それだけは絶対にお断りします!

きんのたまご

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村の方に馬車に乗れる所まで連れて行って貰い何とか領地にある屋敷に着いた。私が家を出てから丸2日が経っていた。
流石にもう私が居ないことには気付いているわね…。リアムは泣いていないかしら…。そんな想いを断ち切るように首を振った。
屋敷を出た時からずっと握り締めていた鍵で玄関の扉を開く。暫く使われていなかった屋敷は少し埃っぽい。
「掃除のしがいがありそうね」
うちは伯爵家といってもそんなに権力に興味がある家では無かったので領地で慎ましやかに暮らしていた。勿論生活が苦しいとかでは無く使用人などもいたけど自分で出来る事は自分でするという両親の教育の元育った私は掃除、洗濯、料理、裁縫など一通りは出来る。
「まずは食べ物と寝る場所ね」
私は早速動き出す。キッチンを掃除して埃の被ったテーブルを拭く。床を磨きリネンを洗濯すると気付けばもう夕方だった。
流石に疲れが出て掃除したばかりのキッチンで椅子に腰掛ける。
静まり返った屋敷に急に1人を実感する。
忙しく動き回っている間は余計な事を考えなくてすんだのにな…。
きっとこんな勝手な事をした私に旦那様は怒っているわね。今度こそ私達は離縁する事になるだろう。だからといって実家に出戻るなんて迷惑も掛けられない……この屋敷を貰い受けておいて良かった。ここでなら心穏やかに生涯暮らしていけるわ。
社交で旦那様を見ることもなければ未練たらしく息子の様子を見守る事も叶わない。
私にはお似合いの場所…。
また卑屈な考えが頭を擡げたがもうここで暮らして行くと決めた私は愛されないと悩む事も彼女には勝てないと嫉妬する事も必要ないのだ。



屋敷に帰ると妻の姿は無かった。
リアムは妻が居ない事をまだよく分かっていないのか屋敷に帰った私に「おとうさまおかえりなさい」と無邪気の近寄って来た。リアムを抱き抱えながら妻の部屋に行くとそこには普段と何ら変わらない部屋があった。いつもと違うのはこの部屋の主である妻がいない事だけ。ドレス、宝石などの装飾品、家具等も全てそのままにされていた。
…何も持たずに出て行ったのだろうか。
よく考えたら妻がどんなドレスを持っていたのかも知らなかった。
こんな状況になって初めてその事に思い至る。
「おとうさま、おかあさまはどこですか?」
「…お母様は少しお出掛けしているんだよ。帰って来るまでお父様と遊んでくれるかい?」
「はい!」
闇雲に探しても妻の事をあまりにも知らなすぎる。
周辺の村まで使用人に話を聞きに行かせたら妻の特徴と会う女性が少し離れた街から馬車に乗った事が分かった。どうも妻には目的地がある様だ、妻の余りにも迷いの無い動きからそう思った。
……やはり一度伯爵家の方に聞いてみる必要があるか…。伯爵なら何か知っているような気がした。
今回の事を正直に言えば…あの家族想いの伯爵の事だ色々言われるだろう。だが直接会わずに探るような事もしたくない。
もう、この辺りが潮時だろう。色んな事をこの際にハッキリさせようそう決意して伯爵家に連絡した。
「お爺様とお祖母様に会いに行こうか」
リアムの頭を撫でる。
「はい!」
そう笑ったリアムを見て、妻もリアムも絶対に不幸にさせてはいけないと心に誓った。
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