美人が得って本当ですか?

きんのたまご

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カーテンの向こうの方目線

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私はこの国の皇太子だ。
今日は社交界デビューの夜会が城で行われる、私は毎年ゲストとして参加している。
退屈だ。15才の子息、令嬢達は話をしていても内容が無い薄っぺらなもので近づいてくるものは親から言われすり寄ってくるものばかりだ。

この中から婚約者を選ばねばならんのか。私は頭が痛くなるような思いだった。
何を隠そう私も今年15になるのだ。
この国の王族は皆自分と同じ年のデビューの夜会から伴侶を選ぶことが決められている。なんだそれは!
まぁ産まれた時からそう決められているのでその事についてはもう何も言うまい。
しかしながら毎年この夜会に参加しているが今年はひどい!主に参加者の質が低い。
どいつもこいつも馬鹿そうな顔をしている。と、まぁそんな事を考えているとは態度には出さず会場を微笑みながら歩いて回る。

そろそろ疲れたな愛想笑いも。
そう思いどこか隠れて休憩できそうな場所を探す。
すると壁に掛かるカーテンが揺れているのが目に入る、誰かいるのか?そう思い近づくと揺れるカーテンの向こうに薄紫のドレスの裾が見えた。
そういえばさっきもこの色のドレスを見たなとぼんやり思う。

あれはこの会場に入る扉の前。
後ろ姿だがまっすぐ前を見ている令嬢と扉も開けず令嬢を見ている騎士。
何かあったのかと思い
「おい!いつまでも何をしている?」
その声に押されるように、その令嬢は謝りながら会場へと入って行った。
その後騎士に何をしていたかきいたところ女神がどうとか言っていたのであまり覚えていない。

これがさっきの令嬢か、それにしても顔が見えんな。
さっきも後ろ姿で顔は見ていない。
まぁいいかこちらから見えないということは向こうからも見えないということだ、私が皇太子だとも気付いてないようだこのまま身分を明かさず話をしてみようという気になった。
話をしてみると大人しいと思っていた令嬢は社交界嫌いな面白いご令嬢だということがわかった。
それにしても他の令嬢を眺めていたなんて……ふっ、ははは。

もしかしてこの令嬢ならば、ずっと私の隣に置いておいても面白いかもしれないと思う。

しかし顔も見えず名前すら聞いていない。
覚えているのは声、後ろ姿、ブロンドの髪……。



どこにいても必ず見つけ出す。
私は不敵に笑う。

    
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