弱小種族による、危険な世界の歩き方。

ハイイロカラス

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第一章

相互理解のためにはまず自分が情報を出すことが大事。だと思う。

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さて、今更ながら自己紹介といこう。
僕はシルヴァ・フォーリス。人種の男だ。
ただでさえ脆弱な人種の中でも、僕は魔力を筆頭とした上位元素の適性が皆無であり、ちょっとびっくりするくらい弱い。

タイマン張ったらその辺の痩せこけた野良犬にも余裕で負けるレベルである。

そんな僕が魑魅魍魎ちみもうりょうが跋扈、ていうかバケモノが群雄割拠するこの世界で成人するまで生きながらえてこられたのは、ひとえに僕のたゆまぬ努力と、少しばかりの幸運のおかげだろう。

 人種は基本的に脆弱だけど、その代わりというか大抵の人は魔力や呪力といった上位元素に結構幅広い適性があって魔法の行使や身体強化ができる人も多い。

更に複数の上位元素に適性があるおかげか様々な種族と交配可能である。こういった要因から、この世界では圧倒的に弱い種族ながら何とか絶滅せずに存続しているし、歴史上では他種族に劣らない英雄も結構いる。
 が、先程も少し言ったけど、僕にはそういった上位元素の適性が全くない。使える使えないとかそういうレベルじゃなくて、見えないし聞こえないし感じない。
この世に生を受けて割と経つし、上位元素が引き起こす超常現象も何度も見てるけど、個人的にはほんとに魔法なんて物が存在するのか実感できてない。
みんなして僕をだましてるんじゃないの?

まあ、とはいえ僕も上位元素の恩恵を全く受けていないわけじゃない。例えば今僕の首にかかってる黒いアイテム。
これは保存した音を後から再生することができる頭部装着型の魔道具、通称『音響頭角ヘッド・ホーン』だ。
・・・まあ、角はついてないんだけども。

それはともかく、これは事前に魔力を充填しておくことで魔力を使用せずに起動させることが出来る。
だから誰かに魔力を充填して貰えれば僕でも使えるし、世の中にはお金を払えば魔力の充填くらいしてくれるお店もある。
そういうサービスを利用すれば、間接的に上位元素の恩恵を受けることも可能なのだ。

と、少し話がそれてしまった。僕の話に戻ろう。
僕は脆弱だが、だからこそ己のポテンシャルを最大限に引き出す方法を研究してきた。
それは例えば武術であったり、機械文明であったり・・・ほんとに色々だ。

しかし、武術をまともに修めるには僕は絶望的に才能が無かったし、機械は強力だが、今現在では個人が運用できるようなレベルに無い。そして僕には機械文明を進めるような才能も無かった。

様々なことに挑戦した。学べることは片っ端から学んだ。挑戦した数とほとんど同じだけ失敗したし、学んだことはただの知識としてしか身につかなかった。
でも、がむしゃらにやってきた甲斐あってか僕は何度か死にそうな目にあいながらもなんとか生き延びてきた。

でも、これじゃだめだ。逃げて、隠れて、怯えながら生きるなんてごめんだ。きっとなにか、僕にもできることがある。そう思いながら色々なことに手を出していた僕が最終的に選んだもの。それは・・・

幼い頃からの趣味であった製薬、調薬。すなわち、薬師という道だ。

上位元素に溢れたこの世界では、動植物もなかなか面白い生態を持つものが多い。それらを用いた薬は組み合わせによっては常軌を逸した効力を持つことがある。そういった特徴を利用することで、僕は自らの脆弱さを補うような薬を創り、造ることにした。

もちろん、わざわざ僕が改めて創るまでもなく、この世界には『霊薬』だの『魔薬』だの、上位元素の力を持った薬などごまんとある。
しかし悲しいかな、その手の上位元素そのものを材料に使った薬は僕には効果がないのだ。
まあ、そもそも刺激が強すぎて人種に使えるような代物でもないけど。

そんなこんなで僕は薬の開発と改良に心血を注いでいる。
とはいえ色々なことに手を出していたので知識や経験という面では少し自信があるし、言語についても様々な地域、種族のものについてそれなりに詳しいという自負もある。

そもそも僕みたいな弱い者は他者の力を借り、無用な戦闘を避けるためにも交渉は必須なのだ。
僕が求めるのは最強の力などではなく、己の尊厳を護れるだけの強さなので、なんでもかんでも1人でやるつもりなど毛頭ない。

そう、何事においても、やはり対話は大切なのだ
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