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第二章
娯楽目的じゃない買い物は効率を重視するタイプ
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シャクシャラについて直ぐに宿に向かう。
詳しい人でもない限り外見だけでは精霊種と分からないだろうけど・・・今ここはピリピリしている。この少女と例の事件の関連性は分からないけど、いらない騒動を起こす必要も無い。
「よし、僕はいろいろ揃えに行ってくるからヒルダはこの子をみていてあげて。」
「ええ、任せて下さい。」
宿のベットに少女を寝かせて、後をヒルダに任せる。
「とりあえずは寝ていてもらえば良いけど、もしも状態が悪くなったら戦意高揚を使ってあげて。君も苦しくなったら直ぐにヒルダに言ってね。」
「ん・・・」
そういって少女は頷く。言葉が普通に通じるのは助かる。
僕はヒルダにもう一度目配せをして、宿を出た。
今求めているのはシンプルに肉だ。ヒルダの時もそうだったけど、動物性の食材は外部からの生命力の補充に適している。
それは精霊種でも同じだ。彼らとて食事はする。
そう思って街を歩き回る、けど・・・
「あー、もう、全体的に高いなあ!」
値段を見て唸る。所持金からすれば別に大した出費じゃないけど、単純に市場に出てる量が少ない。
『異次元背嚢』の時に聞いた話から、ナマモノの保存は容易だろうし十分に貯蔵されてるだろうと思ってたんだけど・・・やはりみんなが同じものを求めるとすぐに枯渇するのかもしれない。
仕方ない、もうこの際量はいい。質と鮮度でいい物を探すしかないかな。
「狩りに行ければなあ・・・」
一人旅の上で肉の処理くらいは出来るようになっているから魔獣じゃない普通の動物がいれば自分でどうにか出来るんだけど・・・
沈黙の平原に居るのはゴーレムだけだ。普通の動物は家畜しか居ないしそれを狩る訳にもいかない。
しかし狩りか・・・そういえば弓も新調しないと。前に使ってたのは転移先の倉庫に預けっぱなし・・・あ。
「そうか、転移がある!」
これだけ大きい街だし、固定された大型の転移施設・・・転移貿易を行う施設があるはずだ。
大抵の場合は遠方との取引に使うから、肉のひとつはあるだろう。
転移施設そのものの技術料や、魔力と呪力を多量に使用する関係上、商品の値段はかなり高くなるけど・・・
ま、いいか。お金の心配は後でしよう。
「あ、すみません。シャクシャラの転移貿易施設って・・・」
僕は道行く人に施設の場所を聞き、そこに向かうことにした。
「思いのほか安かった、かな・・・」
戦利品を片手に呟く。まあ普通の肉なら50人分くらいは買えるくらいの値段はした訳だけど、逆に言えばその程度だ。
今回買ったのは有角兎の肉だ。因みに全身分の肉で加工も既に済んでいる。便利だなあ・・・
転移施設自体には入れなかったけど、すぐ近くに売ってくれる場所があって助かった。
値切りとかしてる場合じゃないからさっさと買ったけど。
有角兎の肉は一番上質なものを選んだ。
数少ない食用できる魔獣である有角兎は、食べた時に得られる生命力の量が非常に多い。
肉自体は大した量では無いけど、たくさん食べられるだけの体力があの少女に残っているかもわからないからむしろ丁度いいと思う。
僕はそのまま帰る途中でいくつかの調味料を買って、宿に戻った。
部屋に戻ると、少女は眠っているようだった。
穏やかな表情だけど、胸は全く上下していない。つまり、呼吸をしていない。
精霊種は外見は人種に近いけど、中身は完全に別物だ。脳で全身を統括している訳じゃないし、呼吸も必要としない。精神が重要な種族だから睡眠はするけど、それは僕たちの行う脳を休めるものとは少し違う、らしい。
精霊種については研究がそんなに進んでいないからよくはわからない。
「あ、シルヴァ、お帰りなさい。それは・・・?」
「ただいま、ヒルダ。ちょっとお肉を買ってきたんだ。すぐに調理するから少しまっててね。そういえば、戦意高揚は使った?」
「いえ、あのあとすぐ眠ってしまって・・・」
ふむ、それならそれでいいか。
僕はまたヒルダに少女を頼んで、調理を始めることにする。
有角兎の肉を調理するのは久しぶりだけど、まあ大丈夫でしょ。
時間をかけても仕方ないので、簡単に調味料で味付けをして焼く。有角兎の肉は柔らかいので、それだけでも十分食べやすいはずだ。
・・・肉はちょっと残しておいて、後でシチューにでもしよう。
とりあえず簡単に焼いた肉を持って部屋に戻る。宿中に過剰にいい匂いを撒き散らして、他のお客さんの胃袋を無駄に刺激したと思うけど・・・ま、それは勘弁してもらおう。
「随分といい匂いですね。それは?」
「少しばかり希少なお肉だよ。僕たちの分はまた後で調理するから待っててね。」
「ふふっ、それは楽しみです。」
ヒルダはそう嬉しそうに笑う。鬼人の里だと料理とかしなそうだもんね・・・
「・・・ん・・・」
とタイミングよく少女が目を覚ます。匂いを感じたのかな。
「おはよう、気分はどう?」
「あなた、は・・・」
「僕はシルヴァ、彼女はヒルダ。細かいことは食べながら、ね。」
僕は少女に肉を差し出す。
起き抜けに肉は重いかも知れないけど、精霊種だから大丈夫、だと思う。
少女は体を起こして、おずおずと肉に手を伸ばす。
「・・・っ、美味しい・・・!」
「それはよかった。」
少女は夢中で肉を頬張る。だいぶ元気になったようで何よりだ。
それなりの量があったはずの肉はすぐになくなり、ひどい状態だった肌も髪もだいぶましになった。
とはいえ、髪もボサボサだし体も汚れている。ふむ、先に身なりを整えようか。
「ヒルダ、この子をお風呂にいれてあげてくれる?あまり人が多くない時間が良いと思うし。」
「わかりました。・・・失礼しますね。」
ヒルダは少女を抱えあげる。すると少女はビクッと体を強ばらせる。
「っ・・・!」
「そんなに怖がらなくても、何もしませんよ。」
「・・・・・・」
少女は完全に黙ってしまった。その表情は緊張とも恐怖ともとれる。
・・・完全に負の感情を感じている。
何があったのかは知らないけど、良くない状態だ。・・・仕方ない、落ち着かせるためにも戦意抑制を使おう。
「ちょっとごめんね。」
声をかけるとまた少女は肩を震わせる。
僕は可能な限り少女を怖がらせないように、なるべく自然に戦意抑制の煙を彼女に吸わせる。
「あ・・・・・・」
多少回復していたとはいえ、弱っていた少女はそれでまた眠りに落ちる。
「うん、まあこれでいいかな。ヒルダ、悪いけどこのままこの子をきれいにしてあげてくれる?」
「え、ええ。頑張ります。」
今度はヒルダが緊張しているみたいだ。まあヒルダも誰かをお風呂にいれた経験なんてないだろうけど・・・精霊種は呼吸をしないから大丈夫なはずだ。
「僕はその間にその子に着せる用の服を買ってくるから。」
「はい、いってらっしゃい。」
「う、うん。行ってきます。」
こんな状況だけど、ヒルダにいってらっしゃい、と言われて少し嬉しくなってしまった。
それにしても、今日は色んな所に行っている。まあ一人増えれば必要なものもそれだけ増えるから仕方ないか。
とりあえず僕は、先日ヒルダの服を買った服屋に来ていた。
「こんにちはー。店員さんいますか?」
「あ、はーい。あら、あなたは・・・」
声をかけると、この前と同じ店員さんが対応してくれる。
「あ、先日はどうもです。」
「再びのご来店ありがとうございます。申し訳ないのですが、服の仕立てはまだ・・・」
「ああ、いえ、それは大丈夫です。今日はまた普通に服を買いに来ただけなので。」
例の着物の仕立ては、下手したら材料の取り寄せからだろうしすぐできるとは思ってない。
「12.3歳の女の子向けの服を探しに来ました。サイズがよくわからないのでできれば調整できるものだと助かるんですけど・・・」
「女の子の向けの服、ですか。・・・娘さんですか?」
「違います。」
僕の年で12.3歳の子供がいるわけ無いでしょ。いや、見た目で判断できない種族も多いから仕方ないけども。
「最新知り合った子なんですけど、少し汚れてしまっていて。体と服を洗う前にさしあたっての服を買おうかと。」
「なるほど、そういうことでしたか。」
我ながらざっくりとした説明だけど、店員さんは特に突っ込まなかった。まあ、意味もなく深入りするような真似はしないか。
「では、こちらなどどうでしょう。」
用意早いな。
店員さんの手には白を貴重としたシンプルなワンピース。この前ヒルダに着てもらった物とデザインは似ているけど、こちらは袖が少し短く、可愛らしいフリルが各所に施されている。
「ふむ、良いですね。」
パッと見サイズが調整できるとも思えないけど、プロがおすすめしてくれた物だし平気だろう。
値段は・・・ずいぶんと安い。見た感じ新品だし飾りも多いのにお買い得だ。やっぱり魔導遺産の恩恵は大きいみたいかな。
それはともかく、ここで僕が悩んでも仕方がないのでさっさと購入する。一回目の納品の報酬が出てるからお金の心配はいらない。
仕事の早い皆さんに感謝だ。
「じゃあそれを買いますね。」
「はい、お買いあげありがとうございます。」
代金を払い商品を受けとる。
「じゃあまた例の『着物』ができたら受け取りに来ますね。・・・ちなみにいつくらいに完成するとかわかりますかね?」
「そうですね・・・材料がまだ届いていないので、申し訳ありませんがしばらくかかるかと。あ、場所を指定していただければ、完成したときにそこに連絡することもできますよ?」
「じゃあそれでお願いします。」
僕は最後に自分が滞在している宿の名前を伝えて、服屋を出る。
店員さんがスムーズに提示してくれたお陰で一瞬で終わったなぁ。
それにしても、帰ってきてから転移貿易施設に行って、宿に戻って今度は服屋に行って・・・我ながら勤勉だなぁ。
ま、本当に面倒になるのはこれからだろうけど。でもあの状況であの子を見捨てるのは流石にあり得ないから別に後悔はしていない。
これから僕がやるべきことは、ヒルダに悪いことが起きないように動くことだけだ。
具体的なことを決めるには情報が少なすぎるけど、その方針だけは揺るがさないようにしよう。
詳しい人でもない限り外見だけでは精霊種と分からないだろうけど・・・今ここはピリピリしている。この少女と例の事件の関連性は分からないけど、いらない騒動を起こす必要も無い。
「よし、僕はいろいろ揃えに行ってくるからヒルダはこの子をみていてあげて。」
「ええ、任せて下さい。」
宿のベットに少女を寝かせて、後をヒルダに任せる。
「とりあえずは寝ていてもらえば良いけど、もしも状態が悪くなったら戦意高揚を使ってあげて。君も苦しくなったら直ぐにヒルダに言ってね。」
「ん・・・」
そういって少女は頷く。言葉が普通に通じるのは助かる。
僕はヒルダにもう一度目配せをして、宿を出た。
今求めているのはシンプルに肉だ。ヒルダの時もそうだったけど、動物性の食材は外部からの生命力の補充に適している。
それは精霊種でも同じだ。彼らとて食事はする。
そう思って街を歩き回る、けど・・・
「あー、もう、全体的に高いなあ!」
値段を見て唸る。所持金からすれば別に大した出費じゃないけど、単純に市場に出てる量が少ない。
『異次元背嚢』の時に聞いた話から、ナマモノの保存は容易だろうし十分に貯蔵されてるだろうと思ってたんだけど・・・やはりみんなが同じものを求めるとすぐに枯渇するのかもしれない。
仕方ない、もうこの際量はいい。質と鮮度でいい物を探すしかないかな。
「狩りに行ければなあ・・・」
一人旅の上で肉の処理くらいは出来るようになっているから魔獣じゃない普通の動物がいれば自分でどうにか出来るんだけど・・・
沈黙の平原に居るのはゴーレムだけだ。普通の動物は家畜しか居ないしそれを狩る訳にもいかない。
しかし狩りか・・・そういえば弓も新調しないと。前に使ってたのは転移先の倉庫に預けっぱなし・・・あ。
「そうか、転移がある!」
これだけ大きい街だし、固定された大型の転移施設・・・転移貿易を行う施設があるはずだ。
大抵の場合は遠方との取引に使うから、肉のひとつはあるだろう。
転移施設そのものの技術料や、魔力と呪力を多量に使用する関係上、商品の値段はかなり高くなるけど・・・
ま、いいか。お金の心配は後でしよう。
「あ、すみません。シャクシャラの転移貿易施設って・・・」
僕は道行く人に施設の場所を聞き、そこに向かうことにした。
「思いのほか安かった、かな・・・」
戦利品を片手に呟く。まあ普通の肉なら50人分くらいは買えるくらいの値段はした訳だけど、逆に言えばその程度だ。
今回買ったのは有角兎の肉だ。因みに全身分の肉で加工も既に済んでいる。便利だなあ・・・
転移施設自体には入れなかったけど、すぐ近くに売ってくれる場所があって助かった。
値切りとかしてる場合じゃないからさっさと買ったけど。
有角兎の肉は一番上質なものを選んだ。
数少ない食用できる魔獣である有角兎は、食べた時に得られる生命力の量が非常に多い。
肉自体は大した量では無いけど、たくさん食べられるだけの体力があの少女に残っているかもわからないからむしろ丁度いいと思う。
僕はそのまま帰る途中でいくつかの調味料を買って、宿に戻った。
部屋に戻ると、少女は眠っているようだった。
穏やかな表情だけど、胸は全く上下していない。つまり、呼吸をしていない。
精霊種は外見は人種に近いけど、中身は完全に別物だ。脳で全身を統括している訳じゃないし、呼吸も必要としない。精神が重要な種族だから睡眠はするけど、それは僕たちの行う脳を休めるものとは少し違う、らしい。
精霊種については研究がそんなに進んでいないからよくはわからない。
「あ、シルヴァ、お帰りなさい。それは・・・?」
「ただいま、ヒルダ。ちょっとお肉を買ってきたんだ。すぐに調理するから少しまっててね。そういえば、戦意高揚は使った?」
「いえ、あのあとすぐ眠ってしまって・・・」
ふむ、それならそれでいいか。
僕はまたヒルダに少女を頼んで、調理を始めることにする。
有角兎の肉を調理するのは久しぶりだけど、まあ大丈夫でしょ。
時間をかけても仕方ないので、簡単に調味料で味付けをして焼く。有角兎の肉は柔らかいので、それだけでも十分食べやすいはずだ。
・・・肉はちょっと残しておいて、後でシチューにでもしよう。
とりあえず簡単に焼いた肉を持って部屋に戻る。宿中に過剰にいい匂いを撒き散らして、他のお客さんの胃袋を無駄に刺激したと思うけど・・・ま、それは勘弁してもらおう。
「随分といい匂いですね。それは?」
「少しばかり希少なお肉だよ。僕たちの分はまた後で調理するから待っててね。」
「ふふっ、それは楽しみです。」
ヒルダはそう嬉しそうに笑う。鬼人の里だと料理とかしなそうだもんね・・・
「・・・ん・・・」
とタイミングよく少女が目を覚ます。匂いを感じたのかな。
「おはよう、気分はどう?」
「あなた、は・・・」
「僕はシルヴァ、彼女はヒルダ。細かいことは食べながら、ね。」
僕は少女に肉を差し出す。
起き抜けに肉は重いかも知れないけど、精霊種だから大丈夫、だと思う。
少女は体を起こして、おずおずと肉に手を伸ばす。
「・・・っ、美味しい・・・!」
「それはよかった。」
少女は夢中で肉を頬張る。だいぶ元気になったようで何よりだ。
それなりの量があったはずの肉はすぐになくなり、ひどい状態だった肌も髪もだいぶましになった。
とはいえ、髪もボサボサだし体も汚れている。ふむ、先に身なりを整えようか。
「ヒルダ、この子をお風呂にいれてあげてくれる?あまり人が多くない時間が良いと思うし。」
「わかりました。・・・失礼しますね。」
ヒルダは少女を抱えあげる。すると少女はビクッと体を強ばらせる。
「っ・・・!」
「そんなに怖がらなくても、何もしませんよ。」
「・・・・・・」
少女は完全に黙ってしまった。その表情は緊張とも恐怖ともとれる。
・・・完全に負の感情を感じている。
何があったのかは知らないけど、良くない状態だ。・・・仕方ない、落ち着かせるためにも戦意抑制を使おう。
「ちょっとごめんね。」
声をかけるとまた少女は肩を震わせる。
僕は可能な限り少女を怖がらせないように、なるべく自然に戦意抑制の煙を彼女に吸わせる。
「あ・・・・・・」
多少回復していたとはいえ、弱っていた少女はそれでまた眠りに落ちる。
「うん、まあこれでいいかな。ヒルダ、悪いけどこのままこの子をきれいにしてあげてくれる?」
「え、ええ。頑張ります。」
今度はヒルダが緊張しているみたいだ。まあヒルダも誰かをお風呂にいれた経験なんてないだろうけど・・・精霊種は呼吸をしないから大丈夫なはずだ。
「僕はその間にその子に着せる用の服を買ってくるから。」
「はい、いってらっしゃい。」
「う、うん。行ってきます。」
こんな状況だけど、ヒルダにいってらっしゃい、と言われて少し嬉しくなってしまった。
それにしても、今日は色んな所に行っている。まあ一人増えれば必要なものもそれだけ増えるから仕方ないか。
とりあえず僕は、先日ヒルダの服を買った服屋に来ていた。
「こんにちはー。店員さんいますか?」
「あ、はーい。あら、あなたは・・・」
声をかけると、この前と同じ店員さんが対応してくれる。
「あ、先日はどうもです。」
「再びのご来店ありがとうございます。申し訳ないのですが、服の仕立てはまだ・・・」
「ああ、いえ、それは大丈夫です。今日はまた普通に服を買いに来ただけなので。」
例の着物の仕立ては、下手したら材料の取り寄せからだろうしすぐできるとは思ってない。
「12.3歳の女の子向けの服を探しに来ました。サイズがよくわからないのでできれば調整できるものだと助かるんですけど・・・」
「女の子の向けの服、ですか。・・・娘さんですか?」
「違います。」
僕の年で12.3歳の子供がいるわけ無いでしょ。いや、見た目で判断できない種族も多いから仕方ないけども。
「最新知り合った子なんですけど、少し汚れてしまっていて。体と服を洗う前にさしあたっての服を買おうかと。」
「なるほど、そういうことでしたか。」
我ながらざっくりとした説明だけど、店員さんは特に突っ込まなかった。まあ、意味もなく深入りするような真似はしないか。
「では、こちらなどどうでしょう。」
用意早いな。
店員さんの手には白を貴重としたシンプルなワンピース。この前ヒルダに着てもらった物とデザインは似ているけど、こちらは袖が少し短く、可愛らしいフリルが各所に施されている。
「ふむ、良いですね。」
パッと見サイズが調整できるとも思えないけど、プロがおすすめしてくれた物だし平気だろう。
値段は・・・ずいぶんと安い。見た感じ新品だし飾りも多いのにお買い得だ。やっぱり魔導遺産の恩恵は大きいみたいかな。
それはともかく、ここで僕が悩んでも仕方がないのでさっさと購入する。一回目の納品の報酬が出てるからお金の心配はいらない。
仕事の早い皆さんに感謝だ。
「じゃあそれを買いますね。」
「はい、お買いあげありがとうございます。」
代金を払い商品を受けとる。
「じゃあまた例の『着物』ができたら受け取りに来ますね。・・・ちなみにいつくらいに完成するとかわかりますかね?」
「そうですね・・・材料がまだ届いていないので、申し訳ありませんがしばらくかかるかと。あ、場所を指定していただければ、完成したときにそこに連絡することもできますよ?」
「じゃあそれでお願いします。」
僕は最後に自分が滞在している宿の名前を伝えて、服屋を出る。
店員さんがスムーズに提示してくれたお陰で一瞬で終わったなぁ。
それにしても、帰ってきてから転移貿易施設に行って、宿に戻って今度は服屋に行って・・・我ながら勤勉だなぁ。
ま、本当に面倒になるのはこれからだろうけど。でもあの状況であの子を見捨てるのは流石にあり得ないから別に後悔はしていない。
これから僕がやるべきことは、ヒルダに悪いことが起きないように動くことだけだ。
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