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やはりあれから2日経っても家族の寝顔を見る会は解散されずやむを得ず止めて欲しいと言うと凄く悲しまれたり、私がまともに歩けるようになったり、ちょっと固形物を食べれるようになったり、そんな事が色々あって手紙が来てから1週間経った。今日はカトリーヌが家に来る。
「さあ、お嬢様そろそろお支度しましょう」
そう言われドレッサーの前に座る。半年間寝ていた私の髪は伸びっ放しでまずはその髪を切りそろえる。念入りにブラッシングをされて艶を取り戻した。お肌は私が眠っている間も手入れしてくれていたようで乾燥などもなく本当にメアリーには感謝である。
ウキウキとドレスを選ぶメアリーを鏡越しに見ながら言う。
「カトリーヌに会うだけでそんなに着飾らなくてもいいんじゃない?」
「お嬢様!なんて酷いことを仰るんですか!半年もお嬢様を気飾れなくて私がどれ程悲しい思いをしましたか!」
「あ、ああそう」
「そうでございます!ご主人様もお嬢様が眠っておられる間に目覚めたら着せてあげたいとドレスを何着も何着もご用意しておられたのですよ?そのドレスを今着ないでいつ着るのですか?」
「…分かったわ」
お父様…通りで見覚えの無いドレスが沢山あるなぁと思っていたんですよ…私が眠っている間にそんな事をなさっていたんですね。
有難い…のか何なのか…複雑な気持ちを抱えながら以前より少し痩せた体にドレスを纏う。
「お嬢様完璧ですわ!」
そう言われて鏡を見ると完璧にお化粧されたまるで夜会にでも行くのか?と言うような私がいた。
「カトリーヌ!」
半年ぶりに会う友達と再会のハグをする。
私は眠っていただけなので半年前の事も昨日の事のように思っていたが以前より少し大人びた彼女を見て確実に時は流れているのだと実感した。
「本当に良かった!学園の皆心配していたのよ」
「そう、本当に皆には心配掛けてしまったわ。さあ、座って」
私達は向かい会って座る。
カトリーヌは私が眠っている間の学園の事を話してくれた。
「で?貴女はいつ戻って来るの?」
「…まだ暫くは無理そう。勉強も進んでいるでしょ?半年分を取り戻すまでは屋敷に家庭教師を呼ぼうと思っているから」
「なんだ、そうなの?すぐにでも貴女と学園に通えると思っていたのに、まだ暫くお預けね」
「ごめんなさいね」
「まあ、しょうがないわ」
そう言ってカトリーヌは肩を竦めた。
「あっ!そういえば一時記憶が無かったと聞いたけど…」
「そうらしいけど気のせいだったみたい、だって家族の事も貴女の事もこうして覚えているもの」
「そうなのね、良かった」
私達は微笑み合う。
「じゃあもうあの男にも会ったのね」
「?あの男?」
「やだ、とぼけてるの?ヘクターよヘクター!」
「ヘクター?」
ん?何処かで聞いた名前…ああそう、そう言えば同じ学園にそんな名前の方がいたわね。
「何で?会って無いわよ?そもそも何で私がそのヘクターと会わないといけないの?」
そんな学園が同じと言うだけで病み上がり?の私が会う理由は無いはず。
「何を言っているの?婚約者よ?」
ん?婚約者?誰の?…………。
「あっカトリーヌ婚約したの?おめでとう!なんだ!じゃあ次会う時に紹介してよ」
私がそう言うとメアリーとカトリーヌが顔を見合わせる。そしてメアリーは用が出来たと言って部屋を出て行った。
「?メアリーどうしたのかしら」
「…………そろそろ私も帰るわ」
カトリーヌはそう言って席を立った。
「どうしたの?まだいいじゃない」
「貴女もあまり長い時間こうしているとまだ身体が辛いでしょう?無理させられないわ。これからはいつでも会えるのだし、また近いうちに来るわ。今度は貴女が食べれそうなお菓子も持ってくるから」
その言葉を聞いて渋々カトリーヌを見送る。
「じゃあまたね」
「ええ、また」
カトリーヌの乗った馬車を見送り部屋に戻るとやはり少し疲れたのか緩い睡魔が襲って来る。
ベッドに横になる…。
カトリーヌ婚約したんだなぁ。お祝い何にしようかな。そんな事を考えながら眠りについた。
「さあ、お嬢様そろそろお支度しましょう」
そう言われドレッサーの前に座る。半年間寝ていた私の髪は伸びっ放しでまずはその髪を切りそろえる。念入りにブラッシングをされて艶を取り戻した。お肌は私が眠っている間も手入れしてくれていたようで乾燥などもなく本当にメアリーには感謝である。
ウキウキとドレスを選ぶメアリーを鏡越しに見ながら言う。
「カトリーヌに会うだけでそんなに着飾らなくてもいいんじゃない?」
「お嬢様!なんて酷いことを仰るんですか!半年もお嬢様を気飾れなくて私がどれ程悲しい思いをしましたか!」
「あ、ああそう」
「そうでございます!ご主人様もお嬢様が眠っておられる間に目覚めたら着せてあげたいとドレスを何着も何着もご用意しておられたのですよ?そのドレスを今着ないでいつ着るのですか?」
「…分かったわ」
お父様…通りで見覚えの無いドレスが沢山あるなぁと思っていたんですよ…私が眠っている間にそんな事をなさっていたんですね。
有難い…のか何なのか…複雑な気持ちを抱えながら以前より少し痩せた体にドレスを纏う。
「お嬢様完璧ですわ!」
そう言われて鏡を見ると完璧にお化粧されたまるで夜会にでも行くのか?と言うような私がいた。
「カトリーヌ!」
半年ぶりに会う友達と再会のハグをする。
私は眠っていただけなので半年前の事も昨日の事のように思っていたが以前より少し大人びた彼女を見て確実に時は流れているのだと実感した。
「本当に良かった!学園の皆心配していたのよ」
「そう、本当に皆には心配掛けてしまったわ。さあ、座って」
私達は向かい会って座る。
カトリーヌは私が眠っている間の学園の事を話してくれた。
「で?貴女はいつ戻って来るの?」
「…まだ暫くは無理そう。勉強も進んでいるでしょ?半年分を取り戻すまでは屋敷に家庭教師を呼ぼうと思っているから」
「なんだ、そうなの?すぐにでも貴女と学園に通えると思っていたのに、まだ暫くお預けね」
「ごめんなさいね」
「まあ、しょうがないわ」
そう言ってカトリーヌは肩を竦めた。
「あっ!そういえば一時記憶が無かったと聞いたけど…」
「そうらしいけど気のせいだったみたい、だって家族の事も貴女の事もこうして覚えているもの」
「そうなのね、良かった」
私達は微笑み合う。
「じゃあもうあの男にも会ったのね」
「?あの男?」
「やだ、とぼけてるの?ヘクターよヘクター!」
「ヘクター?」
ん?何処かで聞いた名前…ああそう、そう言えば同じ学園にそんな名前の方がいたわね。
「何で?会って無いわよ?そもそも何で私がそのヘクターと会わないといけないの?」
そんな学園が同じと言うだけで病み上がり?の私が会う理由は無いはず。
「何を言っているの?婚約者よ?」
ん?婚約者?誰の?…………。
「あっカトリーヌ婚約したの?おめでとう!なんだ!じゃあ次会う時に紹介してよ」
私がそう言うとメアリーとカトリーヌが顔を見合わせる。そしてメアリーは用が出来たと言って部屋を出て行った。
「?メアリーどうしたのかしら」
「…………そろそろ私も帰るわ」
カトリーヌはそう言って席を立った。
「どうしたの?まだいいじゃない」
「貴女もあまり長い時間こうしているとまだ身体が辛いでしょう?無理させられないわ。これからはいつでも会えるのだし、また近いうちに来るわ。今度は貴女が食べれそうなお菓子も持ってくるから」
その言葉を聞いて渋々カトリーヌを見送る。
「じゃあまたね」
「ええ、また」
カトリーヌの乗った馬車を見送り部屋に戻るとやはり少し疲れたのか緩い睡魔が襲って来る。
ベッドに横になる…。
カトリーヌ婚約したんだなぁ。お祝い何にしようかな。そんな事を考えながら眠りについた。
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