それだけは絶対にお断りします!

きんのたまご

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私と夫は結婚して5年の夫婦である。
夫の家は公爵家で私の家は伯爵家。
幼い頃からの婚約者同士であったが、この結婚は完全なる政略結婚だった。
そう、その筈だった……。

私達が婚約したのは夫が9歳私が7歳の時。
初めて見た夫はふわふわの綺麗な金髪に明るいブルーの瞳のとても可愛らしい男の子。
私も家では可愛い可愛いと言われて育ち実際そこそこ可愛いと自身でも思っていたが夫の圧倒的な可愛さに身内の欲目だったと知る。
その場で私は夫に当たり前のように恋をした。
断る理由も無く勿論婚約者となったのだが…後に夫には他に好きな人がいることを知った。

あれは夫が12歳私が10歳になった時の事。
私もそこそこお勉強して知った知識を夫に褒めて欲しくて何気なく言った一言。
「公爵家のご子息が9歳までご婚約なされなかったのには何か理由がおありですか?」
まあ、そのお陰で私は夫と婚約者になれてラッキーだったけど、と心で思っている事を口にしようとしたその時夫は静かに話し出した。
「実はずっと好きな人がいるんだ」と。


はっと目が覚めると編み物をしながら眠ってしまっていたようで、やりかけの編み物が座る私の足元に落ちていた。転がる毛糸を拾い上げる。
「懐かしい夢を見たわ」
幼い頃の2人の夢…。
「そんなにしつこく夢に見せなくったってちゃんと離縁するわよ」
私は少し恨みがましくどこがで聞いているであろう誰かに向かって呟いた。
せめて夢の中ぐらい夢を見せてくれてもいいのに…。
でもそうね、大事な事だもの忘れてはいけないわ。夫にずっと私以外に好きな人がいる事を。

コンコンコン。
控えめなノックの音と共に扉が開き入って来たのは私と夫の子供。
3歳になる息子は扉からひょこっと顔を出した。
「どうしたの?」
「おかさあま、おとうさまがおかえりです」
3歳になってかなり話をするようになったが少し舌っ足らずな話し方がとても可愛い。
「そう、じゃあ一緒にお出迎えしましょう」
私に抱いて欲しいと手を差し出す息子を抱き上げて私は帰って来た夫の元へ向かう。
「旦那様お帰りなさいませ」
「ああ、今帰った……リアムおいで」
夫に呼ばれリアムは私の腕から夫の腕へと移る。
「今日も賢くしていたかい?」
「はい!きょうはおにわのおはなのべんきょうをしました!」
「そうか、偉いな」
そう言って夫はリアムの頭を撫でる。
明るい笑顔と笑い声が屋敷の玄関に響く。




本当にいい父子だわ。
これならば私がこの家を出てもきっと良くして頂けるわ。


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