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第一章
喋り方に気をつければ頭良さそうに見えるけど話の内容ですぐバレる
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人生とは往々にして、思った通りには行かないものだ。ピンチというのは気を抜いてる時に訪れるし、予定通りに旅が進まないのもざらだ。
あとは例えば…気合い入れたのにあっさり話が進んでしまう、とか。
意図しない方向に、話が転がってしまうとか。
「あ、あれー・・・?」
今僕は・・・鬼人の集落の中にある円形の施設の上に立っている。ていうかどう見ても闘技場的な目的の施設だ。しかも、周りではたくさんの鬼人の男女がこちらを見ている。
おかしい。こうならないようにわざわざ案内してもらったわけだし、僕自身の立場も旅の薬師、と明確にしていた。
向こうもこちらが人種であることは認識していたし、強さを証明するようなタイプでないことは見てわかっていたと思うんだけど・・・
僕をこの円形闘技場に連れてきた鬼人の女性は振り返って口を開く
「シルヴァ・フォーリス。準備はよろしいですか。」
「よろしくないですね。」
よろしいわけ無いだろ。
話を聞くからついてこい、と言われてのこのことこの円形闘技場に登った僕も僕だが、説明が無いにも程がある。
相変わらず周りの鬼人達の言葉は良くわからないし、目の前の女性がどのような立場の人なのかも分かっていない。
まあ、十中八九シャーマンかなにかだとは思うけど。
「えーっと、これはどういう事ですかね・・・」
「おや、私たちの言葉を話せるというのに、この場所の意味がわからないというのですか?」
「いや、それはわかりますけども」
これあれでしょ?戦って強さを証明しろってやつでしょ?それはわかってるんだよ僕が聞きたいのはなんでかってことなんだよ。
僕の予想・・・というか経験則では、鬼人の里にちゃんと招かれた者は、自分から望んだりしない限り力を戦ったりする必要は無いはずだ。
でもなきゃまともに交易も出来ないし、商人とかも来られない。
この集落だって周りに知られてるんだから外界と全く交流が無いわけじゃないだろう。
「あの、さっきも言いましたけど僕はただの薬師でして・・・戦闘とか苦手なんですけど」
「これは異なことを・・・三度とヴェルフラムの矢を避ける者が、弱き者であるはずがないでしょう。」
あの人ヴェルフラムっていうんだ・・・格好良い名前だなぁ。
「いや、あれは戦闘力がどうこうというより索敵というか危機察知というか・・・とにかく僕が強いわけじゃないんですってば。」
「くどいです。」
えぇ・・・
「鬼人種相手に言葉を重ねることの無意味さを知らぬわけではないでしょう?」
知らないよ。大抵の鬼人種はここまで好戦的じゃないんだよ。
「いや、でもそもそも話を聞いてくれるってことでここに連れてきたんじゃないですか。」
「ええ、ですから話を聞こうというのです。その身体に」
どういう理論?
この人理知的なのは話し方だけだなぁ。
あーなんかもうめんどくさくなって来た。基本的に僕は、僕を軽んじない人とは戦わないんだけど・・・
まあ今回の目的は完全にこっちの都合だし、相手の文化の尊重は大切でしょ。
それになにより・・・
人種が鬼人種程度に勝てないようでは、元々目的なんて果たせない。
薬の試験なんて怪しい依頼を受けてもらうには、相手に乗り気になってもらわなきゃいけないし。その為には、効果を見せるのが1番手っ取り早いか。
「あーもう分かりました。良いですよ、やりましょう。」
「ふふっ、それでいいのです。」
「でも僕は薬で自己強化もしますし普通に武器も使いますからね。そっちがどうするかは好きにしてもらっていいですけど。」
ステゴロは無理。上位元素が使えないんだから武器ぐらいは許して欲しいし、薬を使うのはデモンストレーションだ。
彼らとて強さを尊ぶ種族。僕の肉体強度が、引くほど弱いことくらいもうわかっているだろう。
「・・・まあ、良いでしょう。」
「ありがとうございます。で、お相手は?」
この手の戦いは、挑戦者によって相手は大体決まっている。基本的に僕のような人種の男相手だと引退した兵士・・・老人が多い。
手加減を知らない、血の気の多い若手だと挑戦者を簡単に殺しちゃいかねないからね・・・
その通例に則るならば、老兵かそれでなくても手加減を知ってるベテランだろう。
まあ、この選定方法は挑戦者が勝つ事を想定してない・・・言うなればこちらを舐めている、とも言える。
とはいえこの通例は古くからの物だし、実際に結構な挑戦者が命を落として紛争寸前まで行った地域もあるらしいし妥当だとは思うけど。
そういう気回しするくらいなら初めからやんなきゃいいんじゃないかなぁ・・・
とはいえそれは、あくまでも良くあるってだけの話だけど。
「相手はまず新兵から開始します。」
あー、まあやっぱりそういうこともある・・・
ん?まず?開始?
「あなたが勝利した場合は次の相手との試合をそのまま始めます。その後も同様に続けます。なお、対戦相手は少しづつ強い者になっていき、最後は族長となります。」
待って。
「勝負は時間無制限。戦闘不能と私が判断した時のみ勝敗とします。」
待って待って。
「降参、及び引き分けはありません。こちらは刃を潰した武器を用います。よって寸止めではありません」
待って待って待って。
「あなたがどこまで勝てるか・・・それを以て力を示すこととします。よろしいですね?」
「よろしくないですね。」
よろしいわけ無いだろ。
あとは例えば…気合い入れたのにあっさり話が進んでしまう、とか。
意図しない方向に、話が転がってしまうとか。
「あ、あれー・・・?」
今僕は・・・鬼人の集落の中にある円形の施設の上に立っている。ていうかどう見ても闘技場的な目的の施設だ。しかも、周りではたくさんの鬼人の男女がこちらを見ている。
おかしい。こうならないようにわざわざ案内してもらったわけだし、僕自身の立場も旅の薬師、と明確にしていた。
向こうもこちらが人種であることは認識していたし、強さを証明するようなタイプでないことは見てわかっていたと思うんだけど・・・
僕をこの円形闘技場に連れてきた鬼人の女性は振り返って口を開く
「シルヴァ・フォーリス。準備はよろしいですか。」
「よろしくないですね。」
よろしいわけ無いだろ。
話を聞くからついてこい、と言われてのこのことこの円形闘技場に登った僕も僕だが、説明が無いにも程がある。
相変わらず周りの鬼人達の言葉は良くわからないし、目の前の女性がどのような立場の人なのかも分かっていない。
まあ、十中八九シャーマンかなにかだとは思うけど。
「えーっと、これはどういう事ですかね・・・」
「おや、私たちの言葉を話せるというのに、この場所の意味がわからないというのですか?」
「いや、それはわかりますけども」
これあれでしょ?戦って強さを証明しろってやつでしょ?それはわかってるんだよ僕が聞きたいのはなんでかってことなんだよ。
僕の予想・・・というか経験則では、鬼人の里にちゃんと招かれた者は、自分から望んだりしない限り力を戦ったりする必要は無いはずだ。
でもなきゃまともに交易も出来ないし、商人とかも来られない。
この集落だって周りに知られてるんだから外界と全く交流が無いわけじゃないだろう。
「あの、さっきも言いましたけど僕はただの薬師でして・・・戦闘とか苦手なんですけど」
「これは異なことを・・・三度とヴェルフラムの矢を避ける者が、弱き者であるはずがないでしょう。」
あの人ヴェルフラムっていうんだ・・・格好良い名前だなぁ。
「いや、あれは戦闘力がどうこうというより索敵というか危機察知というか・・・とにかく僕が強いわけじゃないんですってば。」
「くどいです。」
えぇ・・・
「鬼人種相手に言葉を重ねることの無意味さを知らぬわけではないでしょう?」
知らないよ。大抵の鬼人種はここまで好戦的じゃないんだよ。
「いや、でもそもそも話を聞いてくれるってことでここに連れてきたんじゃないですか。」
「ええ、ですから話を聞こうというのです。その身体に」
どういう理論?
この人理知的なのは話し方だけだなぁ。
あーなんかもうめんどくさくなって来た。基本的に僕は、僕を軽んじない人とは戦わないんだけど・・・
まあ今回の目的は完全にこっちの都合だし、相手の文化の尊重は大切でしょ。
それになにより・・・
人種が鬼人種程度に勝てないようでは、元々目的なんて果たせない。
薬の試験なんて怪しい依頼を受けてもらうには、相手に乗り気になってもらわなきゃいけないし。その為には、効果を見せるのが1番手っ取り早いか。
「あーもう分かりました。良いですよ、やりましょう。」
「ふふっ、それでいいのです。」
「でも僕は薬で自己強化もしますし普通に武器も使いますからね。そっちがどうするかは好きにしてもらっていいですけど。」
ステゴロは無理。上位元素が使えないんだから武器ぐらいは許して欲しいし、薬を使うのはデモンストレーションだ。
彼らとて強さを尊ぶ種族。僕の肉体強度が、引くほど弱いことくらいもうわかっているだろう。
「・・・まあ、良いでしょう。」
「ありがとうございます。で、お相手は?」
この手の戦いは、挑戦者によって相手は大体決まっている。基本的に僕のような人種の男相手だと引退した兵士・・・老人が多い。
手加減を知らない、血の気の多い若手だと挑戦者を簡単に殺しちゃいかねないからね・・・
その通例に則るならば、老兵かそれでなくても手加減を知ってるベテランだろう。
まあ、この選定方法は挑戦者が勝つ事を想定してない・・・言うなればこちらを舐めている、とも言える。
とはいえこの通例は古くからの物だし、実際に結構な挑戦者が命を落として紛争寸前まで行った地域もあるらしいし妥当だとは思うけど。
そういう気回しするくらいなら初めからやんなきゃいいんじゃないかなぁ・・・
とはいえそれは、あくまでも良くあるってだけの話だけど。
「相手はまず新兵から開始します。」
あー、まあやっぱりそういうこともある・・・
ん?まず?開始?
「あなたが勝利した場合は次の相手との試合をそのまま始めます。その後も同様に続けます。なお、対戦相手は少しづつ強い者になっていき、最後は族長となります。」
待って。
「勝負は時間無制限。戦闘不能と私が判断した時のみ勝敗とします。」
待って待って。
「降参、及び引き分けはありません。こちらは刃を潰した武器を用います。よって寸止めではありません」
待って待って待って。
「あなたがどこまで勝てるか・・・それを以て力を示すこととします。よろしいですね?」
「よろしくないですね。」
よろしいわけ無いだろ。
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