弱小種族による、危険な世界の歩き方。

ハイイロカラス

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第二章

娯楽は複数人だとより楽しい

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正直なところ。
女の子の服とか僕にわかるわけがない。

ヒルダの服を買ったときも、おすすめされたものを片っ端から着てもらって気に入った物を買っただけだし。

なので、今日もとりあえず着てみてもらって判断していく感じでやっていこう。

「うーん、フリフリも良いけど、もっとシンプルな感じとかどう?ちょっとだけ男の子みたいな雰囲気にまとめてみるとか。」
「あ、良いかもしれませんね。あくまでも女の子のらしさを保ったまま、少し快活な少年のようなイメージを加えてみましょう。そうですね・・・あえてスカート以外で行ってみましょう。」

ヒルダと相談しながら、ミレイユをコーディネートしていく。まあ僕達に知識はないしセンスもあるかはわからないのでとりあえず数を撃ってるだけだけど。
もっともらしいことを言っているのも、ただの雰囲気だ。

「う、うう・・・」

なお、当のミレイユはとっくに疲れはててされるがままだ。

「おお、いいね!」
「ふふん、私だってお洒落くらいわかるのです。」

得意気に笑うヒルダ。
素材がいいからか、何を着てせても様になるなぁ。

「ま、まだ続けるの・・・?」
「あ、ごめんごめん、楽しくなりすぎちゃったよ。この後もあるし、このくらいにしておこうか。」

この前みたいに一日中ここにいるわけにもいかないんだった。

「今着てる服はそのまま買うとして・・・後は幾つかさっき着た服も買っておこうか。」
「も、もう、好きなようにして・・・」

もう遠慮する元気も無いみたいだ。

「よーし、じゃあ次はどこにいく?」
「そうですね・・・私は先に演劇を見に行きたいです。その後昼食にすればちょうど良いかと。」

ふむ、なるほど。
じゃあそうしようか。

「決まりだね。ちなみに今まで演劇とか見たことある?僕は全くないし、物語とかもほとんど知らないから実はすごくワクワクしてるんだよね。」
「私もです。神話や寓話の類いなら多少知ってはいますが・・・」

まあそうだよね。僕は師匠から聞いた話くらいしか知らないし、ヒルダの里には文字があったかすら怪しい。
つまり、誰かの作った物語というものがどんなものなのか全くわからないからワクワクしている。

「わ、わたしは、本ならたくさん読んでたから、物語なら、色々知ってるけど・・・その、演劇は一度も見たことないの」
「ほほう、つまりみんな演劇鑑賞初体験、と。」

これはみんなで新鮮な感情を共有できそうだ。

「うーん、俄然楽しみになってきたよ。」

いつだって、未知というものは魅力的だ。
まあ恐ろしいものでもあるけど、娯楽に限って言えばその心配もない。

「せっかくだし、なるべく前情報とか入れずに見てみようか。じゃ、行こう!」

年甲斐もなくワクワクしながら演劇を行っている場所に向かう。
これからは一人じゃないんだし、娯楽にも色々触れていこう。



演劇が行われるのは、扇形に座席のある屋外の劇場だった。後方にいくにつれて座席が高くなり、より多くの観客が見られるようになっている。
また、席の大きさにも細かい差があり、体格差のある種族を別々の場所に座らせることでトラブルを防止しているみたいだ。

「おおー、すごい大きい劇場だね。まあ、比較対象を知らないから劇場の中でどうなのかはわかんないけど。」
「え、ええ。このように大きな建築物は初めて見ました。」

ヒルダは劇場の大きさに圧倒されているみたいだ。
かくいう僕も、ここまでの建築を見たことはほとんどない。
巧人種ドワーフの技術力や賢人種ウィザードの魔法なら同じくらいのことが可能ではあるだろうけど・・・

巧人種は小柄だし、賢人種はあまり数が多くないから大規模建築を行うことがほとんどない。

よくわからないけど、きっとこれも魔導遺産の力なのだろう。獣人種はあまり繊細な建築とか行わないだろうし。

「・・・・・・・す、すごい。里の神木より大きい、かも・・・」

ミレイユが何か気になることを言っているけど、今そこに突っ込むのは無粋だろう。
ていうか、僕のワクワクがもう限界値だ。

「よしっ!なんの情報もいれることなくここまでこられたし、さっそく劇場にいこう。」

これ以上ここで待ってて、前の公演を見た人の話とかが耳に入ってきちゃうのは避けたい。

「ええ、そうですね。あ、ミレイユ、はぐれてはいけませんししっかり手を握っていて下さいね。」
「う、うん。」

ミレイユも、まだ緊張しているみたいだけどそれ以上に期待しているみたいだ。

周りにも多くの人がいるけど、彼らの話を努めて耳にいれないようにしながら僕達は三人固まって劇場に入っていった。
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