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砂かけ婆の孫・硝平くん編
小洗屋のシラタマと砂かけ婆の孫の硝平くん 4話
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硝平くんはそっとにぎるシラタマのグラスを取りあげて、指をさす。
「見て。ここの厚さが均一じゃないんだ。……で、ここの色がしっかり発色してない。あと、ここ、手で持ったときに気持ち良くない。……だから、失敗なんだ」
硝平くんはシラタマに返し、言葉をつづけた。
「オレも失敗の数なら、誰にも負けてないと思う。……そうだよな。師匠は『作ればわかる』しか言ってくれなくってさ。きっと、シラタマのお父さんの言葉の意味なんだと思う。……作るしかないんだ」
すっと立ち上がると、硝平くんはベンチから歩き出す。
「シラタマ、それやるよ。次はもっといいガラスコップつくってやるから」
「いいの? なら、大事に使うね」
「だから、失敗作だっての」
砂色の髪の毛をさらりとかき上げ、元来た道を戻っていく。
少しだけ見送って、持ってきた本に手を伸ばした。
今日の本は、地下鉄道の朝という本だ。
地下しか走らない鉄道だが、それでも朝が来る。
どう朝を知らせるのかは、結末まで読まないとわからない。
「……楽しみ」
シラタマはゆっくりと本をめくっていく。
「見て。ここの厚さが均一じゃないんだ。……で、ここの色がしっかり発色してない。あと、ここ、手で持ったときに気持ち良くない。……だから、失敗なんだ」
硝平くんはシラタマに返し、言葉をつづけた。
「オレも失敗の数なら、誰にも負けてないと思う。……そうだよな。師匠は『作ればわかる』しか言ってくれなくってさ。きっと、シラタマのお父さんの言葉の意味なんだと思う。……作るしかないんだ」
すっと立ち上がると、硝平くんはベンチから歩き出す。
「シラタマ、それやるよ。次はもっといいガラスコップつくってやるから」
「いいの? なら、大事に使うね」
「だから、失敗作だっての」
砂色の髪の毛をさらりとかき上げ、元来た道を戻っていく。
少しだけ見送って、持ってきた本に手を伸ばした。
今日の本は、地下鉄道の朝という本だ。
地下しか走らない鉄道だが、それでも朝が来る。
どう朝を知らせるのかは、結末まで読まないとわからない。
「……楽しみ」
シラタマはゆっくりと本をめくっていく。
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