私の婚約者差し上げます!どうぞ大事にして下さいね

きんのたまご

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トマスと喧嘩別れのような状態になってから1週間が過ぎた。
生まれてからずっと一緒にいた私達……こんなに話をしなかったのはあの日以来だな。
「ナディア!」
名前を呼ばれてはっとする。
「メアリ」
いつの間にか名前で呼び合う程仲良くなった。
「この頃トマス様とは別行動なの?」
「うん」
「何で?」
「何で…と言われても…。トマスから何か言われた?」
「言われてないけど…っ何よ!私が心配したらいけないわけ?」
「……いや、そんな事ないけど」
…やっぱりメアリはいい子だ。邪魔なはずの私を心配してくれんなんて。
「何でトマス様を避けてるの?」
「………トマスには本当に好きになった相手と幸せになって欲しいの」
「別にあんたがトマス様から嫌われている訳では無いでしょう?」
「まあね」
「じゃあこのまま結婚してあんたがトマス様を幸せにしてあげたらいいんじゃないの?」
「…トマスは私とじゃ幸せになれないから」
「あんたの容姿はそりゃお世辞にも可愛いとは言えないけど見れない程じゃないし、まあ頭も良いとは言えないけど引くほどバカって訳でも無い。第一トマス様はそんな事に拘る人じゃ無い…一体何があってこんなに拗れてるのよ」
「………」
「………ふん!まぁ良いわよ言いたくないなら。そのうち私がトマス様と結ばれてその時に文句言っても遅いんだからね!」
メアリはそう捨て台詞を吐いて去って行った。
「私が幸せに出来るなら……。でも駄目なの。私と一緒にいたら…トマスはいつまでもあの日の事を忘れられない…」
そうしてまた私は無意識に額を触った。


「トマス様ー!」
「メアリか」
ナディアが離れて行って気付くとメアリと共にいる事が増えた気がする。
ナディアとじゃないと無理だと思っていたはずなのに…案外そうでも無かったのだろうか。
そう思って自分の薄情さに嫌気がさした。
「今日もお昼一緒に食べて下さい」
そう言って笑うメアリを見ると出会った頃にチラッと言っていた事を思い出す。
「私、友達いないから…」
そう言って俯くメアリに落ち込んだのかとナディアと顔を見合わせた。
しかしその瞬間顔をあげたメアリは落ち込むどころかこう言ってのけた。
「ほら!私ってとびっきり可愛いでしょ?だから女子からは嫉妬されて友達とか出来ないのよ!」と。
あっけらかんとそう言った彼女を見てナディアと2人で笑った。
「何言ってるのよ!もう私達友だちでしょ!」
その後ナディアは彼女に向かってそう言って…珍しく楽しいと思った時間だった。
「ナディアは今日も無理らしいですよ」
その声にはっとする。
ナディアの事は気にしてない風に過ごしていたけどメアリにはお見通しらしい。
ニヤリと笑う彼女にため息をつきながら食堂へ向かった。

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感想 37

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みんなの感想(37件)

korosuke
2025.09.22 korosuke

どうなるか?
額の傷のせいで、ってことか。
トマスも忘れているっぽいけど?

更新楽しみに待っています。
完結までよろしくお願いします。

解除
canon2
2022.04.25 canon2

このお話… おもしろ~い👏👏😆
更新ありますか?
楽しみに待ってまーす❣️

解除
えみあい
2020.05.29 えみあい

今回のトマスの表現にやはり薄情と感じるのは、ナディアが一般的に見ればまだ幼稚で自己中にこじれているけれど、トマスは自分を誤魔化せばナディアを忘れるのも可能ということがはっきりしたからかな。執着度にあまりにも差があってナディアばかり一人で拗れていて正直言って健気に感じません。このまま別れてトマスはメアリとくっついてナディアは一人で過ごすなり他の人を探した方がいいのではと感じました。

解除

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