それだけは絶対にお断りします!

きんのたまご

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「ど、どうしてそんな事を…」
「もう同じ事を何回も言わせないで下さい。貴方への愛は枯れ果て人間として尊敬出来る所も無い。貴方の考えている事もさっぱり理解出来ない。もう夫婦は続けられないそういう事ですわ」
そこまで言ってやっと離縁は免れないと理解したのか夫は項垂れた。
「今度こそ離縁状にサインをお願いします」
私がそう言うと夫は観念したようにペンを握った。それでもなかなかサインせず往生際が悪く私に何か訴えるようにこちらを見ていたが私が夫を無表情で見ているのを見てようやくサインをした。
「リアムは…こちらで貰い受ける」
離縁状にサインをした途端夫がそう言う。
「…何を仰っているんですか?」
「君とは別れたがリアムは私の子だ。私の元で育てればいずれ侯爵家の跡取りになる、君が育てるよりもその方がリアムも幸せだろう。約束された将来があるのだからな」
そう言う男を見て私は思う。
まだ嫌いになれる所が残っていたなんて…。
別れて改めてこの男の最低な所を見て私は思わず閉口した。
1番可哀想なのは父親の最低な所を見せられてばかりいるリアムね。私はリアムをギュッと抱き締める。
「さあ、リアムを渡してもらおうか」
トレバーが立ち上がりリアムに手を伸ばす。
「おかあさま!」
リアムが私にしがみつく。
「大丈夫よ」
私はリアムの頭を撫でる。
「トレバー、貴方にリアムは渡さない」
「…何を勝手な事を。私にリアムを渡さないのであれば侯爵家の爵位は譲らない」
余程侯爵家の爵位が大事なのかそれともそれ以外に自分にはチラつかせる餌が無いのを知っているのか…本当に愚か、そんな事でしか子供の心を得ることが出来ないと思っているなんて。
「こちらをご覧下さい」
そう言ってトレバーに1枚の紙面を渡す。
「な、なんだ…」
そしてトレバーはその紙に書いてある内容を読む。
「っ!なんだ!なんなんだこの内容は!こ、こんなこと許される筈が…!」

かねてより夫との離縁を考えていた私は夫の両親に相談をしていた。
初めこそ私の勝手で離縁するのだから夫が望んでくれるのであればリアムは侯爵家の跡取りとして置いていくと言っていた、勿論離縁の理由は言わなかった。そうじゃないと夫が悪くなってしまうから。だけど夫にほとほと愛想が尽きた頃、オリヴィアさんの勝手な振る舞い、それを知ってか知らずか放置していた夫、その全てを夫の両親に話した。すると夫の両親は私と夫が離縁した瞬間に夫を廃嫡しリアムに家督を譲ると言った。会社のお金を使い込んでいるのを知って流石に息子に任せておいたら全てダメになると思ったのだろう。リアム後見人は私の父となった。ちなみにこの話し合いをした時には私の両親も一緒だった。
まさかそんな話し合いを私と夫の両親がしているとは露ほども知らない夫は私と離縁した。
それはつまり元夫は既に侯爵では無いという事。

「もう既に侯爵家はリアムのものです」
「そ、そんな馬鹿な事があるはずない!」
ムキになって否定する元夫に私は今まで向けたことの無い笑顔を向ける。
「貴方のご両親が貴方と違いしっかりした常識をお持ちの方達で良かったですわ」
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