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白い影
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「ほんっとに、憶えてねぇのか?」
昼休みの教室。
口に咥えていた箸の先端を秀行に向けた高橋彬は、それを言葉と共に揺らしながら相手の顔を覗き込んだ。
その箸の先端に目を向けた大下秀行が、不快そうに眉を顰める。
黙ったまま最後の一口のご飯を弁当箱から抓み出し、口元へと持っていく。ご飯と共にその嫌な気分も飲み込んだらしい秀行は、チロリと呆れた視線を彬に向けた。
「取り敢えず、全部食え。話はそれからだ」
――って、命に関わる事なんだぞッ!
悠長な相手の台詞に唸り声を発し、ガジガジと箸を子供のようにかじる。
その彬から視線を逸らせた秀行は、その性格を如実に表す仕草で、弁当箱を丁寧に袋へとつめた。
先程の言葉通り、食事が済むまで話はしないぞという雰囲気を出した秀行が、頬杖をついて窓の外へと顔を向ける。
仕方なく彬は、話に夢中になるあまり半分しか進んでいなかった、自分の弁当箱に視線を落として昼食を再開した。
モクモクと機械的に箸を進め、食物をのどの奥に流し込む。味わう事さえせずにその動作を繰り返している彬の頭には、昨日の相沢隆哉の言葉が浮かんでいた。
昼休みの教室。
口に咥えていた箸の先端を秀行に向けた高橋彬は、それを言葉と共に揺らしながら相手の顔を覗き込んだ。
その箸の先端に目を向けた大下秀行が、不快そうに眉を顰める。
黙ったまま最後の一口のご飯を弁当箱から抓み出し、口元へと持っていく。ご飯と共にその嫌な気分も飲み込んだらしい秀行は、チロリと呆れた視線を彬に向けた。
「取り敢えず、全部食え。話はそれからだ」
――って、命に関わる事なんだぞッ!
悠長な相手の台詞に唸り声を発し、ガジガジと箸を子供のようにかじる。
その彬から視線を逸らせた秀行は、その性格を如実に表す仕草で、弁当箱を丁寧に袋へとつめた。
先程の言葉通り、食事が済むまで話はしないぞという雰囲気を出した秀行が、頬杖をついて窓の外へと顔を向ける。
仕方なく彬は、話に夢中になるあまり半分しか進んでいなかった、自分の弁当箱に視線を落として昼食を再開した。
モクモクと機械的に箸を進め、食物をのどの奥に流し込む。味わう事さえせずにその動作を繰り返している彬の頭には、昨日の相沢隆哉の言葉が浮かんでいた。
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