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黒い幻影
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「ああ、ご免。それで、俺んち庭なんてシャレたモンなかったから、近くの空き地にそいつを埋めてやる事にしたんだ。ひどい雨が降ってて、ビショ濡れになりながら土を手で掘ってた。そしたらあいつが、あの弁護士の息子が偶然通りかかって。何か俺に話しかけてきてたんだけど……。泣き顔見られたくねぇし、ケンカなんてしたくねぇ心境だったから、そいつの事ずっと無視してたんだ。俺、インコ埋めたところに一生懸命土かぶせるんだけど、雨で流されちまって上手くいかなかった。そしたらそいつ、自分のさしてた傘、雨がかかんねぇように土ん所に置いてくれて。一緒になって土かぶせてくれたんだ。理由も解んないだろうに、泥んこになりながらさ。気が付いたらそいつ、いなくなってて。次の日学校行っても、何も言わねぇし何も訊いてこなかった。暫くしてそいつ引っ越しちまったんだけど。――結局、傘も返せずじまいだったな」
「……それが、俺を見て思い出した『あの時』?」
意外そうな松岡の声に、俺は顔を上げた。
「そう。お前を最初に見たのは、お前が雨ん中立ってるトコだったから。無意識に思い出してたんだと思う。お前とあいつって、なんか似てるから……」
「そうか?」
「ああ。学校がつまんなそうなトコとか。あいつよく言ってたんだ、『なんでこんなくだらない授業受けなきゃならないんだ』ってさ」
「小三でその心境かよ。俺の上行くな」
「今はきっと、お前の方が上だぜ。窓から飛び降りたり、教卓蹴ったりはしてないと思う。なんだかんだ言っても、あいつはちゃんと授業受けてたし」
ハハッと笑った松岡は、目を開きクシュンと小さくくしゃみした子犬を抱き上げた。
「あいつが引っ越した後。俺、なんか毎日つまんなくてさ。時々考えたりしてたんだ。あいつは、俺にとってなんだったのかなぁって」
「――それは……やっぱ、友達なんじゃねぇの?」
「そーかな」
「知らねぇよ。でも俺は、そいつよりはもう少し――素直だぜ」
「何それ?」
笑いながら軽く肩を竦めてみせた俺は、松岡の腕で小刻みに震える子犬の頭を撫でた。
「こいつ、風邪ひいてないかな?」
「さあな。なんかあったまるモンでも飲ませてやれりゃ、いいんだがな」
「お前ん家で飼うのか?」
見上げた俺に、松岡は小さく唸るような声を出した。
「……それが、俺を見て思い出した『あの時』?」
意外そうな松岡の声に、俺は顔を上げた。
「そう。お前を最初に見たのは、お前が雨ん中立ってるトコだったから。無意識に思い出してたんだと思う。お前とあいつって、なんか似てるから……」
「そうか?」
「ああ。学校がつまんなそうなトコとか。あいつよく言ってたんだ、『なんでこんなくだらない授業受けなきゃならないんだ』ってさ」
「小三でその心境かよ。俺の上行くな」
「今はきっと、お前の方が上だぜ。窓から飛び降りたり、教卓蹴ったりはしてないと思う。なんだかんだ言っても、あいつはちゃんと授業受けてたし」
ハハッと笑った松岡は、目を開きクシュンと小さくくしゃみした子犬を抱き上げた。
「あいつが引っ越した後。俺、なんか毎日つまんなくてさ。時々考えたりしてたんだ。あいつは、俺にとってなんだったのかなぁって」
「――それは……やっぱ、友達なんじゃねぇの?」
「そーかな」
「知らねぇよ。でも俺は、そいつよりはもう少し――素直だぜ」
「何それ?」
笑いながら軽く肩を竦めてみせた俺は、松岡の腕で小刻みに震える子犬の頭を撫でた。
「こいつ、風邪ひいてないかな?」
「さあな。なんかあったまるモンでも飲ませてやれりゃ、いいんだがな」
「お前ん家で飼うのか?」
見上げた俺に、松岡は小さく唸るような声を出した。
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