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その日いつものように眠りから覚めると何故か家族皆に囲まれていた。
「…おはようございます…どうされたのですか?皆して私の寝ている所を見ているなんて」
私は体を起こす。誰も何も言わず私がそうするのを目を丸くして見ていた。
「?本当に何なんですか?」
するとその言葉で覚醒した姉がお父様とお母様を揺さぶる。
「やったわ!とうとう目を覚ましたわ!」
そうしてお父様お母様お姉様は抱き合いながら泣いていた。その姿を呆然と見つめる私。
するとそこに聞きなれた声。
「お嬢様、私の事が分かりますか?」
「?何を言っているの?貴女は私の侍女のメアリーでしょう?」
私が何を当たり前の事をと返事をするとメアリーは大きく息をついた。
「?本当に一体どうしたの?」
未だ泣き止まぬ家族をチラリと見て私はメアリーに尋ねる。
「お嬢様は半年前の事故で記憶を無くされ、その後眠りにつかれてそれ以来初めてお目覚めになられたのですのよ?」
はっ?
それからずっと泣き止まぬ家族を使用人達が何とか宥めて詳しい説明をされた。
半年前の学園からの帰り、私の乗る馬車は前日から降り続けていた雨のせいでぬかるんだ道で滑りそのまま屋敷の近くの崖から落ちた。
私の屋敷は街中でなく、外れの少し小高い丘の上にある。そのせいで屋敷までの道は両脇に崖のある道を通らなければならない、いつもは気をつけて帰っているのだがその日は何故か私が酷く急いで帰ってい欲しいと言ったそうだ。
その辺は覚えていないが、御者には大変申し訳ない事をした。
幸いにも屋敷から近くそんなに高さの無い崖だったので命に別状は無かったのだが、その時頭を打ったのか助けられた直後手当てされている最中家族の顔を見て自分の事も家族の事も誰だか分からないと言ったそうだ。
そしてその後眠りについた私は…それから半年1度も目覚めなかった。
まあ、そりゃ家族の皆あんな感じになるわ。
大まかな説明を聞いた私が思ったのはそんな事だった。
「私が眠っている間皆に心配かけてしまったわね」
私はメアリーにそう言う。
「そうですね、ご家族様達は本当に心配しておられましたよ」
そうだろう、目が覚めた時私の目に入った両親と姉の顔には疲労の色が見えていた。
「貴女達にも心配かけたわね」
私がそう言うとメアリーは驚いた顔をした後に目に涙を浮かべながら笑ってくれた。
「お嬢様の目が覚めて本当に良かったです」
しかし…自分の身に本当にこんな事が起こるなんて。
「お嬢様、お医者様がこられました」
「はい」
怪我自体はもうすっかり治っている。
お医者様は念の為。事故直後の記憶喪失の件だろう。
自分の名前、歳、家族の事、友達の事、事故の日の事。色々聞かれた、自分の事や家族の事、友達の事などは問題無く覚えていた。事故の日の事は所々記憶が曖昧だが何となく覚えているところもある。
「大丈夫そうですね」
私の受け答えを聞いてお医者様はそう言って帰って行った。
「良かったですねお嬢様」
「ええ、本当に。事故直後だしショックで記憶が一時的に曖昧になっていただけなのかもしれないわね、もう大丈夫よ」
「そうですね」
メアリーは安心したようにそう言った。
やっぱりとても心配かけたいたのだわ、目覚める事が出来て本当に良かったと心の中でそう思った。
「あっ!」
メアリーが突然声を上げる。
「どうしたの?」
「お嬢様がお目覚めになられた事を1番にお知らせしないといけない方がいるのをすっかり忘れていましたわ!今からすぐに連絡して参ります」
そう言ってメアリーは慌ただしく部屋を出ていった。
………1番に知らせないといけない人?……誰?
いや、家族が知っていればいいと思うのだけれど…。
………ああ、何か考えないといけない事があった気がするのだけれど…。まだ本調子ではないのね。私はもう一度眠りに付いた。
「…おはようございます…どうされたのですか?皆して私の寝ている所を見ているなんて」
私は体を起こす。誰も何も言わず私がそうするのを目を丸くして見ていた。
「?本当に何なんですか?」
するとその言葉で覚醒した姉がお父様とお母様を揺さぶる。
「やったわ!とうとう目を覚ましたわ!」
そうしてお父様お母様お姉様は抱き合いながら泣いていた。その姿を呆然と見つめる私。
するとそこに聞きなれた声。
「お嬢様、私の事が分かりますか?」
「?何を言っているの?貴女は私の侍女のメアリーでしょう?」
私が何を当たり前の事をと返事をするとメアリーは大きく息をついた。
「?本当に一体どうしたの?」
未だ泣き止まぬ家族をチラリと見て私はメアリーに尋ねる。
「お嬢様は半年前の事故で記憶を無くされ、その後眠りにつかれてそれ以来初めてお目覚めになられたのですのよ?」
はっ?
それからずっと泣き止まぬ家族を使用人達が何とか宥めて詳しい説明をされた。
半年前の学園からの帰り、私の乗る馬車は前日から降り続けていた雨のせいでぬかるんだ道で滑りそのまま屋敷の近くの崖から落ちた。
私の屋敷は街中でなく、外れの少し小高い丘の上にある。そのせいで屋敷までの道は両脇に崖のある道を通らなければならない、いつもは気をつけて帰っているのだがその日は何故か私が酷く急いで帰ってい欲しいと言ったそうだ。
その辺は覚えていないが、御者には大変申し訳ない事をした。
幸いにも屋敷から近くそんなに高さの無い崖だったので命に別状は無かったのだが、その時頭を打ったのか助けられた直後手当てされている最中家族の顔を見て自分の事も家族の事も誰だか分からないと言ったそうだ。
そしてその後眠りについた私は…それから半年1度も目覚めなかった。
まあ、そりゃ家族の皆あんな感じになるわ。
大まかな説明を聞いた私が思ったのはそんな事だった。
「私が眠っている間皆に心配かけてしまったわね」
私はメアリーにそう言う。
「そうですね、ご家族様達は本当に心配しておられましたよ」
そうだろう、目が覚めた時私の目に入った両親と姉の顔には疲労の色が見えていた。
「貴女達にも心配かけたわね」
私がそう言うとメアリーは驚いた顔をした後に目に涙を浮かべながら笑ってくれた。
「お嬢様の目が覚めて本当に良かったです」
しかし…自分の身に本当にこんな事が起こるなんて。
「お嬢様、お医者様がこられました」
「はい」
怪我自体はもうすっかり治っている。
お医者様は念の為。事故直後の記憶喪失の件だろう。
自分の名前、歳、家族の事、友達の事、事故の日の事。色々聞かれた、自分の事や家族の事、友達の事などは問題無く覚えていた。事故の日の事は所々記憶が曖昧だが何となく覚えているところもある。
「大丈夫そうですね」
私の受け答えを聞いてお医者様はそう言って帰って行った。
「良かったですねお嬢様」
「ええ、本当に。事故直後だしショックで記憶が一時的に曖昧になっていただけなのかもしれないわね、もう大丈夫よ」
「そうですね」
メアリーは安心したようにそう言った。
やっぱりとても心配かけたいたのだわ、目覚める事が出来て本当に良かったと心の中でそう思った。
「あっ!」
メアリーが突然声を上げる。
「どうしたの?」
「お嬢様がお目覚めになられた事を1番にお知らせしないといけない方がいるのをすっかり忘れていましたわ!今からすぐに連絡して参ります」
そう言ってメアリーは慌ただしく部屋を出ていった。
………1番に知らせないといけない人?……誰?
いや、家族が知っていればいいと思うのだけれど…。
………ああ、何か考えないといけない事があった気がするのだけれど…。まだ本調子ではないのね。私はもう一度眠りに付いた。
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