弱小種族による、危険な世界の歩き方。

ハイイロカラス

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第二章

望まれぬ少女の記憶

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ーーー夢を、見ていた。

偽りの微睡みのなかで、記憶がぼんやりと流れている。



楽しかった思い出なんて、ひとつも無い。
わたしの記憶は、いつだって灰色だ。

わたしの目に映る全ての物は、確かに色鮮やかなはずなのに。

まるであの童話の少女のように、何もかもが灰に変わっていくようだ。

愛も未来も。願いも希望も。
わたしにとっては、本の中の存在と同じ。
頭の中にしかない、つくりものなんだ。

少しづつ、少しづつ。
心が、腐っていくのがわかる。

少しづつ、少しづつ。
体が、壊れていくのがわかる。

聞こえてくるのは、失望の言葉。
聞こえてくるのは、非難の言葉。

本の中では、悪者にしかかけられない言葉。

それがむき出しの刃となって、わたしの心に突き刺さる。

悪いのはわたしなんだ。
だからお母さんも、みんなも、わたしを責めるんだ。

起きているのか、眠っているのか。
生きているのか、死んでいるのか。

思考さえもままならなくなり、自分がどうなっているのかわからない。

もはや、誰の言葉も聞こえない。
誰もわたしに興味が無い。

何も出来ないその日々に。
意識は既に、はっきりしない。


いつからか、どこからか。
何かの声が聞こえてくる。


ーー忌まわしき血を継ぐ者よ。


やめて。


ーー出来損ないの人形よ。


言わないで。


ーーお前は、誰にも望まれない。


これ以上、わたしを責めないで。


ーー愛も希望も、お前が手にすることは無い。


全部、わかってるから。何も、求めないから。


ーーその命に、なんの価値がある?


お願いだから、放っておいて。


ーーただ惨めに這いつくばって、永らえる意味はなんだ?


知らない。わたしには何もわからない。


ーーその孤独に耐えることで、お前は何を得られる?


だって、誰も教えてくれないから。生まれた意味も、生きる価値も。


ーーならば教えてやろう。お前に自身に価値はない。ただ、その器には使い道がある。


わたしは何も知らない。


ーーよこせ、その器を。


死に方さえも、わたしにはわからない。


ーー虚ろなるその身を、我が依代としてやろう。


愛してほしい、なんて言わないから。




お願い。誰か、わたしを終わらせて。
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