弱小種族による、危険な世界の歩き方。

ハイイロカラス

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第二章

優秀すぎる人が仕事相手だと頼もしいと共にプレッシャーがすごい

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仕事が早い人というのは、やはり信用を得る物なのだと思う。頼んだことがすぐに終わっていたり、時間があるからこそ期待していた以上の質の仕事をしたり。そういう点が有能さであり、人から頼られる理由なんだろう。

「待っていたぞ、フォーリス殿にオルクス殿。」

だから、仲介所のお姉さんも、レオニールさんも、素晴らしく仕事ができる人なんだなぁ。と、仲介所でレオニールさんと向かい合って座りながら思った。

・・・いや、早すぎない?
正直さっき屋台での話を聞いてしばらくは無理かと思ってたんだけど。
まさか本当に今日中に会えるとは。

「いやー、ごめんなさい。お待たせしちゃったみたいで。でもまさか、こんな早く来てくれるなんて思いませんでした。」
「ふっ、確かに我々も忙しいがな。あんな規格外の成果を出されては放ってもおけんさ。」

ま、まあ確かにそれを期待はしていたけども。

「とはいえ、やはり忙しいのも事実だ。手短に済まそう。」
「わかりました。ではまず一つ目ですが、今回の成果を鑑みてより細かい依頼の指定と、報酬の増加をお願いしたいです。」

単刀直入にいく。遠回しに言うメリットなんてないし、レオニールさんの心証を悪くする必要もない。

「ほう・・・報酬の追加か。しかし、固定報酬ならともかく、今回はもともと全て成果報酬だ。よい素材を持ってきてくれればそれに応じて報酬は高くなるのだぞ?」
「ええ、そうですね。」
「つまり、細かく指定されたものでなくても、持ってきさえすればそちらは報酬を得ることができるわけだ。そこでわざわざ私と直接話をしてまで何を求める?」

話が早い。早すぎてちょっと引いてる。
僕はまだ単純に報酬を増やしてほしいとか言ってない。でも既に彼は、僕が金銭以外の何かを求めてることをわかってるらしい。

「お見通し、ですか。まあ、特に悪いことでもないんですけど。ああいや、こっちの法がわからないんでそれも確認しておきましょうか。」

僕は前もって用意していた数枚の紙を取り出す。それにはいくつかの素材の絵が描いてある。

「ほう・・・?」
「これは僕が必要としてる素材です。いくつかの植物性素材と魔獣素材で、自力での採取が困難あるいは不可能なものたちです。」

文字はわからないし、そもそも僕の知ってる名詞がここで通じるかも怪しい。
でも絵なら話は別だ。細部はともかく大部分の認識を共有できる。
正しいかは最終的に受けとるときに判断すればいい。

「これらの素材を法院に融通してもらいたいんです。もちろん、それ相応の対価は支払います。」
「ふむ、なるほどな。確かにシャクシャラではいくつかの素材の流通を制限している。それの理由についても知らぬわけではあるまい?」
「ま、治安維持には必要ですよね。違法薬物は容易く秩序を破壊するし。」

シャクシャラの法については知らないけど、その辺りは大抵どこでも徹底しているものだ。

「だからこそ、口利きをお願いしたいのです。実績と信用がさらに必要だと言うのならもっと素材を納品しますよ?」
「私の一存では決めかねるが・・・私としてはあれほどの成果を納品してくれるというのなら希望に答えたい」

なかなかの好感触だ。だけどだからこそ、楔は打っておこう。

「不可能なら不可能と早めに教えてくださると助かります。僕はここに長期的に滞在する予定は無いので、旅ができるだけの蓄えができたらここを出ることも考えてます。望むものが得られない場所に長くいても仕方ないですし。」
「そうか、君たちは旅の身だったな。」
「ええ。だから逆に言えば、望むものが得られれるのならば長期滞在も有り得ます。他の場所で新たに信用を得るのは大変ですしね。」

こちらのスタンスを明確にしておく。口約束で納品だけさせられてはかなわないし。すこしばかり露骨すぎたかもしれないけど、割と無茶を言ってるわけだしここはここはふてぶてしく行こう。

「希少素材の買取手はいくらでも居ますが、売り手は少ないです。僕が指定した素材も希少素材と言えるものですし・・・互いに利のある取引に出来るとおもうのですが。」
「・・・フッ、図太いことだ。良いだろう、私が何とか話を付けよう。ただし、先に言っておくが望む素材が融通できるとは限らない。それと、種類や量に関しては納品後の査定で決める形にする。」
「まあもともと成果報酬でしたしそれは大丈夫です。」
「ではその方向で進めておこう。具体的に目処がたったら仲介所に伝えておく。」

うん、上々だね。ヒルダをだいぶ置いてけぼりにしちゃってるから後でフォローしとこ。

正直想定以上の速度で色々進んでて、僕も割と驚いている。レオニールさんの理解が早すぎる・・・これが年の功なのか、はたまた過去似たような事例があったのか。
実際のところはわからないけど・・・いずれにしても、欲を出しすぎて敵対しないように気を付けよう。

「さて、僕からの要望は以上です。では、もともとの目的を果たしましょうか。じゃあヒルダ、悪いんだけどまた素材を出してもらえる?」
「・・・あっ、は、はい。」

急に話を振られてヒルダは少し驚いた様子だ。ごめんね、放っておいて。

さて、レオニールさんの話が早すぎて先に僕の要望を伝えることになったけど・・・そもそも、仲介所の裁量を越えるから依頼人を呼ぶ、という話だったからね。
正直僕も忘れるとこだったし。

「ちょっと手間をかけますけど、また広いところに行きましょうか。」
「報告は受けていたが・・・本当にそれほどの量の素材を集めていたのか・・・」

まあ多少は回収してもらったから減ってはいるけどね。

「・・・あっ、フォーリス様。先程お預かりした素材の査定は終了しておりますが、報酬は今すぐ受け取りますか?」

お姉さんも今思い出した、という風にそう言う。
レオニールさんの話が早すぎる弊害がこんなところにも・・・

「うーん、そうですね。今日帰る時に受けとることにします。希少素材のほうの報酬は今日すぐ受け取れるものでもないでしょうし。」
「かしこまりました。希少素材の扱いについては依頼主の方と直接調整をお願いいたします。」

お姉さんはそう言って一礼すると、その場を離れた。帰る時にちゃんと受け取ってこ。



その後。
レオニールさんの目の前で希少素材の山を築き、さすがの彼も瞠目していた。
総額はかなりのものになるが、しっかり全て買い取ってくれるようでひと安心だ。適正価格はこっちの相場からある程度想定はしているけど・・・
ま、そこは信頼しよう。
ぶっちゃけ買い叩かれてもかなりの値段だし。

最終的に法院から素材が得られればなんでも良い。
そんなことを考えながら。そしてどこか疲れた様子のヒルダに申し訳なさを感じながら。

僕は今回の結果に満足していた。
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