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第2章 カフェから巡る四季
《第169話》三井さん家にお呼ばれ②
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すぐに巧と瑞樹も合流し、飲み比べとなったわけだが、二人が手土産に持ってきたのは、高級チョコケーキだった。
「瑞樹がいうんだよね、AIチャットだとチョコケーキがウイスキー似合いやすいって言ってたって」
そんな莉子たちは、連藤宅にあった、高級ドライフルーツミックスパック、だ。
まさか、チョコレートケーキが食べられるとは思っていなかった莉子の現在、胃袋はラーメンで一杯です……!
「隙間がない……」
「莉子さん、飲んでいるとそのうち空いてくると思うが」
「ダメです、連藤さん。私は、ウイスキーは酔いやすい体質的な、いや、わかんないんですけど、酔うんで、早めにいただきたいですっ」
莉子が強い口調でアピールしていると、ちょんちょんと肩を突かれ、巧にテーブルに呼ばれる。
「莉子さんから選んでよ」
ケーキは全部で8個もある……
さらには、種類はみんなバラバラなのが、さすが高級チョコレートケーキ店。
色もブラックから、淡い茶色までチョコの味もさまざまなようだ。いちごのフレークがかかっていたり、もちろんガトーショコラもある。
その中でも、ドーム型のチョコケーキを莉子は選んだ。
三井が準備した紙皿にそれを乗せると、瑞樹がスマホを見ながら教えてくれる。
「そのケーキは、アールグレーの紅茶の風味があるそうです。そのチョコムースのなかに、白桃とムースが入っているみたいです」
莉子はケーキに鼻を近づける。
ちゃんと香り高いアールグレーの香りが鼻腔に広がる。
すぐにビターなチョコレートの香りも続いてきて、とても美味しいケーキなのは間違いない。
「でも、このケーキに合わせてウイスキーってどう選べばいいんでしょうね」
莉子はずらっと並べられたウイスキーを遠い目で眺めてみる。
ひとつもわからない。
わからなすぎる。
「じゃあ、AIチャットに聞いてみましょうか」
瑞樹が書き込んだのは、
『アールグレイのチョコムースがあるんだけど、これに合うウイスキーはなにかな?』
少し検索に時間がかかったが、すぐに文字が走るように現れる。
【アールグレイのチョコムース、上品で香り高いデザートですね。
それに合うウイスキーを選ぶなら、以下のポイントが大事です:
•ベルガモットの香り(アールグレイの特徴)と調和する香り
•チョコのコクに負けないボディ
•甘すぎず、でもスモーキーすぎないバランス
■おすすめは以下のタイプです■
1. グレンモーレンジィ ネクタードール
•ソーテルヌワイン樽熟成のシングルモルトで、蜂蜜やオレンジピール、白桃のような甘く華やかな香りがあり、アールグレイの柑橘と相性抜群。
•ミルクチョコにも寄り添ってくれる優しさがあります。
2. ザ・バルヴェニー 12年 ダブルウッド
•甘くスパイシーで、バニラとオークの香りがチョコと相性◎。
•アールグレイのフローラルな感じにも邪魔せず寄り添います。
3. オーヘントッシャン アメリカンオーク
•ライトボディで柑橘感があり、紅茶のベルガモットに合う爽やかさ。
•軽やかなので、ムースの舌触りを邪魔しないです。
ちょっと冒険:スモーキー系なら…
•カリラ12年:ほんのりスモークと柑橘の香り。チョコとの対比で美味しい。】
「これに似たの、あったりしますか?」
瑞樹が三井に見せると、うーんと唸ったあと、棚の奥から筒に入ったウイスキーを取り出した。
「このアランなら、ソーテルヌカスクだけどなぁ」
すぐに瑞樹がそのウイスキーを打ち込むと、またAIチャットがスルスルと文字を連ねていく。
【**アラン ソーテルヌカスク(Arran Sauternes Cask Finish)**は、アールグレイのチョコムースにばっちり合います。というのも:
•ソーテルヌ樽由来の貴腐ワインの甘やかさ(蜂蜜、熟した桃、アプリコット)
それがアールグレイのベルガモット香と美しく調和。
•チョコムースのコクにも負けないし、包み込むように甘さと華やかさで寄り添う。
•アランはノンピートでクリーンだから、ムースの繊細な舌触りや香りを壊さない。
ちょっと温度高め(常温寄り)で香りを開かせると、ムースとのマリアージュが一層楽しめるはず。
合わせ方のアイデアとしては:
•先にウイスキーを一口→チョコムースを少し→余韻でまたウイスキー
•逆に、ムースの後にウイスキーで香りを広げるのもアリ】
『オススメの飲み方は?』
【アールグレイのチョコムースと合わせるなら、ストレートの方が断然おすすめ!
理由としては:
•温度が高めのほうが香りがよく立つ。
ソーテルヌ樽由来の蜂蜜やフルーツの香り、アールグレイのベルガモットと
すごく綺麗に調和する。
•ロックにすると冷えて香りが閉じがち。
チョコムースの繊細さに負けてしまうことも。
もしアルコール感が気になるようなら:
•グラスを少し手で温めてから飲む。
•一滴だけ水を足して(トワイスアップ)香りを開かせるのもアリ。
デザートに寄り添わせる感じで、ぜひストレートでゆっくり楽しんでみてほしい。
あとは、チョコムースにほんのり塩をふってみると、ウイスキーとの相性がさらに深くなるよ。試してみる?】
「塩はふらないかな」
キッチンからアジ塩を取り上げた三井に首を振り、さっそく言われたとおりに飲んでみる。
ストレート用のグラスにアラン ソーテルヌカスクを注いでもらう。
「ウイスキーってのは樽でしか熟成しないんだが、一番最後に、ソーテルヌの貴腐ワインの樽で熟成させたやつ、って話だ」
ワインよりも饒舌な三井に驚きながら、注がれた一杯に鼻を近づける。
色は他のウイスキーより薄めに見える。逆いいうと、ゴールドに近い。
香りは、蜂蜜、柑橘系の香り、そしてアプリコットが感じられるが、やっぱり……
「アルコールが目に染みますね……」
「飲み方が下手なんだよ、お前の」
莉子はそれを無視し、言われたとおりにムースをひと口。
「……おーいしー! アールグレーの香りとチョコレートのカカオ感がたまらないです」
そこへすかさずウイスキーだ。
「……んーっ!!!!!」
莉子の鼻声が上がった。
口を開けて叫べないため、んーーーーしか言えない状態なのだが、目はらんらん、頬は紅潮し、まさに興奮状態だ。
「どんな感じかな、莉子さん」
「……えっと」
莉子はチェーサーを口に含み、ひと息つくと、とろけるように顔をにやけさせてしゃべりだす。
「チョコムースは普通にすっごく美味しいんですけど、ウイスキーを口に含むと紅茶の風味が際立つのはもちろん、カカオの余韻がすごく長く感じられます。香りと香りのマリアージュですね! ワインは食事とのペアリングですが、ウイスキーは香りのペアリングなんでしょうか。すごく、すっごく、このウイスキーと合ってると思いますっ!」
饒舌な莉子に押され、莉子からケーキをひと口もらい、ウイスキーを舐めた連藤の目が開く。
「……これは、かなり合ってる」
他3名も同じように食べて、舐めてを繰り返し、唸り声を上げた。
「あー、このケーキ、もっと買ってくればよかった」
「瑞樹、それよりも、ガトーショコラにあうウイスキーとか探してみねえ?」
「それいいね!」
二人はさっそくとAIチャットに書き込んで聞いている。
莉子はまだ半分も残ったケーキと、アラン ソーテルヌカスクをじっくり味わうつもりだ。
連藤はケーキの気分にまだならないのか、ドライフルーツとバーボンでじっくり香りを楽しんでいる。
「たまに、こういう飲み会もいいですね」
「俺もそう言おうと思ってたんだ」
二人はリビングを囲うように置かれたソファにゆったりと腰を落ち着け、じっくりとウイスキーの夜の時間を楽しんでゆく──
「瑞樹がいうんだよね、AIチャットだとチョコケーキがウイスキー似合いやすいって言ってたって」
そんな莉子たちは、連藤宅にあった、高級ドライフルーツミックスパック、だ。
まさか、チョコレートケーキが食べられるとは思っていなかった莉子の現在、胃袋はラーメンで一杯です……!
「隙間がない……」
「莉子さん、飲んでいるとそのうち空いてくると思うが」
「ダメです、連藤さん。私は、ウイスキーは酔いやすい体質的な、いや、わかんないんですけど、酔うんで、早めにいただきたいですっ」
莉子が強い口調でアピールしていると、ちょんちょんと肩を突かれ、巧にテーブルに呼ばれる。
「莉子さんから選んでよ」
ケーキは全部で8個もある……
さらには、種類はみんなバラバラなのが、さすが高級チョコレートケーキ店。
色もブラックから、淡い茶色までチョコの味もさまざまなようだ。いちごのフレークがかかっていたり、もちろんガトーショコラもある。
その中でも、ドーム型のチョコケーキを莉子は選んだ。
三井が準備した紙皿にそれを乗せると、瑞樹がスマホを見ながら教えてくれる。
「そのケーキは、アールグレーの紅茶の風味があるそうです。そのチョコムースのなかに、白桃とムースが入っているみたいです」
莉子はケーキに鼻を近づける。
ちゃんと香り高いアールグレーの香りが鼻腔に広がる。
すぐにビターなチョコレートの香りも続いてきて、とても美味しいケーキなのは間違いない。
「でも、このケーキに合わせてウイスキーってどう選べばいいんでしょうね」
莉子はずらっと並べられたウイスキーを遠い目で眺めてみる。
ひとつもわからない。
わからなすぎる。
「じゃあ、AIチャットに聞いてみましょうか」
瑞樹が書き込んだのは、
『アールグレイのチョコムースがあるんだけど、これに合うウイスキーはなにかな?』
少し検索に時間がかかったが、すぐに文字が走るように現れる。
【アールグレイのチョコムース、上品で香り高いデザートですね。
それに合うウイスキーを選ぶなら、以下のポイントが大事です:
•ベルガモットの香り(アールグレイの特徴)と調和する香り
•チョコのコクに負けないボディ
•甘すぎず、でもスモーキーすぎないバランス
■おすすめは以下のタイプです■
1. グレンモーレンジィ ネクタードール
•ソーテルヌワイン樽熟成のシングルモルトで、蜂蜜やオレンジピール、白桃のような甘く華やかな香りがあり、アールグレイの柑橘と相性抜群。
•ミルクチョコにも寄り添ってくれる優しさがあります。
2. ザ・バルヴェニー 12年 ダブルウッド
•甘くスパイシーで、バニラとオークの香りがチョコと相性◎。
•アールグレイのフローラルな感じにも邪魔せず寄り添います。
3. オーヘントッシャン アメリカンオーク
•ライトボディで柑橘感があり、紅茶のベルガモットに合う爽やかさ。
•軽やかなので、ムースの舌触りを邪魔しないです。
ちょっと冒険:スモーキー系なら…
•カリラ12年:ほんのりスモークと柑橘の香り。チョコとの対比で美味しい。】
「これに似たの、あったりしますか?」
瑞樹が三井に見せると、うーんと唸ったあと、棚の奥から筒に入ったウイスキーを取り出した。
「このアランなら、ソーテルヌカスクだけどなぁ」
すぐに瑞樹がそのウイスキーを打ち込むと、またAIチャットがスルスルと文字を連ねていく。
【**アラン ソーテルヌカスク(Arran Sauternes Cask Finish)**は、アールグレイのチョコムースにばっちり合います。というのも:
•ソーテルヌ樽由来の貴腐ワインの甘やかさ(蜂蜜、熟した桃、アプリコット)
それがアールグレイのベルガモット香と美しく調和。
•チョコムースのコクにも負けないし、包み込むように甘さと華やかさで寄り添う。
•アランはノンピートでクリーンだから、ムースの繊細な舌触りや香りを壊さない。
ちょっと温度高め(常温寄り)で香りを開かせると、ムースとのマリアージュが一層楽しめるはず。
合わせ方のアイデアとしては:
•先にウイスキーを一口→チョコムースを少し→余韻でまたウイスキー
•逆に、ムースの後にウイスキーで香りを広げるのもアリ】
『オススメの飲み方は?』
【アールグレイのチョコムースと合わせるなら、ストレートの方が断然おすすめ!
理由としては:
•温度が高めのほうが香りがよく立つ。
ソーテルヌ樽由来の蜂蜜やフルーツの香り、アールグレイのベルガモットと
すごく綺麗に調和する。
•ロックにすると冷えて香りが閉じがち。
チョコムースの繊細さに負けてしまうことも。
もしアルコール感が気になるようなら:
•グラスを少し手で温めてから飲む。
•一滴だけ水を足して(トワイスアップ)香りを開かせるのもアリ。
デザートに寄り添わせる感じで、ぜひストレートでゆっくり楽しんでみてほしい。
あとは、チョコムースにほんのり塩をふってみると、ウイスキーとの相性がさらに深くなるよ。試してみる?】
「塩はふらないかな」
キッチンからアジ塩を取り上げた三井に首を振り、さっそく言われたとおりに飲んでみる。
ストレート用のグラスにアラン ソーテルヌカスクを注いでもらう。
「ウイスキーってのは樽でしか熟成しないんだが、一番最後に、ソーテルヌの貴腐ワインの樽で熟成させたやつ、って話だ」
ワインよりも饒舌な三井に驚きながら、注がれた一杯に鼻を近づける。
色は他のウイスキーより薄めに見える。逆いいうと、ゴールドに近い。
香りは、蜂蜜、柑橘系の香り、そしてアプリコットが感じられるが、やっぱり……
「アルコールが目に染みますね……」
「飲み方が下手なんだよ、お前の」
莉子はそれを無視し、言われたとおりにムースをひと口。
「……おーいしー! アールグレーの香りとチョコレートのカカオ感がたまらないです」
そこへすかさずウイスキーだ。
「……んーっ!!!!!」
莉子の鼻声が上がった。
口を開けて叫べないため、んーーーーしか言えない状態なのだが、目はらんらん、頬は紅潮し、まさに興奮状態だ。
「どんな感じかな、莉子さん」
「……えっと」
莉子はチェーサーを口に含み、ひと息つくと、とろけるように顔をにやけさせてしゃべりだす。
「チョコムースは普通にすっごく美味しいんですけど、ウイスキーを口に含むと紅茶の風味が際立つのはもちろん、カカオの余韻がすごく長く感じられます。香りと香りのマリアージュですね! ワインは食事とのペアリングですが、ウイスキーは香りのペアリングなんでしょうか。すごく、すっごく、このウイスキーと合ってると思いますっ!」
饒舌な莉子に押され、莉子からケーキをひと口もらい、ウイスキーを舐めた連藤の目が開く。
「……これは、かなり合ってる」
他3名も同じように食べて、舐めてを繰り返し、唸り声を上げた。
「あー、このケーキ、もっと買ってくればよかった」
「瑞樹、それよりも、ガトーショコラにあうウイスキーとか探してみねえ?」
「それいいね!」
二人はさっそくとAIチャットに書き込んで聞いている。
莉子はまだ半分も残ったケーキと、アラン ソーテルヌカスクをじっくり味わうつもりだ。
連藤はケーキの気分にまだならないのか、ドライフルーツとバーボンでじっくり香りを楽しんでいる。
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