初恋は実らない

Hiiho

文字の大きさ
上 下
51 / 56

拘束王子 1

しおりを挟む
アパートのリビングの壁に寄りかかる榛に寄りかかって除夜の鐘を聞き、テレビのカウントダウンと共に年が明けた。

「明けましておめでとー。今年もよろしくな、あき」
「おめでと」
「あきと繋がったまま年越せたし、今年はいい年になるな、絶対」
「あ、そう」

意外と単純・・・。可愛いとこあるな。

「あき、いつ仕掛けてきてくれんの?」
「え!?」
「このままずっと繋いどいてもいいけど・・・」
「それは!・・・困る」

なぜなら、さっきからジワジワと尿意が・・・。
早く外してもらわなきゃ、マジで介助されてしまう!

でも、ハッキリ言ってどう切り出していいかわかんねーし。

「榛、俺・・・、情けないけど、どうやっていいかわかんねーんだけど・・・」

恥ずい・・・、けど。正直に言うしかない。
なぜなら、おしっこがしたいから!

「そっか。がんばってね。あきならできるよ」
「あ?・・・うん」

どうしよう。
・・・とりあえず、キ、キス、から。

座ったまま体を反転させて、榛と向き合う。
手錠に繋がれていない方の手で、榛の首にしがみついて唇を合わせる。

「ど、どう?」
「どうって?」
「落ちた?」
「落ちるわけねーだろ。冗談キツイよ、あき」

キスじゃ、無理か・・・。

「フェ・・・ラとか、したらいい?」

榛を見上げると、驚いたように目を丸くして俺を見返している。

・・・また、俺変なこと言ったのか・・・?

「あはは、はは、あき、マジで?」

腹を抱えて笑う榛。
なんでそんなに笑う・・・。男ならそこだろ、行き着くところ。

・・・つーか、まじで、おしっこしたい。
もう限界かも。

「榛、ちょっと、マジで外してくんない?おしっこ漏れそうなんだけど」
「漏らしていいよ」
「漏らすわけねーだろ!つーかマジで外せ!」
「やだ。漏らせよ、ここで」
「はぁ!?あ!あ、あ、やめろ!」

榛が、下腹をぐっぐっと押してくる。
膀胱が刺激されて、もう本当に限界だ。
出る!

「榛!お願い、トイレで出したい。一緒に来て」

人んちのリビングで漏らすわけにいかない、絶対に!
泣きそうになるのを堪えて、榛に懇願する。

「はじめからそう言えよ。行くよ、ホラ」

一緒にトイレに入り、榛が後ろから手を回して俺のズボンと下着を下げる。

「や、待って。ちょ、自分で・・・」
「待たない。漏れそうなんだろ」

「ひゃ・・・!」

ギリギリまで我慢していた俺は、榛にそこを支えられただけで、先端からじょわっと溢れた尿を抑えることが出来なくて、榛に見られている恥ずかしさと、ようやく排尿できた爽快感で体が震えた。

「あ・・・、ぁ・・・」
「いっぱい出たね、あき」
「っ・・・言うな!」

間にあって良かったけど・・・。大事な何かを失った気がする・・・。先輩としての威厳、とか。

「戻ろっか」
「おい!手洗えよ」
「別にいいよ。俺、あきのおしっこくらいなら飲める自信あるし」

おしっこ・・・。飲める!?

「洗え!!」
「え~・・・」

しぶしぶといった感じで榛が手を洗う。
こいつ、どこまで本気なんだよ。わかんねぇ・・・。つーか、おしっこ飲めるとか狂気だわ。
しおりを挟む

処理中です...