周りから見たら明らかに両想いなのに当人同士はどちらも自分の片想いだと思っている夫婦の話

きんのたまご

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今日もこんな時間の帰宅になった。
また愛しい妻の顔を見る事が出来なかった。
以前寝ないで待っていてくれたのだが
うとうとしている姿を見て可哀想だと思い先に寝ていていいと言った。
勿論待っていてくれたのは飛び上がるほど嬉しかったが緊張してお礼も言えなかった。

いつも遅く帰ってもすぐに湯浴みが出来るよう用意されている。
何時に帰って来るか分からないのに帰ると暖かいご飯が用意される。
使用人さんの(庶民の名残)心遣いがありがた過ぎて、いつもありがとうと言うえらくニヤニヤしたメイドの1人が奥様からのご要望ですと満面の笑みで言っていた。
えぇ?本当に?
好きでも無い俺と結婚してくれて、美人で、気遣いも出来て。
ぶっちゃけうちの奥さん天使じゃない?

あぁ。なんて愛しいのか!
しかしそうなると本当に私が彼女を独占してもいいのか?と不安が湧いてくる。

湯浴みと食事を済ませ2階の自室へと向かう。主寝室は彼女に使って貰っている。起こすのはしのびないので自室にベッドを運び入れて私はそこで寝ている。

ちょっと、寝顔とか見てみてもいいかな。
主寝室の前でしばし悩む。
……カチャ。
お邪魔しマース(小声)
抜き足さし足。そろーり。
……うわぁ、何この寝顔。綺麗過ぎない?思わずじーーーっと見てしまう。
あっ顔に髪がかかってる。
そっと退けてあげる。って勝手に触っちゃダメだろ!
「ごめん」
慌てて謝り(勿論小声)足早に部屋を出た。
はぁ、なんだかイケナイ事をしている気分だ。

もう夜も遅かったけど使用人を呼んで
明日の朝妻に花を渡して欲しいと頼む。

勝手に触ってゴメンなさい。せめてものプレゼント。
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感想 11

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