それだけは絶対にお断りします!

きんのたまご

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「公爵様はうちの娘が勝手に出て行ってお怒りになってこちらにこられたのですか?」
「そうなんですか?ど、どうする?どうしたらいいでしょう?」
冷静に問いかけてくる夫人と違い伯爵は随分動揺しているようだ。
「あなた、少し黙っていて下さいな」
「はい!」
「で?どうなんですか?」
「いいえ、今回の事は…いえ、今までの私の行動のせいでこうなったので妻には是非戻って来て欲しいのです」
「だが、娘の居場所には思い当たる場所がない…だからここに来たのですね?」
「…はい」
「1つだけ心当たりがあります」
「本当ですか?どこです?すぐに向かいます」
「少しお待ち下さい。私が思っている所に娘がいるのなら娘に危険はありません。なのでどうしてこうなったのか……是非説明して頂きたいのですが?」
夫人の目が一段と鋭くなり、先程立ち上がった私はまたソファーにゆっくりと腰掛けた。
「…そうですね、全てお話しないといけませんね…」




私とオリヴィア、そして商家の息子のアランは所謂幼なじみ。
元々はアランの家が我が家の出入りの商家で父親に着いてきたアランと仲良くなった。
父親に付いてくる日だけでなく内緒でよく遊んだ。ある日アランの友達だと言ってオリヴィアを連れてきた。
「へえ、貴方があの侯爵家の息子なんだー。ふーんおぼっちゃまね」
初めてオリヴィアに出会った時に言われた言葉…なんて生意気で無礼な子なんだろうとその時は思った。
5歳で出会い2年経った7歳の時アランからオリヴィアの事が好きなんだと打ち明けられた。
「あんな生意気な子の何処がいいんだ?」
そう聞くと「そこが可愛いんだよ!」と言ったアランの顔が今でも忘れられない。
それから何故か度々オリヴィアを目で追うようになった。初めはアランはオリヴィアの何処がいいんだ?という気持ちで見たいたんだと思うのにアランに向かってとても可愛く笑うオリヴィアを見て胸が痛むようになった。
その頃お前にもそろそろ婚約者をという話があったのだが何故かオリヴィアの顔がチラついて誰とも婚約する気にはなれなかった。
そんな状態で更に1年が過ぎてアランとオリヴィアは両想いになった。
8歳の子供の言うことだと周りの大人は笑うかもしれないが生まれながらに婚約者がいてもおかしくない貴族の私にとっては2人の「大きくなったら結婚しようね」という可愛い約束はちゃんとした婚約に思えた。
ちょうどその頃失恋を自覚した私に再び妻婚約話が持ち上がりいつまでもこのままでいる訳にもいかないと婚約を承諾した。それが今の妻。
初めて会った時はオリヴィアと違う年下の婚約者に戸惑ったがオリヴィアと違い私をしたって懐いてくれる可愛い婚約者にいつの間にか癒され好意を抱くようになった。
そんな折その婚約者から何故今まで婚約者がいなかったのかと聞かれ私は彼女に嘘はつけないなと思い「ずっと好きな人がいる」と言った。
でもそんな気持ちもこの婚約者のお陰でそろそろ忘れられそうだと伝えようと婚約者を見ると今にも泣き出しそうな、この世の終わりのような顔をして「そうなんですね」と言って去って行った。
思えばあの時にすぐ追いかけて説明していれば良かったのだろう、しかしあの時の私はまた次に会う時に説明すればいいと思い追わなかった。しかしその後あれ程懐いてくれていた婚約者はどこか余所余所しくなり二人で話をする機会も無いまま夫婦になった。
夫婦になればまたゆっくりと話が出来る時も来るだろうこの時の私は過去の失敗も忘れ、まだそんな事を思っていた。
そんな折アランが父親の商家を継ぎオリヴィアと結婚したと聞いた。
私は直ぐにアランに連絡を取り今度は父親同士では無く私とアランが公爵と出入りの商家という関係になった。
ある日頼んでいた荷物が届いたが忙しくてどうしても行けないから代わりにオリヴィアに持って行かせると連絡があった。妻と婚約してからオリヴィアとは会っておらず久々の再会だった。既に妻の事が好きだったので私は何も考えずその日昔の友人だと妻にオリヴィアを紹介した。
久しぶりに会ったオリヴィアは良くも悪くも変わっておらず久々の再会に「やだー久しぶり~」と気安く近付いて来た。
あまりの懐かしさに品物を受け取ったあとは昔話に花が咲いた、気付いた時には既に妻の姿は無くオリヴィアも「そろそろ帰らないといけない」と慌ただしく帰って行った。それでも帰り際に「結婚おめでとう」と言うと幸せそうに恥ずかしそうに「ありがとう!」と笑ったオリヴィアを見て本当に良かったと思える自分に気付き自分の初恋は本当に終わったのだと自覚した。
そんな私達を妻はどんな気持ちで見ていたか…その時の私は何も気付かなかった。






昔話が長くなる~。
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