13周目は悪役令嬢!? いやいや、私は好きに攻略させてもらいますっ!

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4話 謁見タイム

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 どれぐらい歩いただろう。
 軽く10分は歩いた気がする。

 というのも、確かこの廊下を歩いていくときに、長い世界観ムービーが流れるんだよね………
 その尺の廊下か!!!!

 音のない、ただ靴音が響く廊下を抜ければ、謁見の間のようだ。
 天井まで伸ばされた扉は、何十メートルあるんだろう。
 軽く奇行種が走り抜けられるぐらいありそう。
 ゆっくりと開いていく扉は厚く、そして重そうに動いていく───

 改めて神々しい光が目に注がれる。
 私は手で顔を覆いながら、目を細めた。
 ようやく目が慣れたところに、12の星座の神々がずらりと並び、にこやかな笑顔で私たちを出迎えていた。

「よく、ここまで来てくれた」

 この声は、速水……じゃなく、牡羊座のアリエス。
 年長者ポジションでこの謁見を説明してくれるキャラだ。
 ここのシーン、なんか思い出してきた。
 こう、12周もしてるとね、ここらへんの動画映像なんてスキップ対象じゃない。
 2回ぐらいは見たかもしれないけど、もう忘れてるよね。

「では、挨拶いただこう。レイヤ」


 ………待って。
 全然、セリフ覚えてない。なんか嫌味ったらしいこと言ってたことだけ覚えてる。

 でも、ここは腹を決めていこー!!!!

「………初めまして、星座の神々よ。わたくし、レイヤと申します。まだまだ未熟な者ゆえ、どうかご指導ご鞭撻のほど………」


 これじゃ、バイトの初めてのご挨拶じゃないっ!!!!!


「では、ソフィア」
「あた、いや、私は、ソフィアです。夢の加護を受け、やって参りました。レイヤと一緒に、夢の国づくり、頑張りますっ!」

 また私の腕にくっついてきたけど、ソフィアこんなセリフだったっけ?
 首を傾げているうちに、12星座の神々紹介が始まった。

 これがなげぇんだよ。

 キャラをここで分からせるってのが一番だから、几帳面感だったり、適当キャラだったり、幼い系とか、オラオラ系とか、そうそう、語尾とか表情がね、ほら、もう、まんま。


 つか、オフィクスのせいで、感動が薄い!!!!


 全員イケボで、キラキラしてて、もうなに、胸元とかガン開きしてるし、つーかもう、人形みたいに肌とぅるとぅるだし、リアルになったらこんなに美しい人なんダァ! って思ったのは一瞬。


 もう、オフィクス推しっすね。私。


 静かに足元でひざまづくオフィクスを見下ろして、どうして彼ら12人に頭を下げなきゃいけないのか、私は思い出そうとした。
 だけれど、これは裏設定すぎて、公式ファンブックにもなければ、レイヤの意識のなかにも存在していない。


 彼はどうして、私のそばにいることになったのだろう………?


 この世界の新しいものは私にとっては新鮮!
 なんせ12周してるし。
 新しい推しのオフィクスのことを考えるのはすごく楽しくて仕方がない!
 だから12人の長い説明も、この世界のシステムも、これからの寮生活のことも、すべて、聞き逃していた───



「……レイヤお嬢様っ!」

 デジーの声で意識を取り戻すと、いつの間にか自分の部屋に到着していた。
 瞬間移動できるんだっけ………?

「レイヤお嬢様、これから1年間、ここで生活をし、夢の国を育てていくのです。どうかお気をつけてお過ごしくださいませ」

 1年か………
 これ、ペルソ◯とかの1年と違って、ここは女王の勉強にバトル、稽古、夢の国づくりとか、あと、12星座のデートもあったなぁ……

「めんどくせぇな」
「レイヤお嬢様、今なんと!?」
「いえ、勤勉に励みます」

 私は後ろに立つオフィクスを見上げ、

「オフィクスはいつもどこにいるの?」
「レイヤのそばだ」
「姿は?」
「隠すこともできる」
「あ、隠さないで」

 煙で消えかけたオフィクスに言うと、にょろりと体が元に戻る。
 しっかし、190ぐらいか? でっけー。
 私の今の身長はヒール込みで、170ぐらい。ソフィアは160ぐらいだったな。
 でもこんなイケメン高身長のそばにいれるなんて、なかなかないもんね!!!
 眼福眼福。

「では、わたくしデジー、1年後にお会いできるのを楽しみにしております」
「そっか、1年後か……。デジー、元気に過ごしてね」
「お嬢様……! はい、しっかりと」

 デジーを見送り、再び部屋へと戻る。
 ソファに腰掛けるけど、オフィクスはドアの近くの壁によりかかったままだ。

「オフィクス、ソファに座らないの?」
「俺はお前を守る立場だ。ゆっくりなどしてはいられん」
「でも私が座って欲しかったら?」
「………それであれば」

 私がソファに手をかざし、ここに座ってと示すと、おずおずと移動してきた。
 その彼に紅茶を差し出す。

「一緒に飲みましょ? 1人じゃつまらないもの」

 彼はローブを下ろし、顔をすっかり表すと、細く節のある指で白いカップを持ち上げた。

「レイヤ、紅茶なんていつから淹れられるように?」
「………(こいつ、お茶もいれれなかったんかい!)ん……最近?」
「とても美味しい。ありがとう、レイヤ」

 オフィクスはそう言って、私のおでこに彼のおでこをくっつけた。
 脳内で『これは感謝の挨拶! これは感謝の挨拶!』そうサイレンかかってるけど!!!!
 いやいやいやいやいや………!!!!


 熱い!!!!!


「またレイヤ、顔が赤い。大丈夫か……?」

 だから、頬触らないで!!
 と声に出す前に彼の手を掴んでしまう。
 骨ばった手は力強く、そして、硬い。

「あ、ご、わ、……ごめんなさいっ」

 一層戸惑い縮こまった私に、オフィクスは私の頭を撫でて笑う。

「まだ緊張してるんだな」

 いや、そんなレベルじゃないっす!!!!!!
 麻痺して死ぬレベルっす!!!!!!
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