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エピローグ
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麗らかな春の日屋敷に響き渡る・・・叫び声!
「きゃーーーー!危ないです!お嬢様ーーー!」
5歳の娘が今日も木に登る。
私とウィリアムの間に産まれた子供ナタリア。
元気過ぎるほど元気で今日も使用人をハラハラさせている。
旦那様は今でも薬草を採りにたまに山へ入る。いつもその山に連れて行っていた影響かとてもとてもお転婆だ。元庶民である旦那様から見ると子供の木登りは普通らしい。だから私も見守っている。
そして私の腕の中には赤ちゃんがいる。
隣にはウィリアム、天使のような娘、息子、私達を心底思ってくれる使用人。
どれもこれも結婚した当時には考えられなかった幸せだ。
腕の中の我が子の頭を撫でる。
隣のウィリアムを見上げる。目が会い微笑み合う。
「お父様ー、お母様ー!」
木の上から降りてこちらへ向かって走って来る娘。
「あら、泥だらけね。手を洗ってお茶にしましょう」
腕の中の我が子を使用人に預けナタリアの後を追う。
手を洗った娘を綺麗なドレスに着替えさせる。
「今日はおじい様とお祖母様も来られるわよ」
「やった!」
あの時孫を望んでいた私の両親はやはりと言っていいのか、やはり孫バカになった。
いつもこれでもかと言う程お土産を持って来るおじい様とお祖母様はナタリアからすると年中サンタのようなものだ。
あの頃のすれ違った生活も今では笑い話になった。
あの頃からは考えられない生活。今からは考えられない生活。でもそれもここまで来るのに必要だったと思うと旦那様と話した事がある。
あの時もう少し話をしていたら、あの時もう少し相手を信じていられたら。思う事は沢山ある。
でもやっぱりあの辛かった日々かあったから助けてくれた使用人の優しい気持ちにも気付けた。
今はとても幸せだ。いや、本当はずっと幸せだった。私達が気付かなかっただけ。
今日はこれから娘の婚約者が遊びに来る。相手のお家もいいお家で本人もとてもいい子。ナタリアともとても仲が良い。
それでもいつかは喧嘩したり、もしかしたらすれ違ったりするのかもしれない。
・・・そうしたら私達の事話してあげましょう。
「恥ずかしくてウィリアムは泣いてしまうかも」
可笑しくて笑ってしまった。
「お母様早くー!」
「はいはい、大丈夫よそんなに急がなくてもお茶は逃げないわ 」
私は娘と手を繋ぎウィリアムが待つ場所へと向かう。
妻は女神で子供は天使。私はとても幸せだ。
こんな幸せな日々が私に訪れるなんて。
あんなにすれ違っていたのが今では嘘のようだ。
私達の未来は今のこの庭のように明るく光輝いている。
「眩しくて目にしみる・・・」
頬を伝う涙をそっと拭う。
私達はこの幸せを大事にこれからも共に生きて行く。
END
読んで下さった皆様ありがとうございます!
「きゃーーーー!危ないです!お嬢様ーーー!」
5歳の娘が今日も木に登る。
私とウィリアムの間に産まれた子供ナタリア。
元気過ぎるほど元気で今日も使用人をハラハラさせている。
旦那様は今でも薬草を採りにたまに山へ入る。いつもその山に連れて行っていた影響かとてもとてもお転婆だ。元庶民である旦那様から見ると子供の木登りは普通らしい。だから私も見守っている。
そして私の腕の中には赤ちゃんがいる。
隣にはウィリアム、天使のような娘、息子、私達を心底思ってくれる使用人。
どれもこれも結婚した当時には考えられなかった幸せだ。
腕の中の我が子の頭を撫でる。
隣のウィリアムを見上げる。目が会い微笑み合う。
「お父様ー、お母様ー!」
木の上から降りてこちらへ向かって走って来る娘。
「あら、泥だらけね。手を洗ってお茶にしましょう」
腕の中の我が子を使用人に預けナタリアの後を追う。
手を洗った娘を綺麗なドレスに着替えさせる。
「今日はおじい様とお祖母様も来られるわよ」
「やった!」
あの時孫を望んでいた私の両親はやはりと言っていいのか、やはり孫バカになった。
いつもこれでもかと言う程お土産を持って来るおじい様とお祖母様はナタリアからすると年中サンタのようなものだ。
あの頃のすれ違った生活も今では笑い話になった。
あの頃からは考えられない生活。今からは考えられない生活。でもそれもここまで来るのに必要だったと思うと旦那様と話した事がある。
あの時もう少し話をしていたら、あの時もう少し相手を信じていられたら。思う事は沢山ある。
でもやっぱりあの辛かった日々かあったから助けてくれた使用人の優しい気持ちにも気付けた。
今はとても幸せだ。いや、本当はずっと幸せだった。私達が気付かなかっただけ。
今日はこれから娘の婚約者が遊びに来る。相手のお家もいいお家で本人もとてもいい子。ナタリアともとても仲が良い。
それでもいつかは喧嘩したり、もしかしたらすれ違ったりするのかもしれない。
・・・そうしたら私達の事話してあげましょう。
「恥ずかしくてウィリアムは泣いてしまうかも」
可笑しくて笑ってしまった。
「お母様早くー!」
「はいはい、大丈夫よそんなに急がなくてもお茶は逃げないわ 」
私は娘と手を繋ぎウィリアムが待つ場所へと向かう。
妻は女神で子供は天使。私はとても幸せだ。
こんな幸せな日々が私に訪れるなんて。
あんなにすれ違っていたのが今では嘘のようだ。
私達の未来は今のこの庭のように明るく光輝いている。
「眩しくて目にしみる・・・」
頬を伝う涙をそっと拭う。
私達はこの幸せを大事にこれからも共に生きて行く。
END
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とっても素敵で、幸せな気持ちになりました、2人の気持ちが繋がれば、こんなに幸せになれる
こんなお話し大好きです❤️ありがとう
後日談も素敵💕(*´ ∀ `)
幸せに溢れた家で愛されて生まれ育った子供達も素敵な人と素晴らしい人生を歩むことになるんだろうな〜(*´ ∀ `)
すずまる様ありがとうございますm(*_ _)m
こちらにまで感想を!もう感謝ですずまる様に足を向けて眠れません!
愛し愛される夫婦になれて良かったです!
素敵な良い(*^^*)💕お話しでした‼️
ひつじ様ありがとうございます!
そう言って頂けると励みになります。嬉しいです(。♥ˇε ˇ♥。)