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5.日本酒入ります
ぬる燗でお願いします
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「カシス様、こちらのサンドイッチをお食べくださいませ。」
「いえいえ、こちらのドライフルーツの方を。」
私を囲んで、令嬢達がキャッキャとしている。
みな私が甘い物を苦手としていることを知っている為、私の好みの食べ物を勧めてきてくれる。
ここは天国ですか・・・?
「みなさん、そんな一気に色々とお勧めをしてもカシス様が困ってしまいますわ。そろそろ昼休みが終わります。今日はこれにて解散しましょう。」
周りの令嬢達を嗜め場を取りまとめるのは、入学式の日のリーダー格の御令嬢。
金に近い明るい茶髪にブルーの瞳、程々の体型のカシスとは違い、ボン・キュッ・ボン! のナイスプロポーションに高身長。敢えて派手目な装いをしているカシスとは違い、基より華やかで高貴な雰囲気を持つ。
ピニャ・コラーダ公爵令嬢。
彼女はなんと我が侯爵家より上の公爵家の御令嬢だった。
停学明けから学園ではいつも、ピニャ様とその取り巻きの御令嬢達が一緒に居てくれた。
ピニャ様達と一緒にA組の教室に戻ると、入学式の日に痛めつけてしまった令息達がまるで軍人の敬礼のような挨拶をしてくる。
「「「番長っ、ご機嫌麗しゅう!」」」
ふむ、くるしゅうない。
私は、さっと右手を挙げ応答をする。
・・・・・。
私は一体何様じゃぃ!!
入学式での事件以降、私は学園のアイドルのような存在となった。
粗暴令息達を殴り倒しか弱い令嬢達を守ったことがワイルドで格好イイと、主に令嬢達の心にヒットしたらしい。
今や令嬢達による『カシス ファンクラブ』というものまであるとのこと。
一方子息達の間では、可憐(可憐?)な外観からは想像もできない腕力で男達をねじ伏せる猛者ということになっており、恐れられつつも強さへの憧れを抱かれる様になっていた。
入学前に想定していた学園生活とはちょっと、、、結構違うが、これもある意味『平穏で平和』なので私は充実した学園生活を過ごすことができた。
自席に着席をするなり、隣席のメガネくんが話しかけてきてくれる。
「カシス嬢、午後も頑張ろう。」
「うんっ!」
彼のことは今だ名前をきちんと覚えられてないが、停学明け早々から挨拶をしてくれたり、停学中の授業のノートを写させてくれたりと自分に色々と良くしてくれている。
名前は覚えていないけどっ!
私にはとても大切なクラスメイト。
「そろそろ夏休み前の学期末試験だよね。カシス嬢は勉強進んでる?」
「・・・。試験とは普段の実力を試すもので、あえて勉強するものでは無・・・
「そっか、勉強していないんだね。」
勉強をしていないことに対する私の子供のような言い訳がバッサリ切り捨てられる。
「・・・うん。。」
メガネ君が教師のように窘める。
「みんな勉強をして試験に挑むんだから、勉強しないでいくと凄い点数を取っちゃうよ。」
「・・・だよね。」
真っ当すぎることを言われ落ち込む。
「そうですわよっカシス様! このピニャ、カシス様とまた一緒の組でないと・・・でないと、とても悲しいですわっ!!」
ピニャ様が話に入ってきて私にギュッと抱きついた。
ピニャ様の取り巻き令嬢達もウンウンと頷いている。
「そうだよね。私もみんなと一緒の組がいいな。うん、私も頑張って勉強するよ。」
ピニャ様を抱き返しつつ、私は皆の意見に賛同した。
「・・・あ、でも良い点とってS組入りになったらどうしよう。。。」
ふと呟いた私のセリフをピニャ様が秒殺で打ち消された。
「A組でも不思議なカシス様にその心配はありません。一緒にA組維持を頑張りましょう!」
ピニャ様・・・。
分かっているけど、ちょっと言ってみただけじゃないか。
そんな真面目にはっきりと返されても悲しい・・・。
「そうだ、今日から放課後に試験勉強をみんなでやらない?」
いいかげん名前を覚えてあげないといけない隣のメガネ君が提案をしてきた。
「まぁ、素敵! A組メンバー同士での勉強会だったら、A組以上またはA組以下の成績を取る可能性が低くなりますしね。」
ピニャ様よ・・・。
あくまでもA組に固執するんだな。
「あっ、でもカシス様、放課後にはお妃教育がある日もあるのでは・・・。」
そう、そうなのだ。。
学園に入ってお妃教育は終わっては・・・
いなかったのだ。。。
放課後週3回王宮に通い、お妃教育が続いていた。
しかし今、A組維持がかかった大事な試験が控えている。ただでさえS組ではなくA組だというのに、更にそのA組も落ちてしまうことになれば、王宮側からしても大問題のはずだ。
試験勉強の為、試験が終わるまではお妃教育を控えさせてほしいという要求は通るであろう。
「ん、大丈夫。お妃教育は試験休みにさせてもらう。」
私の返答に喜ばれたピニャ様が、A組メンバーに大きな声で呼びかけた。
「みなさまーっ!! カシス様と一緒にA組で居られるよう、A組一丸となって勉強会頑張りますわよぉー!!」
「「「おっーーー!!!」」」
A組メンバー皆からピニャ様の呼びかけに応える声が上がった。
・・・っえ?
A組みんなでやるの??
「いえいえ、こちらのドライフルーツの方を。」
私を囲んで、令嬢達がキャッキャとしている。
みな私が甘い物を苦手としていることを知っている為、私の好みの食べ物を勧めてきてくれる。
ここは天国ですか・・・?
「みなさん、そんな一気に色々とお勧めをしてもカシス様が困ってしまいますわ。そろそろ昼休みが終わります。今日はこれにて解散しましょう。」
周りの令嬢達を嗜め場を取りまとめるのは、入学式の日のリーダー格の御令嬢。
金に近い明るい茶髪にブルーの瞳、程々の体型のカシスとは違い、ボン・キュッ・ボン! のナイスプロポーションに高身長。敢えて派手目な装いをしているカシスとは違い、基より華やかで高貴な雰囲気を持つ。
ピニャ・コラーダ公爵令嬢。
彼女はなんと我が侯爵家より上の公爵家の御令嬢だった。
停学明けから学園ではいつも、ピニャ様とその取り巻きの御令嬢達が一緒に居てくれた。
ピニャ様達と一緒にA組の教室に戻ると、入学式の日に痛めつけてしまった令息達がまるで軍人の敬礼のような挨拶をしてくる。
「「「番長っ、ご機嫌麗しゅう!」」」
ふむ、くるしゅうない。
私は、さっと右手を挙げ応答をする。
・・・・・。
私は一体何様じゃぃ!!
入学式での事件以降、私は学園のアイドルのような存在となった。
粗暴令息達を殴り倒しか弱い令嬢達を守ったことがワイルドで格好イイと、主に令嬢達の心にヒットしたらしい。
今や令嬢達による『カシス ファンクラブ』というものまであるとのこと。
一方子息達の間では、可憐(可憐?)な外観からは想像もできない腕力で男達をねじ伏せる猛者ということになっており、恐れられつつも強さへの憧れを抱かれる様になっていた。
入学前に想定していた学園生活とはちょっと、、、結構違うが、これもある意味『平穏で平和』なので私は充実した学園生活を過ごすことができた。
自席に着席をするなり、隣席のメガネくんが話しかけてきてくれる。
「カシス嬢、午後も頑張ろう。」
「うんっ!」
彼のことは今だ名前をきちんと覚えられてないが、停学明け早々から挨拶をしてくれたり、停学中の授業のノートを写させてくれたりと自分に色々と良くしてくれている。
名前は覚えていないけどっ!
私にはとても大切なクラスメイト。
「そろそろ夏休み前の学期末試験だよね。カシス嬢は勉強進んでる?」
「・・・。試験とは普段の実力を試すもので、あえて勉強するものでは無・・・
「そっか、勉強していないんだね。」
勉強をしていないことに対する私の子供のような言い訳がバッサリ切り捨てられる。
「・・・うん。。」
メガネ君が教師のように窘める。
「みんな勉強をして試験に挑むんだから、勉強しないでいくと凄い点数を取っちゃうよ。」
「・・・だよね。」
真っ当すぎることを言われ落ち込む。
「そうですわよっカシス様! このピニャ、カシス様とまた一緒の組でないと・・・でないと、とても悲しいですわっ!!」
ピニャ様が話に入ってきて私にギュッと抱きついた。
ピニャ様の取り巻き令嬢達もウンウンと頷いている。
「そうだよね。私もみんなと一緒の組がいいな。うん、私も頑張って勉強するよ。」
ピニャ様を抱き返しつつ、私は皆の意見に賛同した。
「・・・あ、でも良い点とってS組入りになったらどうしよう。。。」
ふと呟いた私のセリフをピニャ様が秒殺で打ち消された。
「A組でも不思議なカシス様にその心配はありません。一緒にA組維持を頑張りましょう!」
ピニャ様・・・。
分かっているけど、ちょっと言ってみただけじゃないか。
そんな真面目にはっきりと返されても悲しい・・・。
「そうだ、今日から放課後に試験勉強をみんなでやらない?」
いいかげん名前を覚えてあげないといけない隣のメガネ君が提案をしてきた。
「まぁ、素敵! A組メンバー同士での勉強会だったら、A組以上またはA組以下の成績を取る可能性が低くなりますしね。」
ピニャ様よ・・・。
あくまでもA組に固執するんだな。
「あっ、でもカシス様、放課後にはお妃教育がある日もあるのでは・・・。」
そう、そうなのだ。。
学園に入ってお妃教育は終わっては・・・
いなかったのだ。。。
放課後週3回王宮に通い、お妃教育が続いていた。
しかし今、A組維持がかかった大事な試験が控えている。ただでさえS組ではなくA組だというのに、更にそのA組も落ちてしまうことになれば、王宮側からしても大問題のはずだ。
試験勉強の為、試験が終わるまではお妃教育を控えさせてほしいという要求は通るであろう。
「ん、大丈夫。お妃教育は試験休みにさせてもらう。」
私の返答に喜ばれたピニャ様が、A組メンバーに大きな声で呼びかけた。
「みなさまーっ!! カシス様と一緒にA組で居られるよう、A組一丸となって勉強会頑張りますわよぉー!!」
「「「おっーーー!!!」」」
A組メンバー皆からピニャ様の呼びかけに応える声が上がった。
・・・っえ?
A組みんなでやるの??
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