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030.探
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『怪人ぱらいそを探せ!』
特区の子供の中で、その文言が流行っていた。
赤いマント、黒い影、表情はわからず、鉄パイプでできたステッキを持っている……。怪人が怪人たる所以は全くの謎。数いる怪人の中で、その謎に満ちた容姿や存在意義が少年たちのお気に召したらしい。探索団が各地区でできるほど、怪人ぱらいそは人気を博していた。
「ぱらいそってどんな奴かな?」
「怪人だから怪しい奴だよ」
「魔法を使うんだって」
「良い人の味方でも、悪人の味方でもないんだって!」
「孤高の怪人だ」
「いや、正義の悪役だ」
目撃談と怪人の功績、怪人の技や異談が積み重なる。
怪人ぱらいそがどのような怪人か、その存在を探し出すまでわからない。宝探しのようなその探検は日を追うごとに子供たちを過熱させていった。
いつしか子供たちのあこがれのダークヒーローとなる。
「本当に怪人ぱらいそはいるのかな」
「いたらいい! カッコいいだろう」
少年たちは毎日のようにぱらいそを探す。
この日、双頭のハサミ顔を持つ大型のモンスターに出くわした。
ここは特区、モンスターに子供が食われることなど日常茶飯事であった。
後ずさりすると粘度の高いヘドロの塊がべちゃと音を立てた。
襲われればひとたまりもない。しかし、逃げ場もなく、逃げようとする勇気はその場から消え去っていた。
じりじりと追い詰められていく。自分たちの力が通用しない絶望と恐怖。
ハサミ頭が胴体めがけて跳躍し、ヘドロは足を攫おうとした。その時――。
「少年たちよ。私を呼びたまえ」
ハサミ頭が後退し、ヘドロは壁に飛び散った。
高笑いのする方を見上げると、赤いマントをまとった黒い影が宙に浮いている。
夢にまで見た怪人ぱらいそであった。
自分たちが憧れて英雄譚を作り上げた怪人がそこにいた。
赤いマントがなびき、へどろが消失する。鉄のステッキが唸り、ハサミ頭は金属音を上げながら首の付け根から真っ二つになっていた。
子供たちは息をのみ、それから恐る恐る、その名を尋ねる。
男は応えた。
「怪人ぱらいそはいつも君たちの傍にいる!」
その日以来、怪人ぱらいそは襲われた子供たちを救う英雄の怪異となったのだった。
特区の子供の中で、その文言が流行っていた。
赤いマント、黒い影、表情はわからず、鉄パイプでできたステッキを持っている……。怪人が怪人たる所以は全くの謎。数いる怪人の中で、その謎に満ちた容姿や存在意義が少年たちのお気に召したらしい。探索団が各地区でできるほど、怪人ぱらいそは人気を博していた。
「ぱらいそってどんな奴かな?」
「怪人だから怪しい奴だよ」
「魔法を使うんだって」
「良い人の味方でも、悪人の味方でもないんだって!」
「孤高の怪人だ」
「いや、正義の悪役だ」
目撃談と怪人の功績、怪人の技や異談が積み重なる。
怪人ぱらいそがどのような怪人か、その存在を探し出すまでわからない。宝探しのようなその探検は日を追うごとに子供たちを過熱させていった。
いつしか子供たちのあこがれのダークヒーローとなる。
「本当に怪人ぱらいそはいるのかな」
「いたらいい! カッコいいだろう」
少年たちは毎日のようにぱらいそを探す。
この日、双頭のハサミ顔を持つ大型のモンスターに出くわした。
ここは特区、モンスターに子供が食われることなど日常茶飯事であった。
後ずさりすると粘度の高いヘドロの塊がべちゃと音を立てた。
襲われればひとたまりもない。しかし、逃げ場もなく、逃げようとする勇気はその場から消え去っていた。
じりじりと追い詰められていく。自分たちの力が通用しない絶望と恐怖。
ハサミ頭が胴体めがけて跳躍し、ヘドロは足を攫おうとした。その時――。
「少年たちよ。私を呼びたまえ」
ハサミ頭が後退し、ヘドロは壁に飛び散った。
高笑いのする方を見上げると、赤いマントをまとった黒い影が宙に浮いている。
夢にまで見た怪人ぱらいそであった。
自分たちが憧れて英雄譚を作り上げた怪人がそこにいた。
赤いマントがなびき、へどろが消失する。鉄のステッキが唸り、ハサミ頭は金属音を上げながら首の付け根から真っ二つになっていた。
子供たちは息をのみ、それから恐る恐る、その名を尋ねる。
男は応えた。
「怪人ぱらいそはいつも君たちの傍にいる!」
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