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11「メイド登場!」

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「ブラボー。ブラボー。いいショウだった。いやあ、興奮したな。まさか中に出すとは。驚いた。予想外だ」

「ルシファー!」

 口のはしをつり上げて、ニヤニヤ笑っている。

「ふふ、お前は見所がある。どうだ、わしの家来にならんか?獄卒達のリーダー、羅刹にしてやるぞ?」

 周りの獄卒達がどよめいた。

「あいつがリーダー?」
「おいおい、じゃあ今の羅刹様はどうなるんだ?」
「あんな貧弱なやつ……」

 いろんなことを話しているのが聞こえる。

「お前が獄卒にならないなら、そうだな、死刑だ。ーーどうする?」

 それはもう脅しだよな。
 仕方がない。
 乗りかかった船、というわけではないが、自分の手も汚れてしまった。
 ここは仲間になっておこう。
 後から逃げることもできるかもしれないし。

「わかった。その条件、のもう」

「よしよし。そうと決まったら、今宵は宴じゃ。新しい仲間のために、宴を開くぞ!」

 仲間、か。
 そう呼ばれるのも久しぶりだ。

 目の前の女を見やる。
 縛られた縄を解かれ、地面にぺたんと座り込んでいる。

「クリス様……だよね?」

「え、そうだけど……」

 な、何を言われるんだ?

「そう、やってくれちゃったわね。私、カオル。よろしく」

「よ、よろしく」

「あのさ、貴方さっき偉くなったでしょう?私をさー。メイドとかにしてくれない?」

「メ、メイド!?」

「そう。私貧乏でさ。働き口を探してるわけよ。貴方、私にひどいことしたと思わない?ね、ね?」

 なんかつけ入られてる……。
 まあいいさ。
 確かにやっちゃったしな。

「いいだろう。メイドの一人や二人、雇ってやろうじゃないか」

「やった。ありがとう~。それでね、毎月の給料は……」

「おい、そこ!早く来い!宴はもう始まっておるぞ!」
 ルシファーに怒鳴られた。
 もう酒を飲んでいる。
 早いだろ。
 まだ昼食も食べていないぞ。

「ねー。お金ー」

 ぼくの腕を揺すりながらお金の話をしようとするカオルをほおっておいて、宴会に加わった。



 ちゅんちゅんとスズメが鳴いている。
 ああ、今日も学校に行かねばーー。
 いや、嫌だ。
 行きたくない。
 だって、あいつがーー。

「起きて~!クリス~!いや、ご主人様?」

 体を揺すられている……。
 目を開けると、メイド姿のカオルがいた。
 そうだ。
 ここは魔界。
 地球じゃないんだった。

「どうしたの?真っ青だよ。怖い夢でもみた?」

「いや、そんなんじゃないーー。起こしてくれて、ありがとう」

「どういたしまして!私はメイドだから当たり前だよう!朝食ができてるって、キャサリンが言ってたよ」

 キャサリン。
 昨日から会っていない。
 どうしているだろう。
 どうなっているんだろう。
 そういえば、いろんなことがいっぺんに起きて、頭が整理できていないのかもしれない。
 だからあんな夢を見たのかも。

「行くよ~。着替えて。ん、着替えさせるのかな?この場合」

「自分でやるよ。待ってて」

「わかった。じゃあ外で待っているね」

 ぼくは服を着替え、食堂へ向かう。



 食堂に着いた時、そこには今まで見たことのない人物がいた。
 いや、見たことがあるぞ。
 そう、あれはーー。
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