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今朝仕事に出てから急にディアナが産気づいたと連絡があった。そんなすぐには産まれないからゆっくり気を付けて帰って下さいと言う店の人達の言葉も聞かず急いで帰ろうと飛び出して馬車に轢かれかけた・・・。

今はディアナの傍にいる。私が家に着いた時はディアナにも私と話をする余裕があったのだが今は痛みに耐え話をする余裕も無いようだ。
うぅ、なんて痛そうなんだ・・・。
こんなに痛いなんて本当に大丈夫なのか?
私はディアナに付き添っている年配の使用人さんを見る。
「こんなに痛がって大丈夫なのか?」
「大丈夫です!もう、何度目ですか!」
そう、私はさっきから何度も何度もディアナは大丈夫なのかと聞いている。
分かっている。私だって薬師なのだ。妊娠が病気では無いとこもお産が大変なのも知っている。知っていたはずだ!
だが!ディアナがこんなに痛そうで辛そうで!
「旦那様!見ていられないなら外へお出になられた方がよろしいですわ」
「!」
これはアレだ。邪魔ってやつだ。私だって知っている!治療の邪魔になる人は外に出される。
「いや!ディアナについてる!」
「そうですか、では旦那様奥様の腰でもさすって差し上げて下さい」
「分かった!」
時折呻くように痛がっているディアナの腰をゆっくりさする。
「旦那様・・・ありがとう・・・ございます」
「ディアナ、私はこんな事しか出来ないけどずっと一緒にいるから」
そしてディアナの手をギュッと握る。
「はい、がんばり・・・ます」


朝方産気づき今はもう日をまたごうとしている。
だんだん痛みが強くなっているようで叫ぶように痛がるディアナ。
「そろそろですわね」
使用人さん達が慌ただしく動き出す。
「旦那さん!そろそろ外に出て!」
産婆さんに怒鳴られた。押し出されるように部屋から出される。閉じられた扉。ディアナが痛がる声。
あぁ、どうか無事に産まれますように!胸の前で手を組み祈るように扉をじっと見ていた。
それから何分・・・何時間・・・、もう時間の感覚がおかしい。
ふと静かになったと思った瞬間!
「んぎゃああぁあ」
「!」
思わず立ち上がる。
しばらくすると扉が空いて産婆さんが出て来る。
「おめでとう、お父さん」
「!ありがとうございます!」
「奥様もお子さんもお元気ですよ」
「もう会えますか?」
「ええ、でも奥様はお疲れですからね。ほどほどに!」
「はい!」
私はそっと部屋の中に入る。
「ディアナ」
そっと呼びかけるとディアナは疲れたような顔で薄く微笑んでくれた。
「ありがとうディアナ!お疲れ様」
ディアナの頭を撫でる。
疲れたのだろう微睡みかけているディアナへ
「おやすみ」
そう言ってディアナの頬にキスをする。
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