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そして明かされる真実①
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突如現れたフレアに私もチュニックも驚いた。
思いもよらぬフレアの登場にチュニックは何かを言おうとしているのに言葉に出来ないのか口をパクパクさせるばかり。
私もあまりの驚きに声も出せない。
しかしその場にいた他のみんなは驚いていない所を見るとフレアがこの場に現れる事を知らなかったのは私達だけだと言うことが分かる。
「フ、フレア……何故ここに」
私はやっとの事でそう口にしたが、私の言葉が聞こえているのかいないのか、フレアはその問い掛けには返事をせず、扉の前にいたチュニックにも、初めからこそには何もいなかったかのように目もくれず真っ直ぐ父と母と執事の前に歩み出た。
「お義父様、お義母様今日まで私の無謀だとも思える計画に協力して下さってありがとうございました」
そしてフレアは深く深くお辞儀をする。
「顔を上げなさいフレア。決して無理に協力していた訳では無い、私達とてもうあの方法しか無いと思ったから協力したのだ」
「そうよ、フレアちゃん……私達も感謝しているわ。きっとあの時貴女の計画に乗っていなければ今頃もっと酷いことになっていたかもしれないもの」
「お義父様……お義母様……」
そう言って涙ながらに抱き合う三人。さながらそれは周りから見たら本当の親子のような……。
何なんだ、何だ!一体何がどうなっている?計画?何が?どれが?どこから?
そうして何が何か分からぬまま未だ理解が追い付かない私にフレアはやっと目を向けた。
そのフレアの姿は最後に見た記憶の中のフレアとは違い、結婚する前の美しいフレアだった。
「フ、フレア……」
私は思わず手を伸ばす。すると私とフレアの再会を邪魔するかのような悪魔の如き女の声。
「やだぁ、フレアじゃないの。追い出された筈の貴女が今更なんの用?えっ?もしかしてまだアウターに未練があるの?うそぉ、貴女って男を見る目が無いのねぇ可哀想に。一体こんな男のどこが良いの?あんな酷い事を言われて追い出されたのに戻って来る程こんな男が好きだなんて…もし良かったら譲ってあげましょうか?私はもう興味も無いからそんな男。ふふっ」
くそっ、馬鹿な女が馬鹿な事を!
しかし、そうなのか?今更ここに戻って来たのは私にまだ未練があるからなのか?
それならば私は…!
「フレア…」
期待を込めて私はフレアの名を呼ぼうとする。すると、そこに被せるようにそれまで私達を無視するようにしていたフレアが話し出す。
「…今までの話を本当に聞いていらっしゃったのでしょうか?こうして私とお義父様、お義母様が一緒にいると言う事は私も全てを知っている者だと…そう思いませんか?それともそれを分かっていて尚そんな愚かな事を仰っているのでしょうか?だとすればそれは精神疾患を疑わなければいけない位に理解力が乏しいのだと思う他ありませんが…」
…………………え、今何か聞こえ………え?
まさか………今の言葉は…フレアが………?
私は到底フレアから発せられたとは思えない余りにも明け透けな物言いに呆然となる…。
そして暫くしてフレアの言葉を理解したチュニックはその顔を真っ赤にして怒り始める。
「はあ?はあ?はあ?なに?え?今あんた何て?はあ?」
「聞こえなかったのです?理解力が無いだけでは飽き足らず耳までも聞こえ無いのでしょうか?」
「はあああああ?あんた如きが何言ってんの?はあ?私に散々虐められて何にも反論も出来ずに家を追い出された馬鹿なあんたが!何私を馬鹿にしてんのよ!!」
「本当に理解されていないようですね。それかやはり耳が聞こえていないのかしら?先程私がお義父様とお義母様に言ったこと覚えていますか?今回のこの計画は全て私がやった事なのです。それは即ち私は家を追い出される前から全てを知っていたと言う事ですわ。………ご理解頂けました?」
そう言って笑うフレアは美しかったが………。目の前のこんなにハッキリ物を言うフレアは本当にあの記憶の中の大人しく優しい彼女と同一人物なのだろうか。
思いもよらぬフレアの登場にチュニックは何かを言おうとしているのに言葉に出来ないのか口をパクパクさせるばかり。
私もあまりの驚きに声も出せない。
しかしその場にいた他のみんなは驚いていない所を見るとフレアがこの場に現れる事を知らなかったのは私達だけだと言うことが分かる。
「フ、フレア……何故ここに」
私はやっとの事でそう口にしたが、私の言葉が聞こえているのかいないのか、フレアはその問い掛けには返事をせず、扉の前にいたチュニックにも、初めからこそには何もいなかったかのように目もくれず真っ直ぐ父と母と執事の前に歩み出た。
「お義父様、お義母様今日まで私の無謀だとも思える計画に協力して下さってありがとうございました」
そしてフレアは深く深くお辞儀をする。
「顔を上げなさいフレア。決して無理に協力していた訳では無い、私達とてもうあの方法しか無いと思ったから協力したのだ」
「そうよ、フレアちゃん……私達も感謝しているわ。きっとあの時貴女の計画に乗っていなければ今頃もっと酷いことになっていたかもしれないもの」
「お義父様……お義母様……」
そう言って涙ながらに抱き合う三人。さながらそれは周りから見たら本当の親子のような……。
何なんだ、何だ!一体何がどうなっている?計画?何が?どれが?どこから?
そうして何が何か分からぬまま未だ理解が追い付かない私にフレアはやっと目を向けた。
そのフレアの姿は最後に見た記憶の中のフレアとは違い、結婚する前の美しいフレアだった。
「フ、フレア……」
私は思わず手を伸ばす。すると私とフレアの再会を邪魔するかのような悪魔の如き女の声。
「やだぁ、フレアじゃないの。追い出された筈の貴女が今更なんの用?えっ?もしかしてまだアウターに未練があるの?うそぉ、貴女って男を見る目が無いのねぇ可哀想に。一体こんな男のどこが良いの?あんな酷い事を言われて追い出されたのに戻って来る程こんな男が好きだなんて…もし良かったら譲ってあげましょうか?私はもう興味も無いからそんな男。ふふっ」
くそっ、馬鹿な女が馬鹿な事を!
しかし、そうなのか?今更ここに戻って来たのは私にまだ未練があるからなのか?
それならば私は…!
「フレア…」
期待を込めて私はフレアの名を呼ぼうとする。すると、そこに被せるようにそれまで私達を無視するようにしていたフレアが話し出す。
「…今までの話を本当に聞いていらっしゃったのでしょうか?こうして私とお義父様、お義母様が一緒にいると言う事は私も全てを知っている者だと…そう思いませんか?それともそれを分かっていて尚そんな愚かな事を仰っているのでしょうか?だとすればそれは精神疾患を疑わなければいけない位に理解力が乏しいのだと思う他ありませんが…」
…………………え、今何か聞こえ………え?
まさか………今の言葉は…フレアが………?
私は到底フレアから発せられたとは思えない余りにも明け透けな物言いに呆然となる…。
そして暫くしてフレアの言葉を理解したチュニックはその顔を真っ赤にして怒り始める。
「はあ?はあ?はあ?なに?え?今あんた何て?はあ?」
「聞こえなかったのです?理解力が無いだけでは飽き足らず耳までも聞こえ無いのでしょうか?」
「はあああああ?あんた如きが何言ってんの?はあ?私に散々虐められて何にも反論も出来ずに家を追い出された馬鹿なあんたが!何私を馬鹿にしてんのよ!!」
「本当に理解されていないようですね。それかやはり耳が聞こえていないのかしら?先程私がお義父様とお義母様に言ったこと覚えていますか?今回のこの計画は全て私がやった事なのです。それは即ち私は家を追い出される前から全てを知っていたと言う事ですわ。………ご理解頂けました?」
そう言って笑うフレアは美しかったが………。目の前のこんなにハッキリ物を言うフレアは本当にあの記憶の中の大人しく優しい彼女と同一人物なのだろうか。
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