君との空へ【BL要素あり・短編おまけ完結】

Motoki

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碧の癒し

49

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 唐突に掌を差し出し、ぶっきらぼうに言う。「な、何を」と後退る男を上目遣いに睨んで、彬は「殺すぞ」と言わんばかりの気迫で男に食ってかかった。

「何を、じゃねぇよッ。お前が一番よく解ってんだろうがよ! いいか、あいつに渡した時点で、もうあの指輪はお前んじゃなく、あいつのモンなんだよ。なんでもいいから、今すぐ出せッ!」

 カツアゲするように掌を揺らす彬に、男が絶句する。

「なんで、んな酷い事が出来るんだ! あいつが唯一、死出の旅路にたった一つ選んだ『物』なんだぞ。なんの権利があって、あいつからそれを奪うんだッ!」

 蒼ざめた男が、目を見開き固まった。焦点を失った目を彬に向けたままで、ぶつぶつと口の中で言葉を綴る。

「妻と別れて、あいつとやり直すつもりだったんだ。本当だ。香里となら、やり直せると本気で思ってた。でも妻が妊娠してると知って、馬鹿だな、俺。今までずっと知らなくて……。

あんなにお腹が大きくなるまで気付かなくて。妻は別れてもいいって言ったんだ。でも、子供だけは産みたいって。俺、どうしようもなくて。香里には本当に申し訳ないと思ってる。でも俺は、自分の幸せより、子供の幸せを、選ぶべきだと思って……。ご免よ」
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