11 / 39
10
しおりを挟む
やっとのことで壁へと移動した私はカーテンの影に隠れて会場を見渡していた。
色とりどりのドレス!
やはり私も女の子なので心が浮き立つ!
あー可愛い女の子を見ているのは楽しいわぁ。
すっすら微笑みながら立っていると
「そんなところで何をしておられるのですか?貴方のような可憐な方がこのような所にいては勿体ないですよ」
とカーテンの向こうから声が聞こえた。ん?可憐?誰のことだ?
私は首を傾げながらも、まぁ私ではないなとそのままにしていたらクスクスと笑い声
「そこのカーテンに隠れておられる貴方ですよ」
私は構われたくなくて
「どうかわたくしのことはお構い無く」
と素っ気なく返したのだか、なぜかまた笑われた。
そもそも向こうからはこちらの顔は見えてもいないはずなのに可憐な方なんて明らかに嘘なのである。きっと誰にでもそう言って声をかけているのだろう。
どの世界にもこういうナンパなやつはいるんだなと思いつつ
「あら、あちらにピンクのドレスのとても素敵な方がおられますわよ!」
と全然知らない令嬢をすすめてみた。
こういった輩は可愛い女の子なら誰でもいいだろう!
しかしその方はそこから動く様子が無い。
「貴方はここで何を?」
また話かけられた。
「……」
まぁ顔を見られている訳ではないから話くらいはいいか。はぁ。
「可愛いご令嬢達を愛でておりました」
私はさっきまで、いや、今も女の子を眺めていた事を素直に話した。
こんな怪しいことを言う令嬢なんて興味無いでしょう?早くどこかへ行って!っという思いを込めて。
「貴方もあちらに参加されてはいかがですか?」
どうやらまだ話は続くらしい。
私は諦めて暫く相手になるかと諦めた。
「わたくしこういった場所は初めてでして、お友達とお呼びするような方はおりませんので話をする方もおりませんの。もともと社交などはあまり乗り気ではありませんから始めからわたくし壁になりきろうと思い参ったのです」
「ふっ…あはははは!」
何が面白かったのかカーテンの向こうの方が笑い出しました。
このままではこちらに注目が集まりそうな予感がします。
時間を確認するとそろそろ帰ってもいいお時間!
「わたくしそろそろ失礼致します」
私はそそくさとその場を立ち去り出口へと向かったのだった。
振り返ることもしなかった私はカーテンの向こうの方がずっとこちらを見ていた事には気付かなかった。
「面白いご令嬢だ。あの娘なら……」
あーーー!疲れた!
私は馬車に乗り込む。
「ずいぶんお早いお戻りですね」
使用人に苦笑まじりにそう言われ
「もう、十分よ。私には社交はやはり向いてないわ。明日からまた思う存分引きこもるわ!」
と力一杯返事をするとまたしても苦笑されたのだった。
色とりどりのドレス!
やはり私も女の子なので心が浮き立つ!
あー可愛い女の子を見ているのは楽しいわぁ。
すっすら微笑みながら立っていると
「そんなところで何をしておられるのですか?貴方のような可憐な方がこのような所にいては勿体ないですよ」
とカーテンの向こうから声が聞こえた。ん?可憐?誰のことだ?
私は首を傾げながらも、まぁ私ではないなとそのままにしていたらクスクスと笑い声
「そこのカーテンに隠れておられる貴方ですよ」
私は構われたくなくて
「どうかわたくしのことはお構い無く」
と素っ気なく返したのだか、なぜかまた笑われた。
そもそも向こうからはこちらの顔は見えてもいないはずなのに可憐な方なんて明らかに嘘なのである。きっと誰にでもそう言って声をかけているのだろう。
どの世界にもこういうナンパなやつはいるんだなと思いつつ
「あら、あちらにピンクのドレスのとても素敵な方がおられますわよ!」
と全然知らない令嬢をすすめてみた。
こういった輩は可愛い女の子なら誰でもいいだろう!
しかしその方はそこから動く様子が無い。
「貴方はここで何を?」
また話かけられた。
「……」
まぁ顔を見られている訳ではないから話くらいはいいか。はぁ。
「可愛いご令嬢達を愛でておりました」
私はさっきまで、いや、今も女の子を眺めていた事を素直に話した。
こんな怪しいことを言う令嬢なんて興味無いでしょう?早くどこかへ行って!っという思いを込めて。
「貴方もあちらに参加されてはいかがですか?」
どうやらまだ話は続くらしい。
私は諦めて暫く相手になるかと諦めた。
「わたくしこういった場所は初めてでして、お友達とお呼びするような方はおりませんので話をする方もおりませんの。もともと社交などはあまり乗り気ではありませんから始めからわたくし壁になりきろうと思い参ったのです」
「ふっ…あはははは!」
何が面白かったのかカーテンの向こうの方が笑い出しました。
このままではこちらに注目が集まりそうな予感がします。
時間を確認するとそろそろ帰ってもいいお時間!
「わたくしそろそろ失礼致します」
私はそそくさとその場を立ち去り出口へと向かったのだった。
振り返ることもしなかった私はカーテンの向こうの方がずっとこちらを見ていた事には気付かなかった。
「面白いご令嬢だ。あの娘なら……」
あーーー!疲れた!
私は馬車に乗り込む。
「ずいぶんお早いお戻りですね」
使用人に苦笑まじりにそう言われ
「もう、十分よ。私には社交はやはり向いてないわ。明日からまた思う存分引きこもるわ!」
と力一杯返事をするとまたしても苦笑されたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
彼は亡国の令嬢を愛せない
黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。
ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。
※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。
※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。
※新作です。アルファポリス様が先行します。
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる