周りから見たら明らかに両想いなのに当人同士はどちらも自分の片想いだと思っている夫婦の話

きんのたまご

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私と旦那様が初めて会ったのは国王陛下からのお話で決まったお見合いの席だった。
初めて私を見た旦那様が眉をひそめた顔が今でも忘れられない。
あぁ、この方はこんなにも私との結婚が嫌なのに国王陛下のご命令には逆らえなかったんだなと思ったものだ。

私はお見合いでお会いする前から旦那様の事を知っていた。
あの冬に流行った病はとても酷く私も友人を1人失った。
このままでは領民達にも被害が拡大すると一家総出で病への対処法を探したがこれという物は見つからなかった。
皆が絶望しかけたその時旦那様が病に効く薬を持って我が国にやって来た。
たまたま知っていたから、そう言われればそうなのかもしれないが本当ならその薬でもっと稼ごうと思ったら稼げた筈なのに当時の旦那様はそうはなさらず持てる知識を全て国王陛下に進言なされた。
なんという心根の優しい方だとこの時はまだ見ぬ旦那様に憧れを抱いていた。
それから旦那様はこの騒動の鎮静に大きく貢献したとして我が国に領地を与えられた。その式典で初めて旦那様を見た私は憧れが恋心に変わった。



今日も旦那様は私が起きている間には帰って来ない。
それでも仕事で疲れている旦那様には家で疲れをとって欲しい。
使用人を呼んで旦那様が帰って来たらすぐに湯浴みと食事が出来るようにしておいて欲しいと頼む。
「奥様にこんなに想われてご主人様はお幸せですね」
仲の良い使用人がそう言った。
私は曖昧に微笑む。

本当にそうならいいのにと思い今日も1人の寝台へ向かう。
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