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剥がれる仮面
「どうして、その手紙を!勝手に開いたのはお前か!」
「そんな事どうでもいいでしょう!それよりもこの手紙は何なの?どこの女なの?私の他にも女がいるの?どういう事?はっきり説明して!」
「そんな相手いるはず無いだろう!」
「じゃあこの手紙は何なのよ!明らかに女の字じゃないの!しかも幸せかってどういう事なの?もしかして私と結婚した事を後悔していると相手に話しているの!?」
「だから!そんな相手いないと言っているだろう!その手紙はフレアからの!」
そこまで言って私ははっと我に返る。
チュニックが余りにもこちらの話を聞かず一方的に責めて来るのでこちらもつい感情的になってしまい思わずフレアの名前を出してしまったが、まずいと思った時には既に遅くチュニックは何かをブツブツと呟きながら膝を付き自らの身体を抱き締めるようにして震えていた。
「お、おい、大丈夫か?チュニック!」
私は震えるチュニックの肩を掴み問いかける。
「フレアフレアフレアフレアフレアフレア」
焦点の合わない虚ろな目で一点を見詰めながらフレアの名前を繰り返し呟くチュニック………虐められたと訴えて来ていた時でもこんな事は無かったのに、それ程までにフレアの存在はチュニックにとっての心の傷になっていたのか。
最近の様子を見て幸せな生活をするうちにきっと大丈夫になったのだろうと思っていたのに……。
私は可哀想な程震えるチュニックに抱き締めようと手を伸ばす。
するとその手は大きな音と怒鳴り声と共に振り払われた。
「触らないで!結局!貴方も!最後はフレアが良いと!そう言うのね!」
「な、何を…何を言っているんだ……チュニック」
「止めて!もう名前も呼ばないで!穢らわしい!おかしいと思っていたのよ!最近ずっと執務室に籠ることが増えて!ずっとその手紙を握っていた!ずっとずっと私の事を騙して!フレアと連絡を取り合っていたのね!」
「ち、違う!そんな事はしていない」
「じゃあ何なのよこの手紙は!折角、折角、邪魔なフレア虐めて屋敷から追い出して、あの女の旦那も奪って、あいつが掴むはずだった幸せも、全て全て全て私の物にしたと、私の物になったと思っていたのに!」
そこまで言ってチュニックは徐に立ち上がるとフラフラと執務室を出て行こうとする。
私はそんなチュニックの手を掴む。
「どういう事だ!どういう事なんだ!今言った事は本当なのか!………お前が、お前がフレアを虐めて追い出した?……何を言ってるんだ……チュニック、お前が虐められていたんだろう?」
私は縋るような気持ちでチュニックに問いかける。するとチュニックは私を見て今まで見たことの無いような冷たい笑みを浮かべた。
「ふっ!何言ってるの…本当に気付いて無かったの?だとしたらおめでたい頭ね。ふふっそうよ、私が!虐めて追い出してやったよの!あの目障りなクソ女をね!」
「なっ!」
「ふふっいい気味だったわ。苦労もなーにも知りませんって顔して笑っていたあの女を虐めている私を庇う馬鹿な夫を見た時のあの、フレアの絶望的な顔!ほーんと楽しかった」
チュニックの衝撃的な発言に、それをさも、楽しい事を話しているかのように話すその姿に私は何を言えばいいのか分からなかった。
浮かぶのはあの頃のフレアの辛そうな顔。
今になって思い出す。
確かに見ていた、そう確かに見ていたのだ辛そうな顔をしているフレアの姿を……何故、何故今までそんな大事な事から目を逸らしていたのだろう……………どうして目を逸らすことが出来ていたのだろう。
絶望感に襲われショックを受ける私にチュニックは尚も続ける。
「ほーんと可哀想よねぇ。アカデミーにいた頃から自分を虐めていた私を!味方であるはずの貴方が屋敷に招き入れ、その後も妻の話もろくに聞かず私の言うことばかり信じる夫!見ていて可笑しいくらい可哀想だったわ。私からも私と仲が良かった使用人からも虐められて、やってもいない罪も被せられて……ふふっ屋敷を追い出されて、あーなんて可哀想なフレア。ふふっ…………あら、なーにその顔、まるで貴方も被害者だと言わんばかりの顔じゃないの」
「あ、当たり前だ!私はお前に騙されていたんだ!被害者だ!」
「ふっ何言ってんのよ、妻の話もろくに聞かずちゃんと調べる事もせず、なーんの罪も無い可哀想な奥様を追い出したのはあ、な、た、でしょ。本当に気付かなかったというの?お金を使い込んだのも私よ!いつも化粧もせず古いドレス、宝石も何一つ持っていなかったフレアがそんな事する筈ないじゃないの。貴方は気付いていたけど気付かない振りをして信じたい方を信じただけ、所詮同じ穴の狢なのよ!あはははは!あー可笑しい!面白いように騙されてくれて、虐められてる振りをする方が大変だったわ、思わず笑っちゃいそうで!あはははは!」
……これは本当に現実か………目の前にいるこの女は……本当にチュニックなのか……。
「ほ、本当に、お前は」
「ふん、まだ私に本当かと聞いてくるなんて、馬鹿な男」
崩れたままその場から動けない私をチュニックは冷めた目で一瞥しその身を翻し扉へと向かい、その扉へと手を掛けた。
「そんな事どうでもいいでしょう!それよりもこの手紙は何なの?どこの女なの?私の他にも女がいるの?どういう事?はっきり説明して!」
「そんな相手いるはず無いだろう!」
「じゃあこの手紙は何なのよ!明らかに女の字じゃないの!しかも幸せかってどういう事なの?もしかして私と結婚した事を後悔していると相手に話しているの!?」
「だから!そんな相手いないと言っているだろう!その手紙はフレアからの!」
そこまで言って私ははっと我に返る。
チュニックが余りにもこちらの話を聞かず一方的に責めて来るのでこちらもつい感情的になってしまい思わずフレアの名前を出してしまったが、まずいと思った時には既に遅くチュニックは何かをブツブツと呟きながら膝を付き自らの身体を抱き締めるようにして震えていた。
「お、おい、大丈夫か?チュニック!」
私は震えるチュニックの肩を掴み問いかける。
「フレアフレアフレアフレアフレアフレア」
焦点の合わない虚ろな目で一点を見詰めながらフレアの名前を繰り返し呟くチュニック………虐められたと訴えて来ていた時でもこんな事は無かったのに、それ程までにフレアの存在はチュニックにとっての心の傷になっていたのか。
最近の様子を見て幸せな生活をするうちにきっと大丈夫になったのだろうと思っていたのに……。
私は可哀想な程震えるチュニックに抱き締めようと手を伸ばす。
するとその手は大きな音と怒鳴り声と共に振り払われた。
「触らないで!結局!貴方も!最後はフレアが良いと!そう言うのね!」
「な、何を…何を言っているんだ……チュニック」
「止めて!もう名前も呼ばないで!穢らわしい!おかしいと思っていたのよ!最近ずっと執務室に籠ることが増えて!ずっとその手紙を握っていた!ずっとずっと私の事を騙して!フレアと連絡を取り合っていたのね!」
「ち、違う!そんな事はしていない」
「じゃあ何なのよこの手紙は!折角、折角、邪魔なフレア虐めて屋敷から追い出して、あの女の旦那も奪って、あいつが掴むはずだった幸せも、全て全て全て私の物にしたと、私の物になったと思っていたのに!」
そこまで言ってチュニックは徐に立ち上がるとフラフラと執務室を出て行こうとする。
私はそんなチュニックの手を掴む。
「どういう事だ!どういう事なんだ!今言った事は本当なのか!………お前が、お前がフレアを虐めて追い出した?……何を言ってるんだ……チュニック、お前が虐められていたんだろう?」
私は縋るような気持ちでチュニックに問いかける。するとチュニックは私を見て今まで見たことの無いような冷たい笑みを浮かべた。
「ふっ!何言ってるの…本当に気付いて無かったの?だとしたらおめでたい頭ね。ふふっそうよ、私が!虐めて追い出してやったよの!あの目障りなクソ女をね!」
「なっ!」
「ふふっいい気味だったわ。苦労もなーにも知りませんって顔して笑っていたあの女を虐めている私を庇う馬鹿な夫を見た時のあの、フレアの絶望的な顔!ほーんと楽しかった」
チュニックの衝撃的な発言に、それをさも、楽しい事を話しているかのように話すその姿に私は何を言えばいいのか分からなかった。
浮かぶのはあの頃のフレアの辛そうな顔。
今になって思い出す。
確かに見ていた、そう確かに見ていたのだ辛そうな顔をしているフレアの姿を……何故、何故今までそんな大事な事から目を逸らしていたのだろう……………どうして目を逸らすことが出来ていたのだろう。
絶望感に襲われショックを受ける私にチュニックは尚も続ける。
「ほーんと可哀想よねぇ。アカデミーにいた頃から自分を虐めていた私を!味方であるはずの貴方が屋敷に招き入れ、その後も妻の話もろくに聞かず私の言うことばかり信じる夫!見ていて可笑しいくらい可哀想だったわ。私からも私と仲が良かった使用人からも虐められて、やってもいない罪も被せられて……ふふっ屋敷を追い出されて、あーなんて可哀想なフレア。ふふっ…………あら、なーにその顔、まるで貴方も被害者だと言わんばかりの顔じゃないの」
「あ、当たり前だ!私はお前に騙されていたんだ!被害者だ!」
「ふっ何言ってんのよ、妻の話もろくに聞かずちゃんと調べる事もせず、なーんの罪も無い可哀想な奥様を追い出したのはあ、な、た、でしょ。本当に気付かなかったというの?お金を使い込んだのも私よ!いつも化粧もせず古いドレス、宝石も何一つ持っていなかったフレアがそんな事する筈ないじゃないの。貴方は気付いていたけど気付かない振りをして信じたい方を信じただけ、所詮同じ穴の狢なのよ!あはははは!あー可笑しい!面白いように騙されてくれて、虐められてる振りをする方が大変だったわ、思わず笑っちゃいそうで!あはははは!」
……これは本当に現実か………目の前にいるこの女は……本当にチュニックなのか……。
「ほ、本当に、お前は」
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