それだけは絶対にお断りします!

きんのたまご

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「アシュリー!」
オリヴィアさんが出ていったのを見て夫が私を抱き締めた。
「なんて女なんだ!あんな女に騙されていたなんて!済まない!本当に君には辛い思いをさせた。もうオリヴィアとはなんの関係も無いこれからは君だけを愛すると誓う!」
「離して下さい」
私のその声を聞いた夫はビクリとその腕を離した。
「離縁なんてしないだろう?」
縋るような瞳でこちを見つめてくる夫に最早何も感じない…いや嫌悪感を感じる。
何でこうも自分の都合のいい事ばかり言えるのだろうか…本当にこれが子供の親なのだろうか。
「貴方がいてはリアムの為にならないわ」
そんな言葉が私の口から漏れた。
「?!アシュリー何を…」
こんな事を言うつもりは無かったけれど出てしまったものはしょうがない。私は深呼吸をして更に続ける。
「貴方がリアムの父親である事は紛れも無い事実だけど、リアムが貴方の背中を見て育ったらと思うとゾッとする。今回の事でリアムの貴方への尊敬の念も消えたでしょう」
「っ!何を言ってるんだ!リアムはまだ3歳だ!こんな事理解しているはずが無い!リアムは私の息子だ!私の背中を見て育って何が悪い!」
「まだ気付いて無いのですね。いいえ、貴方は初めから私たちに悪い事をしているとこれっぽっちも思っていない、それが今分かりました」
「オリヴィアの事なら散々謝っているだろう?これ以上何を望むんだ?」
「そう言う所ですわ。貴方のそれは自分が悪い事をしたと思っている人の態度では無い。こんなに謝っているのに?謝罪の度合いは謝罪を受けている方が決める事です。謝る方にこの位でいいだろうと考える事は許されない。許す許さないは謝罪されている方が決めるのです」
「…ならばどうしたら許されると言うのだ」
「貴方が私達から許される日は来ません。私達に許すつもりがないのですから」
「じゃあ私が謝ったのは何だったんだ!」
夫のその言葉に我慢していた何かがプツリと切れた。
パシン!私は夫に平手打ちをくらわせた。
「許されないのに何故謝るんだと言うその考え方!何故それが間違っていると気付かないの?何故謝ったら当然のように許されると思っているの?貴方は一体どういう教育を受けて来たの?人の心が気持ちが分からないの?そんな事で良くもオリヴィアさんを、私を愛しているなんて言えたものね!アラン様の事だってそうよ!貴方が本当にアラン様の事を大切な親友だと思っていたなら奥さんであるオリヴィアさんをあんな自分のもののように扱えなかったはずよ!自分の何が間違っているかも気付けないような人がリアムの父親だなんて言わないで!」
一気にそう捲し立て肩で息をする私を、叩かれた頬を抑えながら夫は呆然と見ていた。
「良く言ったわねアシュリー」
そこにお母様の声が聞こえる。リアムも一緒にいた。リアムは私の顔を見て真っ直ぐ私の元に向かってくる。そんなリアムを私は力一杯抱き締める。
「リアム…」
そんな私達を見て夫は絶望したように呟いた。
「当然でしょう?リアムは貴方なんかよりずっと聡い子です。どちらが悪いかなんてずっと前から理解していますよ」
お母様は力なく座り込んだ夫に追い打ちをかけるようにそう言った。
「さぁアシュリー、これからの話をしましょうか」
「はい」
私は真っ直ぐ夫を見てこう言う。
「貴方とヨリを戻すなんて事…それだけは絶対にお断りします!」
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