグしてくるなんて、今まで無かっただろ!どうしたタケル!
「すみません。なんか、最後別れた時の涼太さんの後ろ姿思い出しちゃって・・・つい昂っちゃいました」
タケルが慌てた様子でオレから離れる。
「涼太、後輩から愛されてんだね」
雄大さんがオレたちを見てニコッと笑う。
「あ・・・すみません。挨拶遅れました。社員の加藤です。よろしくお願いします」
「加藤くん、君が涼太と一緒に上海行ってた子かぁ。なるほど」
「オレが一番信頼してる後輩です」
「涼太のお気に入り、なんだ?・・・へぇ~」
「まあ、そうなるんですかね」
?なんだ?雄大さんの言葉に含みがあるのは気の所為かな・・・?
「加藤くんはオシャレだね。ちゃんと似合ってるもの分かってるみたいだ。今の感じでいいと思うよ」
「ありがとうございます」
「じゃあ次はバックヤード行こっか。店長にも挨拶しないとね」
タケルと別れ、バックヤードへ入る。
「小林くん!待ってた~!」
「わ!なっ・・・」
バックヤードのドアを開けた瞬間、あさみさんがオレに飛びかかってくる。
「なんだ、この店は。涼太に抱きついてもいいシステム?」
「違いますよ!」
どんな店だよ!
「佐々木、小林くんに馴れ馴れしくするんじゃないわよ」
「なに?あさみと涼太、付き合ってんの?」
「そんな訳ないでしょう。小林くんはねぇ、ちゃーんと溺愛してくれる相手がいるのよ!NTR属性じゃないの!だから気安く触ったりしたら許さないわよ!」
なに?どういう意味?相変わらずあさみさんの言ってる事、理解不能なんですけど。
「お前、触ってんじゃん」
「私はいいの!」
「良くないですよ。離れてください」
「もう!冷たいんだから!まあいいわ。これからまた二人の絡みが見れるんだもの!萌えるわ~」
・・・全力で遠慮したいけどな、オレは。
「あさみは同期だから挨拶はいいや。めんどくさいし。店長のとこ行こう」
「はい」
店長室へ入ると、店長からも熱い抱擁を受け、他のスタッフへの挨拶と指導も一通り終えて店を出た。
「俺も涼太にハグしたかったな~いいな~」
帰社途中の車内で雄大さんが茶化す。
「普通はしないでしょ。あの店の人達がちょっとオカシイだけですよ」
「涼太の顔、どストライクなんだけどな、俺」
え!?やめてくれ。もうほんとそーゆーのいらねぇ。
「雄大さん、彼女いないんすか?」
いてくれ。頼む。
「んー。今はいない。片思い中」
なんでいねーんだよ!いろよ!いい歳なんだから!
・・・なんか嫌なフラグたってねーか、コレ。これ以上聞くのはよそう。
その後、お互い沈黙を通し本社へ戻った。
「おお、おかえり。二人ともご苦労さん。これ明日の資料」
デスクにつくとすかさず部長が寄ってきて、クリアファイルに入った書類が雄大さんとオレのデスクに置かれる。
書類に目を通すと『イケメンスタッフ紹介企画』と書かれた文字。
なんだコレ。
「女性誌で、イケメンスタッフ特集やるらしいから取材と撮影な。佐々木と小林で受けといたからヨロシク」
は?なに勝手に・・・
「明日も涼太と二人で仕事か。楽しみだな~」
隣で雄大さんがニヤニヤしている・・・!
ヤバイ。これはまた青を怒らせる展開になるかもしれない・・・!
まだ何も知らないこの時のオレは、雄大さんが盛大に立てたフラグに、ただただ不安しか感じていなかった。
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