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093. master
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特区自治会【とっくじちかい】①特区を仮に統括している組織。東西南の三地区に管轄が分けられている。東地区はまともに機能しておらず、自治会とは別に住人同士で独自のコミュニティを形成している。南地区では事件事故数が少なく、住宅街や学校、図書館が整備されている。西地区の警備署は事件事故解決数がトップ。②かつて無秩序の異界と化していた特区を調査し、ある程度の秩序を取り戻した探検隊。北地区にも足を踏み入れた隊員が居るらしいが、詳細は不明。
***
この世界がいつからあるのか、どこから発生したのか、誰も知らない。
いつの頃からか人間が営みを始め、それから瓦解と改編を繰り返して今に至る。
人と呼ばれるものが生活を始めるその昔、生きるのもままならない世界を歩いた者たちがいる。歩き、広げ、記録し、整備した。
そこを歩いた者たちは世界を十分に知るマスターとして扱われている。
***
最初に踏み入れたのは西だった。だだっ広い灰色の世界。岩だらけの景色。大小様々ある石を一つひっくり返すとうねうねと動く生き物が逃げるように這いだしてきた。
同じように石を、小さなものからひっくり返していく。手足のないものから目玉が複数あるもの、毛が生えたものや大きい身体をもつものなど様々で、全て探検隊に構わずにどこかに消えていく。
さいごの岩はどことなく他のものとは違った。
それを数人で返すと大きな鳴き声と共に光る身体をした鳥が空へと飛んでいく。続いて、実体のない、しかし透明に光り輝くものたちが続く。
探検隊の一人が驚いて手を離し、岩を元あった場所に取り落としてしまった。
恐る恐るもう一度開くと、下では一匹のなにかが死んでいて、死んでいると思ったらこちらをじろりと見つめて、それから穴に潜っていった。
数日たって、西はほとんどがモンスターに占められていた。しかし、こちらに干渉はしてこない。探検隊はここを拠点にすることにした。
その夜、様々なモンスターに襲われてしまうのだったが……。
南には人間がいた。ニコニコと微笑みを浮かべながら、探検隊には伝わらない不思議な声で話す。
探検隊は意志の疎通を図ろうとした。身振りや手ぶりで物と言葉の対応表を作っていく。
「貴方たち、とても美味しそう。これから食べます」
丁寧なその言葉に苦笑いをした夜、一人消えた。
朝、適当な嘘を吐いて即刻その場を去り、他の集落に赴く。ここでも再び言葉を理解し、対応表を作った。安全そうな人間だ。
そのうち、元居た場所の人間たちがやって来た。
「貴方たちを食べません」
信用するべきか否か議論が起こる。一晩、様子を見ることにして、しかし、探検隊のテントを複数で襲われた。
南の晩族はどうやら嘘を覚えたらしい。
東には呪いと怪異がいた。穴ぼこだらけで、異界に繋がるこの土地を開拓するのは苦労した。
吹き荒れる呪いの風。住んでいる祈祷師たちが縄張り争いをして呪い合戦が続く。その間には百鬼夜行。長く真っ暗な夜が二回来た事もあり、探検隊はこの現象に極夜という名前を付けた。
北は閉ざされていた。
誰が作ったのだろうか。へいと扉に区切られていて、びくともしない。一人が火薬を使った。ひび割れて、向こう側から緑色の粘液と目玉が数個漏れ出てきた。
体液に触ると溶けてしまったので慌てて逃げた。
***
この世界がいつからあるのか、どこから発生したのか、誰も知らない。
いつの頃からか人間が営みを始め、それから瓦解と改編を繰り返して今に至る。
人と呼ばれるものが生活を始めるその昔、生きるのもままならない世界を歩いた者たちがいる。歩き、広げ、記録し、整備した。
そこを歩いた者たちは世界を十分に知るマスターとして扱われている。
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最初に踏み入れたのは西だった。だだっ広い灰色の世界。岩だらけの景色。大小様々ある石を一つひっくり返すとうねうねと動く生き物が逃げるように這いだしてきた。
同じように石を、小さなものからひっくり返していく。手足のないものから目玉が複数あるもの、毛が生えたものや大きい身体をもつものなど様々で、全て探検隊に構わずにどこかに消えていく。
さいごの岩はどことなく他のものとは違った。
それを数人で返すと大きな鳴き声と共に光る身体をした鳥が空へと飛んでいく。続いて、実体のない、しかし透明に光り輝くものたちが続く。
探検隊の一人が驚いて手を離し、岩を元あった場所に取り落としてしまった。
恐る恐るもう一度開くと、下では一匹のなにかが死んでいて、死んでいると思ったらこちらをじろりと見つめて、それから穴に潜っていった。
数日たって、西はほとんどがモンスターに占められていた。しかし、こちらに干渉はしてこない。探検隊はここを拠点にすることにした。
その夜、様々なモンスターに襲われてしまうのだったが……。
南には人間がいた。ニコニコと微笑みを浮かべながら、探検隊には伝わらない不思議な声で話す。
探検隊は意志の疎通を図ろうとした。身振りや手ぶりで物と言葉の対応表を作っていく。
「貴方たち、とても美味しそう。これから食べます」
丁寧なその言葉に苦笑いをした夜、一人消えた。
朝、適当な嘘を吐いて即刻その場を去り、他の集落に赴く。ここでも再び言葉を理解し、対応表を作った。安全そうな人間だ。
そのうち、元居た場所の人間たちがやって来た。
「貴方たちを食べません」
信用するべきか否か議論が起こる。一晩、様子を見ることにして、しかし、探検隊のテントを複数で襲われた。
南の晩族はどうやら嘘を覚えたらしい。
東には呪いと怪異がいた。穴ぼこだらけで、異界に繋がるこの土地を開拓するのは苦労した。
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