初恋は実らない

Hiiho

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ストレッチは何の時間 2

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・・・来る。今日も来る。
ストレッチなんだかセクハラなんだかよくわからない榛との10分間が・・・

「先輩、今日は足もたついてたんで、足中心に伸ばしましょーか」
「・・・そーだな」

誰が足もたついてたんだよ!てきとーな事言うな!・・・って言えたらいいのにな、しくしく。

「じゃ、仰向けに寝て、片足上げて膝曲げてください」

榛に言われた通りの、体勢をとる。

「膝、押しますね」
「おう」

曲げた膝の上から榛が手でぐぐっと押してくる。

・・・なんだ、今日はくっついてこねーのか。

違う違う。別にがっかりとかしてねーし!
あー、よかった!今日は平和に終われそうだ!

「もうちょい、力入れた方がいいですか?」
「そだな。入れて」

そう答えた途端、曲げた片足に榛が体を乗っけてくる。

「痛たたた!痛いって!重い!」
「いつも後ろからで顔見えなかったし、これならあきの顔、見えるわ」

榛が正面から覆いかぶさった形になって、顔が近くなる。
ちょ、ちょっと待て。これ、なんか、体勢が床ドンってやつなんじゃ・・・

「はは、あきの事見下ろすこの眺め、すげーいいな」
「おまっ!マジ何言って、痛い痛い痛い!」

榛が俺の足にのせた体で、ぐっぐっと押して来て、背中が床に擦れて痛い。

「ちょ、榛、足より背中痛いんだって!」
「やっぱ、床の上は嫌?ベッドがいい?」
「・・・は?」

何言ってんだ、こいつ・・・

「これってさぁ、セックスしてるみたいに見えない?」
「・・・え?」

そう言われてみれば・・・
榛が上に乗っかってて動く度に、俺も同じリズムで揺らされてて・・・

気づいた瞬間に、顔がめちゃくちゃ熱くなって、耳まで真っ赤になるのが、自分でもわかった。

「あき、顔真っ赤じゃん、かーわいい。でも・・・」
「い、い、痛っ、痛いって、痛!」

榛が更に体重をかけて早く動く。

「あきが、入れてって言ったんだろ?ほんとに入れてもいーんだけどな、俺は」
「ちがっ、入れて、欲しい、のは、力をって、意味でっ、痛い、マジで!」

自分の足が腹を圧迫して、声が途切れ途切れになる。

「なに、それ。喘いでるみたいで、めっちゃエロいんですけど」

ああ・・・やっぱり普通で終われないのか、今日も・・・

キャプテン、早く交代のホイッスルを~!

ピーーーーーッ

「はい、交代ー!」

ホッ。やっとで開放される・・・

「次はあきが上で俺が下だから、騎乗位バージョンだな。楽しみだな~!激しくしてくれていいですよ、センパイ!」
「まじか・・・」
「みんなに見られながらあんあん言ってくださいね、センパイ!」
「言うか!」

なんでこんなイキイキしてんだよ、こいつ・・・
そしてなんでこんなドキドキしちゃうんだよ、俺!

今日も、部活終了間際になって、大きく体力と気力を削られる俺だった。
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